転生後
ごめんなさい出張で空けてました……
ここから真理→海斗の順の一人称です
…………!
声が聞こえる。転生成功したんだ。でもなんて言ってるかよく分かんない。
…………わ!
「わ」とだけ聞こえたけど、何が言いたいのだろう。……何故だろう?
急に泣きたくなってきた。赤ちゃんだから?
そう思って私は溢れ出す感情に身を任す。すると、大声で泣き出した。その泣き声に刺激されたのか隣にあったベビーベッドからも泣き声が聞こえた。隣は海斗だろうか。泣き出した私と海斗を見て母親?いや……大公家だから恐らく乳母か何かの人だろう。が微笑みながら抱き抱える。ゆらゆら揺れるその腕の中にいると、何だか急に疲れてきて、ウトウトしだした。
眠い。 赤ちゃんってこんなに情緒不安定なんだ。初めて知った。
そう思いながら、私は深い眠りに着いた。
***
不意に目が覚める。それと同時に精神が私の意に逆らい、脳に伝わる。そしてまた私は泣き出した。すると大きなドア、本当に大きい。某巨人を駆逐する漫画の巨人が入れそうな位大きい。
その大きなドアからバーン!という大きな音を立ててさっきの乳母さんが来た。そうして魔法で哺乳瓶の中に入ったミルクを出す。
魔法って本当にあるのか。ある世界だとは聞いていたがやはり直で見ると不思議だな……私はぎこちなく
「アハ、アハハ!」
と笑う。すると乳母さんが
「あらまぁ、綺麗に笑える子だわ。流石クミ様とファル様の子!」
と笑いながら言う。この世界の言語は分からないが多分、そうやって言ってるのであろう。生まれた時から何となく分かるようにはなっているんだなぁ……人間って意外と凄い。
乳母さんが手に持っている哺乳瓶を差し出す。生まれてから当たり前だが何も飲んでいないので、かなり喉のかわいた状態になってる。私から見たらその哺乳瓶が凄く神々しく見えた。
早速哺乳瓶に手を伸ばし、掴む。だが哺乳瓶はポロッと落ちる。
ー赤ちゃんの時ってこんなに握力なかったっけ?
そんな疑問が浮かんだが、喉が渇きすぎて何にも考える気にはなれなかった。
哺乳瓶を落とした様子を見た乳母さんが、私の口に哺乳瓶を当ててくれる。
ーゴクリ。
哺乳瓶の中に入っているミルクを1口飲む。意外と美味しい。スキムミルクって感じがするな。でも喉が潤う気はしない。まぁ全部飲めば変わる……よね?
ーゴクゴクゴク。
一気にミルクを飲む。なんて言うかやっぱり美味しいけど……わがまま言うと炭酸が飲みたい。
あれ?そういや私の名前って何なんだろう?転生前の希望で親に決めて貰う事になってるけど……あ、そうだ。ステータスがあるんじゃん。それを思いついた私はミルクを全部飲みきって、寝る振りをした。すると、乳母さんは
「寝るのが早いこと。では、おやすみなさいませ。」
と言って部屋を出ていった。
そうしてドアが締まりきった後、ベビーベッドに寝転んでいる体形を座っている体形に変える。今までよりも部屋を見渡せる様になった。隣にはもう1つベビーベッドがある事に気づく。ベビーベッドの上には男の子が横たわっていた。
あれは……海斗か?話しかけたいけど赤ちゃんの状態で日本語って喋れるのかな?まぁやるしかない。
「かいとーかいとー」
「まりまり何?」
いつの間にかまりまりが定着してるー……つか日本語話せたんだ。
「ステータス確認しない?」
「あー……そんな事言ってたな、そういや。」
そう言って私はなるべく控えめな声で
「ステータスオープン。」
それを見た海斗も真似して、
「ステータスオープン!」
ちょっ!馬鹿!声がでかい!こんなんで乳母さんが来たらどうするの……
「海斗!声がでかいー。」
とりあえず小声で注意はしておく。
で、ステータス。青くて透明な画面になっていて、触れない。てか通り抜けてしまう。さて、ステータスの確認。
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エレナール・フラット
Lv1(???)
魔法
未習得
(全属性MAX、分子分解)
スキル
大公の威厳
(不老不死、終焉、大魔法、破壊神の魔圧、終わりの世界への鍵)
PS
アリアスです。真理様、無事に転生できて何よりです。
ステータスにある()が気になりますか?それは人に見られると流石に不味いステータスです。神の力で隠してありますので見つかりませんよー!この追伸も見られません。では、いい人生を!
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私の名前、エレナールか。長いなー……エレナって呼んで貰えばいっか。
というか。ヤバいスキルとか魔法ばっかだな……どうすんだコレ。
これを隠して生きてゆけと……アリアスさんの追伸は……神の管理システムがステータスだし、まぁ特に問題ないな……
海斗の方のステータスどうなんだろ。そう思って海斗に聞く。
「おーい……海斗ー……ステータスどうだった?」
そういやステータスって他人に見せる時はどうすればいいんだろう。
そう思うと情報が頭に流れ込んでくる。アリアスさんが送ってくれたのかな?どうやらステータス提示って心の中で唱えるっぽい。
提示って……オープンは英語なのに……急になんか……まぁいいやー
1部だけ見せることも出来るらしい。異世界便利やな。
「おい!」
海斗が叫ぶ。うるさい。何?
「人の話聞いてるか?まりまり。」
あー……考えてて聞いてなかった。
「ごめん。ステータス見せ合いしよっか。」
「いいぞ!」
そうして心の中でステータス提示って唱える。するとステータスが見えるようになった。凄い。海斗の方も見える。
さて、海斗のステータスは……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーカイ・フラット
Lv1(???)
魔法
未習得
(回復、結界MAX、その他9、魔法創造、物質創造)
スキル
大公の威厳
(不老不死、原初、創造神の慈愛、新たな世界への鍵、大魔法)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー海斗の()も見えるんだ……
「おおーすげぇ!まりまり!エレナールって名前なんだ!」
あ、そうだ。今のうちからカイって呼ばないと海斗って呼んじゃいそう……
「ねぇー海斗ー今からさ、私の事はエレナって呼んでー。海斗のことはカイって呼ぶから。」
そう言うと、海斗にその意味が伝わったのか、
「あぁ、分かったまりm……エレナ!」
今絶対まりまりって言ったよね?まぁいいや。意識してくれてるし。
「ねぇカ……」
カイ、と言いかけたその時、
―ガチャ。
大きなドアを乳母さんが開け、私達の所にやってきた。ヤバい。寝た振りしなきゃ……
急いで寝た振りを私はする。一方の海斗……いいやカイは起きたまま、
「たーあい!あいあい!」
と、両手を乳母さんの方に振りながら座っていた。その様子を見た乳母さんは驚いて、
「生まれたばかりですのに、元気な事。」
と笑っていた。
カイって意外と頭いいんだよね。実は。大学受験とかはカイやる気ないし、だから成績悪いんだよなぁ……何故かカイは頭いい事私に隠してるけど。
あー……赤ちゃんの体で考え過ぎた。眠い……
もう一度寝るか。
そうして、転生後の初日は終了した。
カイ「なぁなぁまりまりー。」
エレナ「まりまりって言わないの、私はエレナールだよーんで、何?」
カイ「エレナの一人称なんかエレナっぽくないんだけど……」
エレナ「あー……それはねー……考える時は余分な伸ばし棒とか無しで考えてるからね。そのお陰で問題とかは解きやすいよー?時間短縮ってか……」
カイ「という事で!カンペ行きマース」
カイ、エレナ「「ブクマ、評価宜しくねー(!)」」