表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
創造神と破壊神、1000年の旅行記  作者: 那須甥紫依
プロローグ 転生まで
4/7

創造神と破壊神、転生する

そうして夜が明けた。

コンコン、とノックの音がし、その後から

「真理さん、真理さん、起きてください。」

とアリアスの声がする。真理は眠そうな目を擦りながらドアを開け、

「はぁい。真理です。アリアスさんどうしましたか?」

アリアスに聞く。するとアリアスは

「もう朝ですので起こしに。今日は転生の日ですよ?急いで広場……と言いますか、転生の儀式の場……と言いますか……まぁそういう所に行くので……身だしなみ整えますので、ちょっと動かないで下さいね。」

そうしてアリアスは魔法を使う。

すると真理の姿があっという間に赤と黒を基調としたドレス風のワンピースとなった。しかも地味に動きやすい。

その魔法に驚いた真理は

「おぉ!凄いですね!しかもサイズピッタリ!」

その言葉にアリアスは得意気に頷き、

「私が頑張って作った魔法です!神々の中でも高い評価を得られたんですよ!」

と言ってドヤり出した。

急なアリアスのキャラ変に若干引きながらも、真理は

「では、その広場……に案内してくれますか?」

「えぇ、了解しました。部屋の中以外は魔法の使用が禁止されてますのでね、転移せずに徒歩で向かいます。」

そうして歩き始める。3分後位だろうか。1つのドアの前に立った。真理はもう着いたのかと思い、

「アリアスさん?もう着いたんですか?」

そう聞く。だが、アリアスは否定する。

「いいえ、もう1人連れてかないと行けない人がいますので。」

誰だろう……転生の神様とか?……そう思いつつ真理はノックする。

すると聞き馴染みのある声で、

「誰だ?まぁいいや、入って。」

誰がいる部屋か何となく察した真理はドアを開ける。

すると中には案の定海斗がいた。そして海斗にも同じようにアリアスが説明する。

「海斗さん、今日は転生の儀式の日です。なので広場……と言うか……そういう所に行きますよ……身だしなみの魔法使いますので、動かないで下さいね。」

すると、海斗の服はたちまち真理と同じような赤と黒を基調とした服になる。違うところと言えば、海斗の服はパーカーと短パンだ。

そうして3人は再び歩き出した。


30分ぐらい経っただろうか。海斗は真理の肩に手を乗せる。

「真理ー。俺もう飽きた……同じ様な道ばっかりでさぁ……」

まるで子供の様な事を言っている海斗に、真理は呆れながら肩に乗っている海斗の手を払う。

「海斗君はー……カッコよくて、運動神経が良くて、大人っぽい人だと思ったのになぁ……」

そう笑いを堪えながら言う真理に触発されたのか、単細胞の海斗は、

「そうだよな!大人っぽいならしっかり歩かないとな!」

と、しっかり歩き出した。馬鹿である。

「もうそろそろ着きますよ。」

アリアスはそう言って歩く速度を上げる。

すかさず真理と海斗は速度を上げ、アリアスについて行く。

そうして3分位経った所で、急に景色が変わり、草が生え、風が吹いている美しい広場に着いた。中央には神殿の様な建物がそびえ立っている。

「着きました。ここが神殿、そして広場です。転生の儀式は真ん中の神殿で行います。」

大きな神殿の近くまでアリアスは歩き出す。その速度はかなり速く、急に速くなったアリアスに驚いた2人は走り出す。

海斗の方が少し早くアリアスに追いつき、真理が後から来た。

真理は息を切らしながら、

「はぁ、海斗、速、すぎでしょ、ハァ。」

海斗に抗議する。海斗はドヤ顔で

「まぁな!俺、最強だから!」

そんな海斗を真理はジト目で見ていた。そんな中、アリアスが

「では、中に入って儀式の説明をします。」

アリアスは転移魔法を使い、一気に転生の場に移動した。


ーーそこは、大きな青白い魔法陣が書かれていた、不思議な空間だった。


「おぉ!すげぇぇぇ!でけぇ!すげぇぇぇ!」

相変わらず単細胞な海斗は周りを駆け回る。

もっとも、駆け回るという速度では無かったが。

「こら、騒がないの。」

まるで図書館ではしゃぐ子供を止めるかのように真理が言う。

「おっ!スマン!興奮してた。」

そうして海斗は大人しくなる。やればできる子なのにやらないのがとても残念だ。

アリアスが手を叩き、

「説明しますよ?いいですね?」

と2人に言う。

2人は肯定と言うように首を縦に振る。そしてアリアスが話を続ける。

「ではまず、希望の世界を聞きましょうか。それと、お二人は一緒の世界に転生しますので、そこだけは覚えといて下さいね。」

すると海斗がすぐさま口を開き、

「俺!魔法のある世界で!後難しいのは真理に任せた!」

一つだけ希望を言い、丸投げした。

はぁ……と一つ溜息をつき、真理が言う。

「えっと……じゃあ、地球の様な車やスマホ……とかは無い世界……文明が発達してない世界で、海斗が言ったように魔法あり、それと物価は日本と同じ感じの世界で……ありますかね?」

希望を聞いたアリアスは少し黙り込み、口を開く。

「ありました!2つありましたね……殆ど同じなんですが、魔物がいるか、居ないかだけ違いますね……どちらにします?」

「魔物ありで!!!!!」

海斗が凄い剣幕で言う。真理も異議は無いのか、静かなままだ。

「了解しました。次に、容姿と、家柄、お二人の関係性を聞きましょうか。まず、容姿と転生後の名前に、希望はありますか?」

そうするとまた海斗がすぐさま口を開く。

「俺!カイがいい!絶対にカイがいい!」

「了解しました。真理さんは?」

「うーん……何でもいいです。転生後の親に決めて貰いましょう。」

「了解です。では、お二人の容姿もお聞きしますね。」

海斗は首を傾げる。

「うーんと……真理と同じ感じでいいや!真理!俺のも決めといて!」

またもや丸投げされた真理は少し考え、

「じゃあ真っ赤じゃない薄めの赤、なんて言うか赤とピンクを混ぜた感じのやつ、あの髪色で、目の色は私が深紅で、海斗は群青で。」

「髪色はこんな感じですか?」

そう言って魔法で色を映し出す。

「あっ!それです!」

真理は食い気味に返事をし、アリアスは魔法を消して、

「了解しました。最後に家柄と関係性ですかね。希望はありますか?」

「俺無理、真理お願い。」

早くも諦めた海斗は真理に更に任せる。

「はぁ……海斗丸投げしすぎ……じゃあ……食うに困らない程度の貴族……大公位にしましょうかね……」

「分かりました。関係性はどうします?婚約者が私的にはお勧めですが……」

真理は海斗の方を見る。するとあからさまに嫌そうな顔をしていた。

「婚約者は無しで、えっと……双子とかどうですか?」

「了解です。後何か希望はありますか?」

真理は考える。そして1つ大事な事を思い出しアリアスに告げる。

「そう言えば……大公なんですが……なるべく悪徳貴族って感じのしない大公を……それに、跡継ぎ争いとか嫌なんで……絶対に範囲の及ばなそうな1番下の子になるようにできますか?」

「勿論です!神にできないことは無いんですから。では、これから転生を行います。転生の方法は簡単!お二人の全魔力を凝縮して、魔法陣に投げるだけ!あっという間に転生できますよ!」

あ、そうそう、とアリアスが付け足す。

「向こうの世界にはステータスって言うのがあります!これは、神が簡単に人間達の能力が管理出来る様に作られたシステムです。まぁ人間達は気づいてないんですがね……ステータスオープンって唱えると見れますので、是非お試し下さいね!では、お二人とも全魔力込めちゃって下さい!」

そうして未知の力、魔力を簡単に凝縮していく海斗。

創造神になった時に使い方を覚えたのであろう。

そうして海斗の魔力の塊が出来た。青白くて、透き通っている。

かなり高い宝石の様だ。

「おぉ!すげぇぇぇ!これが俺の魔力か!」

「これを向こうの世界では魔石と呼びます。魔物が自主的に生成しますよ。」

海斗を見て真理も凝縮しだす。


すると、周りは黒く、中心部は燃え盛る炎の様に真っ赤な魔石になった。

その時である。

その魔石から妙な波動が出され、神殿が分解されていったのだ。

アリアスは顔を真っ青にして、転移した。そして直ぐに帰ってきて、世界樹の果実を食べた時の様に、沢山の神々を連れてきた。

そうして真理は聞く。

「どういう事ですか?アリアスさん。」

そしてアリアスが口を開く。

「もう……この時が来てしまうとは……」

意味不明な言葉に真理は苛立ちを覚える。

「どういう事ですか?」

すると、アリアスの後ろに居た青色の髪、青色の目をした神が話しだす。

「貴方は……終焉の破壊神なのよ……」

そんな厨二っぽい名前に真理は戸惑いつつ更に聞く。

「なんですか?それ……」

「終焉の破壊神は……数千万年に1度だけ破壊神の中から出てくるの。普通の破壊神は、世界は壊せないんだけど……終焉の破壊神だけは、世界を壊せる……いや、壊さないといけないの。」

急にぶっ飛んだ話になって勿論真理、そして海斗までもが驚いていた。

「えっと……要するに……?」

理解できない……いや、したくなかった真理が青髪の神に聞く。

「要するに……貴方はいつでも世界……いや、神々まで消せる。」

やはりそうだったと言わんばかりに真理は顔をしかめる。

そして青髪の神が更に続ける。

「どれだけ粘っても1000年でこの秩序は消える。つまり私達のいる天界も含めて、どう足掻いても1000年後全て消えるってことね。」

真理は黙ったまま俯いている。

だが、海斗は理解しきれてないのか、頭の上に沢山のハテナを並べて、

「え?まりまりどゆこと?」

見かねた青髪の神が海斗に向け分かりやすく説明する。

「貴方達のいた地球には、銀河があったでしょう。あれでワンセット。それが地球の人類は気づいてないけど沢山あるの。ざっと500一持ぐらいね。」

「ご、ごひゃくいちじ?」

知らない単語に海斗の頭に更にハテナが増える。

でしょうね。と同情しつつ真理が、

「えっと……私もよくわかんないけど……無量大数あるじゃん。あれの28個後の単位。計算すると多分無量大数の140倍。」

と説明する。

「ほげー。」

ついに海斗の脳が限界を突破し、煙を出し始める。

青髪の神が溜息をつき、また話し出す。

「そんな事で止まってないで話し続けるわよ。で、それらを全て私達神が天界で管理してるわ。でも、数千万年に一度のペースで終焉の破壊神が現われ、世界がリセットされる。OK?」

そこまで言ってようやく理解出来た海斗は疑問を口にする。

「リセットされるのに、なんで管理の方法も、リセットされる事も知ってるのか?」

その質問に青髪の神は頷き、


「的を射た質問ね。貴方、えっと海斗君?貴方は創造神様なのよ。貴方も大事な役割を持っているわ。」

「え?俺?」

そう言って自分を指差す海斗。

「えぇ、貴方よ。あの娘が終焉の破壊神なら、貴方は原初の創造神ね。私達は先代の創造神様に管理システムも、リセットされる事も、全て教えてもらったのよ。」

「へーそうなんだ。」

質問の回答より、厨二っぽい名前に海斗は目をキラキラさせている。

「原初の創造神は、破壊神の破壊から唯一逃れられるの。そうして新たな世界と神々、それに秩序を創る。そうしてまた世界が始まる。」

「俺が世界を創るんだな!」

「えぇ。」

子供の様に目をキラキラさせている海斗に真理は思う。

ー私が世界を壊さないといけないのに。私、罪悪感で消えちゃいそう。

だが、それはあくまでも真理が一般人でいたいから。周りから拒絶されたくないから。そんな理由で悲しんでいる振りをしているだけ。

暫く黙っていたアリアスが口を開いた。

「転生しましょうか。深い事考えずに、普通に生きていけばいいんですよ。神だって、絶対に終わりを迎えるんですから。」

「そうしようぜ!」

海斗が無邪気にそう言う。真理も首を縦に振る。

「でも、さっきので魔法陣は消えちゃいましたよ?」

真理は聞く。だが、アリアスは問題ないと真理に告げ、青髪の神の方を向き、

「お願いね。アリン。」

すると青髪の神……アリンは首を縦に振り、指を組む。すると広場に魔法陣が出現した。

「すげぇぇぇ!あの人は誰?」

海斗がアリアスに聞く。するとアリンが海斗の方までやってきた。

アリンは近くに寄ると小さくなっていき、元々170cm位だったのが140cm位へとなった。創造神の前だから本来の身長に戻したのだろうか。

「アリンって言う。転生の神よ。」

海斗は驚いたように目を開く。まさかの転生の神だったのだ。

「私の名前なんかより、早く転生してくれるかしら?魔力の消費が大きいの。これ。」

呆気に取られている海斗をよそに、アリンは言う。

「あ、あぁ。転生するぞ。真理。」

「うん。分かった。では、アリアスさん、それにほかの神々の皆様、後は、前の創造神、破壊神のお二人、お世話になりました。天界から見ていて下さいね。」

そうして2人は魔法陣に魔石を投げ込む。


その瞬間、体はふわっとする感覚に包まれ、意識は闇へと消えていった。


真理「えっと……カンペがある。海斗、言うよー。」

海斗「おけまりまり!」

真海「少しでもいいなと思ったら、ブクマ、感想、お願いします!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ