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074 心根

「なんだコレッ!」

「まともに動けませんわ、なにかの魔道具かもしれません!」

「お、おい! みんなどうしたんだよ!? 体は重いけど俺は動けるぞ!?」


 さすがに敵全員を完全に動けなくする、とまでは行かないようだ。全員が全員真面目に修練してる訳でもないだろうし当然か……っていうのはちょっとひねくれすぎかな?

 そして、味方のSクラスも3分の2ほどが動けなさそうだ。本校舎組のSクラスも言わずもがな。でも、それ以外の奴はだいぶ動けている。ここからは彼らが殲滅するのを待つだけになりそうだ。


 ……それにしても、本校舎組の高1Sクラスはなかなか凄いヤツらだな。ウィズィの方が実家の格が高いからとリーダーを任せていたが、臆せずに助言したり案を出したり。

 この魔道具だって、要は「自分たちも動けなくなるけど、敵もおさえられるから倒すのは君たちに任せた」ってことだしな。貴族としてのプライドとの折り合いの付け方が大人というか、芯があるというか。こういうヤツらが大勢排出されるんなら、この国も安泰だと思わされた。



 四点結界・アリアトレゾールの拘束能力は主に3つ。重力の強化と、自分の周囲にある空気が強い粘性を持ったかのような動きにくさ、そして魔力の出力が大幅に減る弱体化だ。それらはMPが多いほど強くなり、まともに歩くことも難しい。現に俺の足元は、重力によってヒビが入っている。立っていられるのはレベルによるステータスの高さのおかげだ。

 周りのヤツらはそこまでいかない。Sクラスには膝をついている奴もいるが、ヒビなんてない。ただ、間違いなく動きは阻害されている。そして作戦通り、殲滅は順調に進んでいるな。


 魔力の出力が下がるとは、簡単に言えば10の魔力で10の威力を出す魔法が、10の魔力で5の威力しか出なくなるということだ。魔力を使おうとすると、マリアトレゾールがその魔力を奪っていくためだ。空気中の魔力……いや魔素だっけ? この疑問前にも持ったな。それも吸収するために、魔力の自然回復量もかなり少ない。

 そのため、MPが少ない面々が魔法で殲滅するのは効率が悪すぎる。それを見越して、本校舎組から支給されたのが低スペックの魔法剣──剣の魔道具だ。

 ていうか、無茶する奴がいたらそいつが魔力欠乏症になりそうで怖いんだけど、その辺りはどう考えてるんだろうな。


『試合しゅーりょー!!! 全生徒は戦闘行為をただちに止めてください! 違反したら生存数にかぞえませんからね!!!』

『ここからは、各試合会場の生徒にも我々の声が届くようになります。という訳で、みなさんお疲れ様でした! 』

『私からも労いの言葉をかけさせていただきましょう! お疲れ様でしたーっ! ここからは生存数のカウントに入りますので、チームごとにかたまってくださーい!』

『カウントと次のマッチングに約10分、次の試合の作戦フェーズまで15分ほどの予定です。少しの間ですがゆっくり休んで、控え室にはポーションもあるのでご自由に飲んでくださいね』

『ポーション飲みすぎて魔力酔いになった方は、医療室の先生が対処してくれるので遠慮なく声をかけてくださいね! お薬めっちゃ苦いから楽しみにしておいて下さい!!!』

『あ、それ言っちゃうんですね。知らずに飲んだリアクション楽しみにしていたんですが残念です』

『そうだったんですか!? それは失礼致しました!』


 相変わらずテンションが高いが、それが場の雰囲気を盛り上げているのは間違いないな。試合前は早朝だったから嫌だったけど、今は割と好ましい。


 ウィズィの方を見てみれば、本校舎組のSクラスと楽しそうに談笑している。彼らは本当にいい人達なんだなぁ。


「おやおや? ウィズィ様が取られて嫉妬ですかぁ!?」

「突然なんだ。俺はそういう嗜好は持ってないぞ」

「いいですよいいですよ、本人が勝手に言ってるだけですから、こっちも勝手に妄想……もとい、想像しておきます!」

「ユーリさん、ムムさん! お疲れ様でした!」

「フロース、おつかれ。間違いなく勝ってそうだし、次も頑張ろう」

「はい! そうですね!」


 ウィズィを見ていたのは5秒にも満たない「チラ見」と呼べる短い時間だったが、狙い済ましたかのようにムムに絡まれた。その雰囲気を取払ったフロースは、もしかしたら救いの女神なのかもしれない。少なくともあのジジイ(本物の神)よりは神っぽい。


「にしても、凄い結界だったな」

「そうですね~、でも修学部なんかがが相手だとすぐ無効化されちゃいそうです。ここで出した情報が観戦者経由で渡ったらほぼ確実に負けちゃうでしょうね~」

「それは怖いな……」

「怖いですね……」


 薄々気付いていたけど、『魔力創造主(マジックメイカー)』ってチートの中じゃ弱い方なのかもしれない。使い手が俺である時点で、俺の常識と想像力から飛び出た物質は創り出せないんだから。もっと漫画とアニメ見とけば良かったな……

『魔力創造主』を持っていても、四点結界・マリアトレゾールから脱出する方法はほとんど思いつかない。起点となった魔道具を破壊するのはできなくもないが、それで結界が壊れなかったらほぼお手上げだ。


「そういえばユーリさん、母がお話したい事があると言っていたんですが、今週、お時間が空いている日によければ来て頂けませんか?」

「突然だな。お礼のことならあの首飾りも貰ったしもうホントに要らないんだけど、話ってなんだ?」

「私はなにも。ただ、お母さんのあの顔は……引退する前の、冒険者の顔でした……」

「……そういや、フローラさんは冒険者に復帰しないのか?」

「その意思は無いらしいですよ。そっちも理由は教えてくれませんでしたけど」


 フロースの突然の提案に驚きながら話していると、ムムが当然のように割り込んでくる。


「おやおやほうほうふむふむなるほど。おふたりは親公認の仲であった、と……そして、母親の身の上話までするような仲だと……おやおやふむふむ。これはいいニュースですねぇ、私としては話題のエルフ美少女との二股かどうかが気になるところです!」

「アホなこと言ってんな。もう次の試合始まるぞ」

「あれ!? いつのまに結果発表が終わって!?」


 本当はその前に控え室に戻らなければならないのだが、周りが移動し始めていることに気付いたムムは焦って混ざりに行ったため俺にそれを指摘することは無かった。


 え、試合結果? 多分勝ちでしょ。聞いてなかったや。

下の☆を★にしていってくださると嬉しいです。


今更ですが、ユーリはお爺さんの方の神様を嫌ってるみたいですね。まあ、言ってしまえば誘拐犯ですし仕方ない。

爺さん、最初に『知識庫』&『鑑定』というボーナスは付けていたけど、本人の口からは説明もロクにしませんでしたし、(特に「合格」していない人に対して)だいぶ適当な仕事してましたからね。


クラスメイト編も3章で書きますが、だいたい皆爺さんのことは嫌ってます。まあ、その辺はおいおい。

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