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070 怒涛

 10分の作戦フェーズでの動きは、高等部と修学部で対極的だった。高等部2年生が1箇所に集まって積極的に意見を言い合ったり笑いあったりしているのに対して、修学部の2年生は数人または1人でバラバラのまま。作戦を事前に決めているのか、必要ないと思っているのか。


「魔法使い同士の戦い……楽しみだな」

「2年生同士の戦いですから、単なる弾幕戦というわけでも無いでしょう。私も楽しみです」

「フフン、さすがウィズィ様! 分かっていらっしゃる!」

「あなたは……」

「おっと! 初日にも名乗りましたが、個別に挨拶はしていなかったのでもう一度名乗らせていただきましょう! 私はムム! 放送委員のミミ、メメを姉に持つ、放送委員所属希望の新一年生! 皆様と同じSクラスに所属された者です! どうぞよろしく!」


 会話に突然割り込んできた、何とも安直な名前の女子が元気よく名乗る。確かに言われてみれば、さっきから聞こえている実況者の声と似たものを感じるな。

 ……失礼な感想だが、心の中だけで留めるものだ。許して欲しい。


「挨拶が遅れて申し訳ありません。ウィズィと申します、こちらこそよしろくお願いしますね」

「俺はユーリだ、よろしくー。ムムは貴族なのか?」

「そうですよー、まあうちは男爵なんでほぼ平民みたいなもんですけどね! でも、そんな中でSクラス入りしちゃったから、これでも期待されてるんですよ~、私って!」


 こ、これが……あの伝説の「隙あらば自分語り」と言うやつか? ……いや、自己紹介の延長戦だろう。あまりバイアスをかけるのは良くないな。


「それで、ただの弾幕戦にはならないってのは?」

「おっと、では私がご説明致しましょう! この学院では、通常の基本・発展属性魔法の他に、ユニーク魔法やそれに関連して魔法陣、魔法そのものを込める魔道具などについて深めることが目的とされています! そのため、魔道具や魔法陣による罠が予想されるわけです!」

「他にも、命属性や氷属性の魔法で分断して局地戦をしかけたり、水属性と氷属性魔法で足元を不安定にさせたり、というのが王道の戦略になりますしね」

「そのとーりです! さっすがウィズィ様!まーあとは、準決勝からは別の疑似空間で戦うことになりますから、いろいろ大変になるんですよね~! 森とか障害物が多いから嫌いです!!」


 なるほど、言われてみればと言う感じだ。『基本属性魔法』は、俺がミーシャを誘拐しようとした黒豹に向かって放った【水鎖漠(みずさばく)】みたいな、ただの攻撃魔法じゃなちものが第四位階から出てくるんだ。そりゃあ、魔法学院でそれらが使われないわけがない。

 しかし、命属性魔法で分断か。いまいちイメージできないな。


「ま、いっか」


 実際見てみれば分かる事だ。実況解説もあるんだしな。




 ༅




 10分は思っていたよりあっという間に過ぎる。それは、恐らく隣で延々と会話を続けているウィズィとムムのせいだろう。途中でなるべく自然に会話から離脱したのだが、ついに一度も会話が途切れることはなかった。おそろしい……


『さぁぁてさて!!! 作戦フェーズ終了まで1分を切りました! 作戦フェーズの終了と同時に中央の壁が取り払われます!!! カウントダウンするからタイミングはそれに合わせてねー!!』

『チームを隔てている壁は、地面に沈み込んで収納されるので、初手の参考になさってくださいね~。とは言っても、ここらへんの詳細は公開情報ですね!ちゃんと調べるか去年のことを覚えていれば把握済みでしょう!』


 俺はもちろん知らないが、周りのヤツら──ウィズィやフロース、ムムにそれ以外の全員知っている様子だった。


『さぁカウントダウンです! 観戦の皆様も5秒前から一緒に声を出していきましょぉぉお!!! ……ではいきますよ!!ごぉおぉぉお!!! よぉぉぉぉおん!!!』


 観客の声と合わさって、まるで地響きのようだ。東京ドームのコンサートとか、こんな感じだったんだろうか。

 隣にいるウィズィまでも、声を上げてカウントダウンに混ざっている。控え室にいるメンバーでカウントダウンをしているのは半分程度だった。せっかくなんだし俺も混ざるか、と考え、途中から参加することにした。


「「「「いぃぃぃぃち!!!!ゼロぉぉぉぉお!!!」」」」

『戦闘フェーズ開始ぃぃぃぃぃぃい!!!!』


 作戦フェーズが始まった時と同じように炎の塊が打ち上げられ、爆発する。否が応でもテンション上がってくる。


『おっと、高等部2年チーム、開始早々約半数が突っ込みました! しかし、突っ込むにしては支援術師と回復術師を合わせても残る生徒が多いように思いますね!対する修学部2年チーム、動きがありません! まさか各自で迎え撃つつもりなのかぁーーっ!!!』

『修学部2年チームの数が少ないですから、高等部チームとしては位階の高い魔法で迎撃準備をしている読みだったのでしょう。それを、懐に飛び込んで近接で詠唱の邪魔をする。近付けば位階が低くても単純に魔法の威力も高まりますから、悪くない手だと思います』

『なぁるほど! おっと!突っ込んだ人達がぶつかる前に、第二位階魔法の属性弾が待機組から放たれました! 』

『ふむ、矢継ぎ早に攻撃をすることで、相手の余裕がなくなります。特に今回は、相手が突っ込んでくるというプレッシャーもありますから、余計効果的だと言えますね! このタイミングは、カウントダウン中に詠唱を始めていたのかな? 作戦フェーズでしっかり話し合えたようですね~』


 開始してまだ1分も経っていないのに、実況解説のコメントが膨大ですごい早口だ。

 見ている限り、高等部2年チームも修学部2年チームも、司令塔らしき人物はいないようだ。もしかしたら、『念話』みたいな頭の中で会話できるスキルを使っているのかもしれないな。


 なんて、呑気なことを考えていたが。すぐに状況は移り変わった。


『戦場の音声が聞こえないのが残念ですね~、どういった詠唱をしているのか……っとぉ!? これは!?』

『修学部2年の……確か、エンバー君でしたか。魔力の高まりからして、MPを500以上使う魔法のようです』

『距離を詰められ、近接の攻撃を避けながらの詠唱が続いています!!! 高等部チームには焦りの表情が浮かんでいるぅぅぅう!!! ハッ! 放たれました! この魔法は……』

『これは……火属性第五位階、【炎天火(えんてんか)】ですね。しかも、アレンジで自分に近付くほど温度が上がるようにしている。杖もカッコイイですね~』

『なんと!!! 環境侵食型の魔法はとてつもない魔力を使うと言われていますが……まさかこの目で見られるとは!!! 魔法発動者に近かった10人がリタイアとなりました! 一定以上のダメージを受けると控え室に転送されるようになっておりますので、ご安心くださいぃぃぃ!!!』


『おっとぉ! 別の場所では水属性の大規模魔法が発現していますっ!!! 』

『これも第五位階、水属性の【水鎖漠】ですね。第五位階の中ではアレンジしやすい部類ですが、それでもこの広範囲に広がっていくアレンジはなかなか面白い。もしかすると、先程の【炎天下】よりも魔力を使いますよ、これは』

『すごいですね~、彼らはいったい何レベルなんでしょうか!!!とても気になります!!!』


『これは……高等部チームの魔法です! ユニークじゃないですかこれ!?』

『ですね。魔法のユニーク持ちは一応全員チェックしているので、彼女の顔も見たことがあります。Sクラスの方ですね。申し訳ないが、ユニーク魔法については彼女のために詳細は伏せさせて頂きます』

『んんん!!それは残念です!』


『なんとぉ!! 乱戦になったからか前回のような分断がいまだ行われていませんでしたが、このタイミングで分断です!!! 先生、これはどういった意図があるのでしょう!?』

『いやあ……ちょっとこれは僕にも分かりませんね……しかし、魔法陣を仕込むだけの時間はあったと思うので、それ関係かもしれません』

『なるほど!! 数人がかりで魔力を込めれば、個人の魔法スキルレベルが足りなくても位階の高い魔法を発動することができます!!!』



 怒涛。圧倒。呆然。Sクラスの面々は、ウィズィやムムでさえも目の前で繰り広げられる戦いに魅せられていた。


「2年生でここまでとは……」

「今更ですけど、やばいところに来ちゃった感じありますね……ああ、ミミお姉さま。どうか私の時はあんまり実況しないでね……」

「すごくレベルの高い回復魔法です。たった一年で私もあのレベルになれるでしょうか……?」


 そして、かくいう俺も。


「魔法縛りで防具無しだと……魔力でのゴリ押しならいけるか? 接近戦は問題ないが、高位階の詠唱しながらトラップまで警戒するのは厳しいな。杖か本で補助すれば……くそ、楽しいな。口角上がっちゃうよ」


 ものすごく楽しんでいた。

設定詰めてるのでペースが落ちる落ちる


今までの文字数だと約2000字で、これくらいならスルッと読めるかなーと思って書いていたんですが、細かく書こうとするとやはり1話に3000文字以上かかってしまいそうです。

絶対にやめて欲しい!っていう方がいらっしゃれば、コメントいただければ幸いです。

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