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057 遊戯

「マルバツゲーム? ですか?」

「ああ。単純なゲームだよ。道具もほとんど要らないし」

「ほう……私もぜひ混ぜてください」

「構わんが……これは1対1の遊びなんだ。だから、やるならトーナメントか総当たりかな」

「ふむ……それで、ルールはどのようなものでしょう」

「まず、こうやって格子状に線を引く。マルと、バツの2つを使うんだが、これをどちらか一方が一種類を担当する。それで……」


 ウィズィとフロースに説明をすると、すぐに理解してくれた。さすがはマルバツゲーム先生だ。


「ま、実際にやってみた方がゲーム性が分かりやすいと思うから、まずは俺とウィズィでやってみよう」

「分かりました」

「じゃあ、私は観戦ですね! 勉強させてもらいます!」

「お、やる気だな。……それじゃ、優勝者には俺から景品をあげることにしようか」

「景品ですか?」

「ああ。要望に沿った物を、俺のできる範囲でなんでも用意しよう」

「……確か、ユーリさんは冒険者でしたよね。それでSクラスに入れる方……私、ちょっと本気でやりますね」


 場を盛り上げようと気軽に出した提案だったが、フロースの気合いの入れ方は……勘違いかもしれないが、鬼気迫るものが感じられた。


「んじゃ、どっちが先攻か決めようか」

「はい」


 そう言ってウィズィが右手を差し出す。その手は固く握りしめられている。そう、この世界にもじゃんけんはポピュラーなものとして定着しているのだ。“じゃんけん”という名称も、グー・チョキ・パーの手の形も、かけ声も。全く同じである。


 いくら考えても分からないもんは分からないんだが、こういった地球を彷彿とさせる事象を目にすると、(じじい)が口にした「親和性が高い」世界という言葉の意味を考えてしまうな。


「さーいしょーはグー、じゃーんけーん」

「ポイ」

「ほい」

「じゃ、俺の先攻で」

「これは痛いですね」


 ウィズィが言った通り、マルバツゲームは初手で真ん中を取るのが安定して強いからな。いや、実際どうかは知らないが、そういうイメージがある。


「じゃあ、遠慮なく」

「ふむ。ではここを」


 長引きようもないゲームなので、決着はすぐに着いた。


「ダブルリーチで俺の勝ちだな」

「これは……詰みですか。なるほど、この形を作られないように……」

「ま、賭けたものがそれなりにでかくなりそうだし、本気でやらせてもらったよ」

「むむむ……これは先攻を取るのが大事そうですね」

「よし、じゃあフロースもやるか」

「はい!負けません!」


 フロースの気合いの入りようを見ているとわざと負けてあげようかという気が少し湧いてきたが、大事なもんなら後で普通にあげればいいや、ということで全力を出すことにした。


「……負けたか、じゃあフロースの先攻で」

「では、基本に忠実に真ん中を頂きます!」

「では角を」

「じゃあここを」

「防ごう」


 引き分けルートに入ったなー、なんて思いながら進めると、案の定引き分けで終わる。


「あぁ……そういやこれ、引き分けになりやすいゲームだったわ……そーだそーだ思い出した。しばらくやってなかったから忘れてたよ」

「そうなんですか? うーん、それじゃあどうします?」

「……うん、そうだな、じゃあ五目並べに変更するか」

「別のゲームですか……次の授業まではまだ時間がありそうですね」

「似たようなルールだからすぐ覚えられるよ……『魔力創造主(マジックメイカー)』」


 スキルで薄い囲碁盤と碁石を創り出すと、横にいる2人が目を開く。たまたま目に入ったクラスメイトも驚いたような反応をしていた。


「これ……この前一瞬で着替えていたスキルと同じものですか?」

「フロースさん。スキルの詮索はマナー違反ですよ」

「別にいーよ、ウィズィ。戦闘中でもないのにそんなの気にしないさ……フロース、あの時の着替えは魔道具によるもので、今のはスキル。別物だよ」

「……すみません、ありがとうございます」

「はいよ」


 フロースに落ち込む隙を与えないように、五目並べの 説明をする。


「なるほど……マルバツゲームの延長戦みたいな感じですね!」

「その通り。その分、長引く時は割と長引くと思うけど……ま、そんなわけで、先攻どうぞ。さっきの変わりだからね」

「分かりました!」


 そうして始まったゲームは、3分ほどですぐに決着がついてしまった。負けたのは、俺だ。


「いや、初めてなのに強すぎでしょ……」

「これ、結構得意かもしれません! これすごく面白いですね、4つの並びを作ると負けだから、その一巡前には気付いて阻止しないとダメで……4つの並び自体は、マルバツゲームのダブルリーチに似た形を作ろうとして気付いたんですけど……!」

「お、おう、分かったから落ち着いてくれ」

「はぅっ!す、すみません!」


 すごい剣幕で詰め寄られていたのを、肩を押さえて落ち着かせる。これは……テンション上がっちゃうと口数が多くなる典型的オタクタイプか?

 確かに、暗めの茶髪、三つ編みの片側おさげ(髪型には詳しくないから雰囲気で名付けた)で、丸メガネをかけている。ふむ。そう言われるとそういう感じがするな。何も言われてないけど。


「それはともかく、景品の授与といこうか?」

「そ、そうですね。えーと……その、ユーリさんがすごい人だって思ったので言うんですけど、無理だったらいいので……えっと、私が欲しいのは回復薬です! できれば、欠損が治せるレベルのものを……」


 ……どうやら、思っていたより大事のようだ。

思ったより日常回になってしまいました。マルバツゲームのせいです。ごめんね。


続きが気になる、フロースと五目並べしてみたい!という方、ぜひ下の☆☆☆☆☆を★★★★★に変えていってください!

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