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049 契約

「ウルさん。昼ぶりです」

「こんにちは、ユーリさん。なんの御用ですか?」

「知りたいことがあるんだ。高ランク用の情報網を貸してもらいたい」

「かしこまりました、ただ、形式上何について調べたかこちらが把握できてしまいますが、よろしいですか?……はい。それでは、ギルドタグの提示をお願いします」


 俺たちは、再び冒険者ギルドに来ていた。

 ウルさんの訊ねに頷いた後、魔力を流してギルドタグを見せる。横でルチルが、「ホントだったのね……」と呟くのが聞こえた。パーティとは思えない信頼の無さだな。……ちょっとは普段の行いを気を付けようかな……


「では、ユーリさん、奥の部屋へ。お連れ様もご一緒でよろしいですが、知り得たことは全て他言無用で、マジックギアスで契約を結んでいただくことになります」

「面白そうだし、ルチル達も来れば?」


 ルチル()と呼んだように、ここにはエーシャとミーシャも連れてきている。


「まあ、このタイミングでユーリから離れるのも怖いしね……2人とも、付いてきてくれる?」


 ルチルがそう聞くと2人は頷いた。


「じゃあ、それで」

「分かりました、契約は同じ部屋で行いますので、まずは移動しましょう……フラウ、少しだけ代わりにカウンターお願い!」

「あ、了解で〜す! はい、じゃあ次の方どうぞ〜?」


 ウルさんに連れられて奥の部屋へ向かう。ギルドマスターの部屋があった2階ではなく、1階の奥が目的の部屋だった。


「では、こちらにおかけ下さい。先に契約を済ませましょう」

「頼む」


 ウルさんはそう言うと、机の引き出しから紙を数枚取り出した。


「もしかしたら、始めてご覧になるかもしれませんね。これがマジックギアスです。魔力を用いた契約を結ぶ、魔道具の一種ですね。この部屋で知り得た情報を漏らすと、契約書にその旨が表示された後に拘束状態……スキルも使えない封印状態になりますので、ご注意ください」

「面白いアイテムだな……それはこの国で作られてるものなのか?」

「半々、ですね。大抵はダンジョン産ですが、それを模倣して。ここ以外の国でも作っているようです。需要が商人や貴族・王族といった一部に限られるので、製造数はそれほど多くないと聞いたことがあります」

「なるほど……」

「契約を結ぶルチルさん、エーシャさん、ミーシャさんは、今の情報も、外で漏らすことはできません。本来は口止めされていない情報ですが、契約が優先されますので」

「なるほどな……なら、あまり無駄口は叩かない方がいいか」

「そうなりますね」


 この部屋の中で、初めてこの国の王様の名前を知ったとしよう。すると、この部屋から出た後に王様の名前を口にすると契約違反となって拘束されてしまう訳だ。

 気になることがあっても無闇に聞かないようにしないと、ルチル達に迷惑がかかるってことだ。


「契約内容を確認した後、下の欄に名前を書いて、その横に魔力を少しだけ付着させてください。魔力操作が苦手であれば、血を一滴垂らしても同じ効果になります」

「あー……エーシャ、ミーシャ、魔力はちゃんと使えるか?」

「あ、えと、僕は、使えます」

「私は……」


 どうやら、ミーシャは魔力の操作が苦手なようだ。『発展属性魔法』も上手く使えていないのかな。スキルレベルは2になってたみたいだけど……


「少しだけ血を採ろう……目を(つぶ)ってな」

「ごめんなさい……」

「大丈夫だよ」


 ミーシャがギュッと目を瞑ったのを見て、『魔力創造主』で針を創造し、ミーシャの指先に軽く刺す。零れた血に契約書が反応したのを見て、すぐに絆創膏(ばんそうこう)を創造して貼った。

 ミーシャは魔力欠乏症と同時に魔力中毒だった。症状は医者によって抑えられたが、ポーションや回復魔法を使うのはさすがに怖いからな。


「よし、ミーシャ、もういいよ」

「ん……」

「ねえユーリ、子供に優しすぎない? もしかしてアナタってロリコn」

「よし喧嘩なら受けて立つぞ表に出やがれ」


 冗談ではない。俺が人間を好きになるわけ無いだろうが。ましてや子供なんぞ……

 ……はあ。嫌なこと思い出したな。

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