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041 展開

(マスタ〜戻ってきたよ〜って……なにこれ?)

(ああ、アゲハ。ちょうどいい所に帰ってきたな)


 アゲハが俺の元へ帰ってきた時、俺はちょうど軟禁されていた。ミーシャは別室。『気配感知』で見ていた限りでは酷い扱いはされていないが、丁寧とも言い難い。


(アゲハ、兵士が誰かと連絡を取ってないか見てきてくれ。気配感知によればそう遠くないところにいるはずだ)

(りょ〜か〜い)


 あの時呼び止めた衛士は、明らかにミーシャのことを見ていた。俺に詰め寄ってきた時、ミーシャを確保するために無理やり怪しいところを捻り出したように見えた。それがたまたま俺の痛い所だった訳で、向こうは俺が答えを渋ったことに一瞬反応していた。

 考えすぎならそれでもいいが、ミーシャが保護の扱いをされていないことから、ほぼ誘拐犯と繋がりがあると考えていいだろう。今回の最悪のパターンは、国ぐるみで孤児・浮浪児を誘拐して人体実験をしている場合かな。


 ミーシャが再び誘拐される可能性がある以上、大元は潰しておきたいところだ。エーシャは心配するだろうが、ルチルは俺が死ぬとは想像もしていないだろう。

 治療院で症状は治してくれたが、病み上がりで体力が減っているミーシャにあまり負担をかけるのも酷か。アゲハの報告が来たらさっさと終わらせよう。



 数分もしない内に、アゲハが壁をすり抜けて戻ってきた。


(……ってあれ? お前壁のすり抜けなんてできたっけ? )

(あれ? ちょっと前から使ってたのに気付いてなかったの? 『透明化』のスキルが進化して『透過』になったんだよ!)

(うわーめちゃくちゃ便利そうだなそれ……っと、で、どうだった?)

(あれはまっくろくろすけだねぇ〜、子どもを確保しましたって魔道具で通信してたよ)

(そうか。相手が誰か分かったか?)

(あー、カタカナで長かったから覚えられなかったんだよね。ミトコンドリアダンシャク?みたいな?)

(なんじゃそりゃ)


 ミトコンドリアダンシャク……男爵か?直接潰すなら身元がバレないようにしないとだな。


「とりあえずルチルのとこに帰るか。ここにこれ以上情報も無さそうだし」

(どうやってでるの〜? 扉の鍵閉まってたよ?)

「ふふん、鍵なんて俺には関係のないものなのだ。これを見よ!」

(……針?)

「その通り。その名も〈どこでもピッキングマン〉だ!」

(名前ダサいよ?)

「そうだろうとも。何を隠そう、ネーミングセンスが無さそうな名付けがひそかにマイブームなのだ!」


 立つ鳥跡を濁さず。扉を切り裂いたり蹴り壊したりして破るのは時代遅れなのだ。



 ༅



「よす。戻ったぞルチル」

「ユーリ!遅かったわね……って、なんでそんなボロボロの服着てるの?」

「ああ、忘れてた。ドレス・コード:No.01(ナンバーワン)・冒険者」


 ドレス・コードの発声と共に、装備が一瞬で切り替わる。『魔力創造主』で創り出した魔道具によるものだ。コア・ネックレスと同じような、亜空間に収納する能力と、設定した位置に出現させる能力がある。ダンジョン産の変形する武器と同じくらいのお気に入りだ。

 ちなみに、ルチルに見せるのは初めてである。


「!! なにそれ! かっこいい!」

「ふふん、そうだろう……まあそれは置いといて。ミーシャは連れ帰ったぞ」

「その子が……エーシャは疲れて寝てしまってるの。起こした方がいいと思う?」

「起こそう。心配してたんだろう」

「分かったわ。ちょっと待ってて」


 ルチルがエーシャを起こしに行った間に、ミーシャを寝かせる場所を整える。

 エーシャとミーシャが過ごしている場所は、家とかろうじて呼べるようなところだった。窓は外れて直接風が入ってきている。一応奥に部屋があるようだが、寝室だろうか? 無闇に開けるのも躊躇われる。適当にソファでも創造しておこう。


「ミーシャ!ミーシャッ!!」

「エーシャ!落ち着いて!」


 エーシャが走ってこちらに来ており、後ろからルチルも追いかけている。ミーシャを轢きかねなかったので、慌てて止める。


「落ち着け、エーシャ。ミーシャの病気は治った。今は疲れて眠っているんだ。起こすんじゃない」


 エーシャを落ち着かせるのには今回も数分かかった。俺、なんかエーシャと一緒にいる時間のほぼ100%がなだめてる時間な気がする。天が俺を世話焼きキャラにしようとしているのか……?

 結局、エーシャはすぐにもう一度寝てしまった。先程までは、心配して疲れきったことによる眠りで、今回のは安心して気が緩んだことによる眠りだろう。


「さてと……ルチル、俺達もそろそろ眠ろう。待たせて悪かったな」

「別にいいわよ。野宿した時の夜番に比べたら軽いもんだわ」

「そうだな。今日も夜番にしようかなとも思ったけど、疲れちゃったし結界張っとくよ」

「結界って……相変わらずなんでも出来るのね。もう慣れちゃったわ」


 相変わらず人をびっくり箱みたいに言うのね。もう慣れちゃった。

新作書いて書籍化の話頂けたらプロになれるのだろうか。という愚かな思想に囚われているので、こっちはしばらくお休みするかもしれません。新作投稿始めたらお知らせのために更新します。

就活生の苦悩を見ててくれ。

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