003 転
突然、俺たちの前に謎の女が現れた。その女はローブみたいなものを羽織っており、だいたい20歳ほどと思われた。そしてとてつもなくインパクトのある口調で喋った。精神攻撃なのかと疑うような口調で。
「あー、ごめんね!泣いちゃったね〜よちよち☆、怖かったでちゅねー☆悪いの全部おじいだからね〜☆後で一緒に文句言いまちょうねぇ〜☆」
「「「「えぇ……」」」」
「っだ、誰だてめぇ!? てめぇが俺たちをここに運んだのか!?」
ヤンキーが、止める間もなく反射的にケンカを吹っかけるが、女は怒鳴られたことを特に気にした様子もなく、目をぱちくりさせている。
なんだこの女……なんだこの女。ダメだ、あまりの衝撃にそれ以外の言葉が出てこない。女の整った顔立ちと言動とのギャップで脳が処理しきれないのかもしれない。
あ、さっきまで泣いていた女子生徒AとBもドン引きしてる。ふむ、その点、インパクトをもろにくらいながらも謎女に食ってかかったヤンキーは、なかなかいいメンタルしてるかもしれない。
女は言葉を発するのと同時にコミカルな動きで振りをつけて喋っており、それがウザさを増しているのだろう。
「お、キミ脳筋っぽいのにわりと当たってるぅ〜☆!えっとね〜、君たちをここに呼んだのは私の上司?みたいな☆? まあ、上司でもおじいって呼んじゃうけど〜☆? えっと、だからぁ、君たちからしたら共犯者みたいな感じかな☆彡」
「な、なんのために俺らを!! 何が目的だ、どうして俺なんだ!!!」
「うーん、それは私知らないから教えられないや☆」
「はぁ!?」
まさかの知らない発言に、ヤンキーだけでなく後ろにいる俺たちも思わず驚愕の表情になった。
でも、本当にこの女が知らないなら時間の無駄だ。何しに出てきたんだよ。……まだ考察してていいなこれ。
──にしても、考えれば考えるほど不自然さが出てくるなこの状況。
うちのクラスは3階で、しかも廊下の真ん中にあった。つまりバレずに犯行をするのはほぼ不可能ってことだ。言うまでもなく、昼間の学校だから警備員も在中していた。警察への連絡もうちの学校なら滞りなく行うだろう。そんな場所から俺たち全員をわざわざ運んだなんて現実的じゃない。
犯人だと自供してるし、眠らされたのはこいつらがやったんだろう。ここまでは確定でいいか。あの時は中庭の常緑樹の香りと思っていたが、あれは薬かガスかの匂いだったのか?
担いで運ぶのはさすがに非現実的かな。かなりの時間をかけるか、大人数で運ぶかしないといけない。
となると、別の方法か……催眠術の様なもので自分で歩かされたと考えた方が、まだ有り得そうだ。だがそうだとしても、他の人間の目をどうやって掻い潜ったのかはやはり分からない。
だが何にせよ、かなり大がかりなことをやってるな。それにしては俺たちに用があるようには見えないが……
そう、そもそもだ。目的が分からん。うちの学校にどこかの会社の御曹司だの御令嬢だのがいるなんて聞いたことがない。学校に手を出すってかなりリスク高いし、金目的はないと見ていいのか? あれ? もしかして目的は俺たちそのもの? もしかしてこれから実験動物にされちゃったりしちゃう? 今は実験の準備中ですか???
思考の途中で、ローブの女と目が合う。不可解そうな目で見ていたのに気付いたか、一瞬ニヤリと笑った……?あ、このローブなんか見覚えあると思ってたけど、そういやよく絵画とかで神様が着て……って。まさか。いやそんなバカな。
「ふむふむ。キミ、いいね。合格だよ。あとそこのメガネくんとそこのボサボサな髪の子もね☆。うんうん、3人かあ〜、あと2人くらい合格させないと怒られそうだし、そこの茶髪ちゃんと白い子も☆彡」
「は?俺?…ですか?ってか『合格』?」
「そ、合格☆。じゃあ今言った子はこっちにご案内で〜す☆彡☆彡」
そしてその瞬間、合格だと指さされた5人は光に包まれた。
「うおっ!? なんだこれ!? 光が、まとわりついて……?」
「っ!? なんだっ!? め、目がぁ!! 目がぁぁぁぁあ!!!!」
「おお!いいライトだな!俺のカッコ良さが際立つぜ!!!HAHAHA!!!」
「きゃあっ! なにっ!?…かのちー、わかんないけど多分離れた方がいい!ほら、速く!!」
「…わ、きれいなピカピカ……」
そんな、個性が出まくっているセリフと共に、5人の姿が掻き消えた。
1拍置いたあと、呆然としていた残された者たちは再び恐慌に陥り、先程よりも大きい騒ぎが起こるのだった。
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