031 入国
気になるが気にしない方向でいこう。『鑑定』レベルmaxはこれだから困る。文字化けってなんだ文字化けって。アカシックレコードとかじゃないだろうな。いや、ダメだダメだ。こういうのがフラグになっちゃうんだから。
動揺を少し顔に出してしまったので、内容に驚いた事にして誤魔化しておく。
「これは……驚いたな。真偽を確かめる魔道具とは……」
「僕達は緊急時しか使用は禁じられているんですけどね。それでも、便利な魔道具なのは間違いないですよ。この国の治安が良いのも、この魔道具の存在が大きいんですよ」
「他国との交渉なんかでも有用だろうね……相手の証言を確かめるでも、魔道具の存在を売りつけるでも。いくらでも思い付くよ……いや本当にすごい」
「ユーリさんは他国で貴族、王族の護衛なんかをされていたんですか?そのような視点を持つ者は中々いませんよ」
しまった。怪しまれたか?クレイの目が少し細められたような気がする。
「さてね。そんな経験が無いのは確かだが」
「そうですか?」
結局、雑に回答を拒否しておくだけにした。上手く誤魔化せるほど喋りに自信は無いから仕方ないのだ。
༅
「どうも、ご協力ありがとうございました」
「ああ。……そういえば、後から話を聞くかもって言ってたよな、どうやって俺たちを見つけるんだ?」
「それはですね……」
どうやら、先程の魔道具に残っている魔力から現在地を調べることが出来るらしい。街自体が大きな魔道具とか、街の形が魔法陣の役割をしているとかだとロマンあるけど……どうなんだろ。
「じゃあ、俺はこれで」
「はい……えーと、冒険者証明証を提示頂きましたし、入国に問題はありません。では改めて。ようこそ、魔道王国エリフィンへ!」
……内門が開かれると、先程まで聞こえなかった街の喧騒が耳に入ってくる。門から真っ直ぐに伸びているのは、横にもかなり広い、おそらくメインの通り。その左右には、門から入ってきた者たちを迎えるためであろう飲食店や雑貨店、武器防具店から魔道具の店などが連なっている。
(同じように門が封鎖されていたとはいえ、最初の街とは大違いの賑やかさだな……最初の街がピリピリしてたから余計にそう感じるな。)
「ねえ、ユーリ!ギルドへの報告に向かいがてら、ちょっとお店を見ていかない?」
「いいねそれ、賛成!」
(アゲハもなんか食うか?)
(もちろんよ!串焼きを所望するわ!串焼きがダメならステーキ!!!)
(串焼きで我慢してくれ)
大通りの両サイドに連なる店にも目が引かれるが、最も特徴的なのは通りの中央。フライトボードに乗って移動する人々だ。システム的には動く歩道が近いかな。店の近くで止まって人が降りた後、ボードだけが動き出しているので、おそらく公共の乗り物なんだな。
結局、ギルドに着いたのは門を通過してから2時間が経った頃だった。うむ。満腹である。
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ユーリ達が去った後の詰所で、クレイは先の件に関する報告を行っていた。その瞳に映る感情は、気のせいか少し無機質で。報告の最中も、ただひたすらに監視カメラより送られてくる外の景色を見ている。
「こちらクレイ‐3。クレイ‐5、真偽判定の結果を報告せよ」
「こちらクレイ‐5。証言は全て真実でした。追跡用の魔力も採取成功しました」
「了解。クレイ‐9を回収に向かわせる。クレイ‐5は引き続き、クレイ‐8と共に本日の職務を執行せよ」
「了解。通信を切ります」
「了解」
報告を終えたのを見計らって、クレイの横から声をかけてくる男がいた。先程までそこには誰もいなかったのは確かだが……クレイは特に驚いた様子もない。
「……5、何か異常は?」
「特にありません。気になった部分は報告書に纏めて送りますよ」
「はっ、そうかい。にしても、アイツらがあの赤オークを倒したねぇ……アイツは議会の子飼いの魔道士が敵わなかったんだぜ?俄には信じられねぇな」
「そうですか?身につけている装備はかなり高性能でしたので、僕はあまり疑問に思いませんでしたよ。……エルフの方は、まぁ、普通でしたけど」
「チッ、装備普通に見えたんだけどなぁ……はぁ、俺も鑑定系のスキルが欲しいぜ」
「仕方ないことに愚痴を言ってないで、さっさと業務に戻りましょう?」
「そうだな……まぁ、どうせあいつらにもすぐ会うことになるだろ」
「そうですね。協力を拒否するような狭量な方にも、悪人にも見えなかったので大丈夫だと思いますが……まぁ、ここからは僕らの考えることじゃないですね」
そこでパタリと会話は途切れ、ふたりは仕事に集中していった。
いろんな小説が30〜50話で更新が止まる理由が分かった気がした。書いて投稿しても誰も反応しないし、ポイントも変動がない。下がってもいいから、誰かが読んでるって作者に伝わるのは大切なんだと思った。感想とか送るようにします。
まぁ俺は、悪口みたいなコメントきたら萎えて投稿頻度がめっちゃ下がるんですけどね




