026 魔
間が空いて、他の作品を読んで、新作のネタや設定を考えていると、何を書いたか忘れちゃう。
長くなりました。気ままに書いて、区切りが良くなったら終わるスタイルなので、これからも長さがまちまちになるかも。もっと長くして欲しいとか、1分で読めるくらい短くして欲しいとか意見あったらください。参考にします。
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♡アゲハちゃんの☆トクベツ☆魔法講座♡
ふふん、特別にこの私が、この世界の魔法について教えてあげるわ! 感謝しなさい!
この世界の基本的な魔法は、4大属性(火、水、風、土)に光と闇を加えた6つの属性魔法。そして、少し特殊な無属性魔法ってのがあるわ! それ以外にもあるにはあるんだけど、そんなのレア中のレア。ダンジョンでゲットできるスキルオーブにもほとんど存在しないの! だから、ユニーク属性って呼ばれてるみたいね!
6属性の基本魔法には、「位階」って呼ばれてるものがあって、難易度が簡単な技能から順に、第一位階、第二位階って呼んでるみたい!あと、使える技能は決まってるけど、詠唱とか個人の資質とかで性能に差が出るみたい! だから、すっごく強い人とかは自分の詠唱を秘密にしてるんだって!
これでアンタもこの世界の魔法を使えるようになったも同然ね! 私に土下座して、串焼きを献上してもいいわよ! ……まあ、全部マスターが調べてたことなんだけど……次回があれば、今度は詠唱について教えたげる!
あ、ちょっとマスター?帰ってきてたの?……ううん、なんでもない……あ、串焼き買ってきたの!? わーい!!
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(「スライムの天敵」ねぇ?「スライム殺し」は俺の称号にある「熊殺し」と同等だろうから、それの上位ってことだよな……何百体倒したんだよ)
そんなことを思っていると、試験官、シールが俺の方を向いて言葉を発する。
「あとで戦うんだし見るのは構わんが、自分が見られても文句は言うなよ〜」
む。どうやらバレたらしい。しかも見たのが俺だと分かっているらしい。『魔力感知』みたいなスキルとか持ってないのになんで気付けるんだ……? あ、もしかして『気配察知』と『気配感知』で分かるのか!? うわー、そうっぽいよな〜、なんで今まで気付かなったんだ俺のアホ……帰って検証したい……
そんな荒れた心中のまま、奥の壁際にある的から、50メートルほど離れた位置まで移動して、いよいよ試験が始まった。
受験者のうち、8割くらいは緊張してるようだ。顔に出てるので非常にわかりやすい。
「さて、まずは遠距離攻撃を見る試験だ! 今回はスキルを含む魔法属性の攻撃を見るものだから、弓術、投擲術や鞭術などの物理攻撃は対象外とする! それらを主体にしている者も、模擬戦で見てやるから心配しなくていいぞ〜! じゃあ、攻撃手段を持たないものはそちらにはけろ!」
「「「はい!」」」
(いや、元気な奴ら全員はけるんかーい。やる気に満ち溢れてたから何故か期待してしまっていた……)
試験官も似たようなことを思ったのか、少しだけ目を大きく開いた。わかる〜。
「えー、こほん。残ったのは4人だな。では、そちらから順にいこうか。黒髪の君と、エルフの君は合格ラインを大幅に超えてそうだし、その魔法で残りの子を緊張させたら可哀想だからな」
そういって、俺と、その隣にいたエルフ(さっき鑑定をかけてきた奴だ)は後回しにされた。まあ、異論はない。
右端にいた女の子が、的の前に移動する。随分と緊張しているようだ。
「い、いきます!」
「おう、じゃあ真ん中の的を狙ってくれ!」
「はい!……ふぅ、私ならできる、私ならできる……『水よ!的に当たれ!【水矢】!』」
彼女の詠唱が終わると、水が彼女の手のひらに生まれる。それは少しだけ変形し、棒のような形になると、彼女の手を突き出す動きに合わせて的へと飛んだ。
……だが、お世辞にも速いとはいえない。運動の苦手な女子が投げた野球ボールと同じくらいの速度といったら分かりやすいだろうか。ただ、山なりに弧を描いて飛んでいくのではなく直線でゆっくり飛んでいく様は、魔法の不思議さを感じさせるものだった。
水でできた矢は、無事に的へと衝突した。魔法で強化されている的を破壊することも、ダメージを与えることも当然できず、水が飛び散る結果だったが。少女は、それなりに満足したようで、安心して少し緊張もとけているようだった。
「よし、いいぞ! 水属性魔法の第一位階だな!速度は遅いが、威力はそれなり、そしてなによりコントロールがとてもいい! 鍛えればBランクも夢じゃないぞ! では次!」
「やった!」
「はーい」
随分と褒められた少女が漏らした声と、次が出番の少年の返事が重なる。少女の魔法を見ても、少年に変な緊張はないようだ。
……俺? いやあ、魔法は全部すごいな(小並感)って思ってるよ? 詳しいこと知らないのはホントだしね?しょぼいだなんてそんなそんな。まあ、可愛いと思ったことだけは確かだ。……顔がだよ?
おっと、イマジナリーフレンドと話してる間に次の子の番が始まる。
「同じように真ん中の的を狙ってくれ!」
「はい。……『風よ集まれ、俺のもとに固まり、2つにわかれて飛べ。【風弾】』」
「「「おお〜」」」
バシッ!という音と共に、緑色の塊が的へぶつかる。最初に脇にはけた人達も、思わずといった様子でどよめいていた。男子が軽く投げた野球ボールくらいの速度もあったしな。
それに、音だけでも先程との威力の違いが十分に分かった。……というか、判断基準それくらいしかないよねこれ。試験官なんとなくで判断してないだろうな?
「おお! 風の第二位階か! 詠唱に無駄が多いが、その若さで使えるとは将来有望だ……うむ、パーティをしっかり組めば討伐依頼にも不安はあるまい。模擬戦で最低限の動きを見て、お前は合格にしよう! 模擬戦では魔法は撃たなくていいからな、見るのは立ち位置だけだ!」
「……え、いいんですか?」
「はっは、元よりそのつもりだったからな! まあ、詳しい説明は後でしよう! ……さて、後は君ら2人だが……エルフ君はともかく、黒髪君! くれぐれも、的を壊さないでくれよ?」
「いや、それは分かったが……面識もないのに人を問題児扱いしないでくれないか」
「おお、すまんすまん。では、エルフ君からいこうか。真ん中の的でよろしく!」
はぁ。試験官がいらんことを言ったせいで、他の受験生からの視線が大変なことになっている。こらそこ、こっち向いてヒソヒソ喋るんじゃありません。
……変な魔法撃ったらもっと酷いことになりそうだ。4大属性魔法で、適当に弱いの撃つことにしよ。合格さえすればいいのに、的壊すような鬼強い魔法撃つわけないじゃんね。全力で撃てとも言われてないのに。
エルフ少女は、試験官をチラリと見た後、すぐに的を見て集中を高めているようだ。こっちに気を取られずにちゃんと魔法を撃てるように祈っておこう。
「いきます。『風の精よ、私の願いに応えて、輪となって飛べ。【風輪】』」
エルフ少女の詠唱は、他2人とは随分違ったものだった。そのせいかは知らないが、威力も高いのが分かる。緑の風が縦に回転して、的にぶつかってしばらく回転し続けた後に霧散した。音では分かりにくかったけど、【風輪】は切り裂く技能だから、音は当てにならない。
ギャラリーも、俺へ向けていた視線をエルフさんに向けて感嘆の声を上げていた。
「まじかよ!」
「第三位階じゃねぇか……すげぇ……」
試験官もこの魔法には驚いたようで、一瞬目を見開いたあと、エルフさんに向かって突然質問し始めた。
「ふむ……今、縦に回転させていたのを横に倒して撃つことはできるか? 大きさの変更は?」
「どっちもできるわよ。狙う的が1つだったから、縦にして飛ばしただけ。……横にして撃ちましょうか?」
「ああ、いや。撃たなくていい。……第三位階、コントロールも素晴らしい、威力も持続性も高い。うむ。模擬戦をやるまでもなく合格とする! 好きなタイミングでメインホールまで戻ってていいぞ! でも、合格者用のあーだこーだがあるから、ホールの外には出ないでくれ〜。あ、ホール内の酒場になら行っててもいいぞ」
「え、あ、はい。どうも」
試験官の勢いに押されて、エルフ少女もたじたじだ。……というか。
「模擬戦せずに合格って……いいんすか?」
「問題ないとも! まあ、詳しいことはさっき言ったように後で説明する! ほれ、次はお前だ、ほれほれ」
「うざいつつくな!」
……さて。俺の番だが。いいことを知ってしまったな。模擬戦をパスできるとは。合格ラインも分かったし、威力も速さも丸パクリしちゃおう。
どうやら、エルフ少女は少なくとも俺の番まではここにいるつもりのようだ。ホールに戻る気配はない。
どうせなら詠唱まで真似したいところだが、あんな訳の分からん詠唱、さすがに怖すぎる。いや、試験官に釘を刺されるほどの謎の人物が魔法の発動を失敗するってのも面白いか? ……無いな。シュールすぎる。シュールネタはせめて身内がいるところじゃないと報われない。
位置についてから、手を的の方へ伸ばす。まあ、正直この程度の魔法なら集中とかしなくても撃てるから、緊張もなにもあったもんじゃないわ。
「いきます。『風よ、我が手に集い輪を為し、増幅反芻し、彼の下へ飛べ。【風輪】』」
風が俺の手に集まり回転し、輪の刃となって的へ放たれる。風の輪は途中で3つに分裂し、同心円状に重なったタイミングで、的へと衝突した。そう、技能神メルルが俺に見せた魔法をアレンジしたものだ。……アレンジといっても、威力や弾速をエルフっ娘に合わせてチューンダウン、つまり弱くしたものだけどな。
しかし、詠唱は4節。エルフ少女より1節多くなったことでほんのわずかに威力も上がってしまっているが、当然的を壊すほどではない。うむ。ギリギリ満足できる手加減具合いだ。
「お前……俺がさっき第三位階に合格出したからって威力を参考にしやがったな? まったく……合格だよ、合格。お前ほどの強者がなんでこんな低ランにいるんだか……」
「どうも〜あざっした〜」
試験官との模擬戦も楽しみではあったが、まあ、めんどうだしな。
ふむ、他の受験生の声をピックアップしようと思ったが全員声も出ないようだ。第三位階は別名、中級者の証。それを、エルフならまだしも若い人間が放ったんだから、まあビックリもするんだろう。知らんけど。
さて、ホールに戻るかね。
風の魔法が緑になるのは魔力のせいです。透明にして飛ばすには、詠唱で補わないといけません。
水属性は青く、火属性は赤く、土属性は黄色くなります。風だけ透明さが失われてデメリットがあるように思えますが、スピードという大事な要素で補正がかかるので不遇な属性扱いはされていません。
作中で書く予定のない設定を書く欄みたいになっちゃってるな、ごめんなさい




