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024 試

アゲハステータス

レベル:50

ベーススキル:『念話(限定、3)』『透明化(max)』『風魔法(5)』『念動力(1)』

オリジンスキル:『飛行(max)』

「あ、おはよマスター」


「おう、おはよう」


 はい。起きました。起きましたよ。だからそんなにほっぺたをつつかないでくれ、アゲハ。


「……やめてくれない?」


「心配させたのが悪いんでしょ〜、もう!」


 あー、そうか。アゲハからしたら、自分を創ったせいで意識を失ったように見えたのか。タイミングぴったりだったからな。


「悪かった、でも意識を失ったのはお前のせいじゃないよ、だから気にしないでくれ」


「……ホントに?」


「ああ。魔力だって危なくなるほど使ってないし、集中はしたけど気絶するほど異常なことはしてない、『マルチタスク』のスキルは使ってたけど日常と変わらないペースだったよ。だから信じてくれ」


「それは……分かった、仕方ないから信じてあげる。でも、私たちの間に隠し事はナシ!わかった!?」


 お前は俺の彼女かよ。束縛しちゃうタイプかよ。

 そんなことを思っているのがバレたのか、こわい顔した妖精が、グイグイと近付いてくる。


「わかったぁ〜〜?」


「はぁ、はいはい、分かりましたよっと」


「あ、こら!逃げるな!」


 俺は、面倒な相手には早々に見切りを付けてしまう悪癖(でも正直悪いとは思ってない)がある。だが、アゲハ(こいつ)相手には、なぜか強く出られないようだ。本物ではないのに、家族補正が入ってるのだろうか? よく分からん。




 ༄




 俺が泊まった宿は、ホテルやら旅館といった感じではない。西洋風な街並みに合った石造りの外見で、床は木製。あいにく、窓から見えるのはジャングルかというくらいの草木ばかり。


 街の敷地にそういった草木ばかりのスペースはよくあるらしい。店の主人に聞いたところによると、エルフや獣人といった種族を客に取りたい宿屋は、隣の敷地にこういった改造を施すのだそうだ。

 ちなみに、育てているのは薬草などの「使える」ものばかりらしい。商人らしい抜け目のなさだな。管理もギルドに依頼を出しているのだとか。


 長々と窓からの風景について書き綴ったが……何が言いたいのかというと、部屋の中にいると光が差し込まないから気が滅入るってことだ。

 俺たちは、部屋を軽くキレイにしてから朝食を食べに1階のフロアに降りることにした。


「おう!兄ちゃんおはようさん!」


「あい、おっさんおはよ〜」


 声をかけてきたのはこの宿の主人だ。女将(おかみ)さんと2人でここを切り盛りしている。1週間以上ここに泊まってはいるが、それだけではここまで気安い仲にはならなかっただろう。ではなぜこうなったかというと……


「あー、今日はパンのセットで頼むよ。」


「おうよ!今日はハムエッグにサラダだぜ!」


「いや毎日それじゃねぇか」


 主人が同時にコックでもある……というのもあるが、実際はただ単に、自分の小ボケにツッコミを入れてくれる存在が嬉しいだけだろう。面倒なおっさんではあるが、嫌いではない。

 主人との会話がひと段落し、席に着いて思考の海に潜ろうとすると、朱羽(アゲハ)が念話(声を出さず、脳内で話すスキル。朱羽のスキルの一つ)で話しかけてくる。


(ね〜マスター、今日は何するか予定あるの〜?)


(ああ。一応やっておきたいことがある。)


(ふ〜ん?じゃあそれまで、内ポケットの中で寝とくね!)


(あいよ〜)


 さて、メルル(こっちの神)と話した内容には、とんでもないものがいくつかあった。大きく分けると3つ。


 1.『魔力創造主』にはまだ()()がある。使い方なのか、効果なのかは全く分からない。


 2.これが一番重要。そもそも、『鑑定』と『魔力創造主』以外のスキルをまともに使うことができない。


 3.俺たちがこの世界に転移させられた本当の目的が別にある。本当の目的がなんなのか分からない以上、優先順位が付けられない厄介な情報だ。



 今日の予定は当然2番について。スキルが本当に使えないのか、『鑑定』『魔力創造主』は今まで通り使えるのかなど、いろいろ調べたいことができたからな。




 ༅




 終わった。こりゃダメだわ。マジでダメじゃん。いややーば。……おっとすまん、絶望して語彙力が消し飛んでたわ。


 ……とりあえず、俺のステータスを見せてやろう。


(『鑑定(かんてい)』)


 ────────────────────────

 〜ステータス〜


 名前:黒野祐里

 性別:男

 年齢:17

 種族:ヒューマン

 職業:無

 レベル:134

 HP:11259/8259(+3000)

 MP:16072/16072


 ・ベーススキル[P]

『マルチタスク(max)』『思考加速(max)』『無想剣(max)』『風導師(max)』『気配察知(7)』『不夜(8)』

 ・ベーススキル[A]

『基本属性魔法(風-・土-)』『光属性魔法(-)』『闇属性魔法(-)』『無属性魔法(-)』『剣術(max)』『刀術(max)』『槍術(max)』『棒術(max)』『札術(max)』『投擲術(max)』『弓術(max)』『魔術(1)』『望遠(2)』『暗視(6)』『気配感知(7)』『鑑定(max)』

 ・ギフトスキル[P]

 無

 ・ギフトスキル[A]

『魔力創造主(-)』

 ・オリジンスキル[P]

 無

 ・オリジンスキル[A]

『四季風(8)』

 ────────────────────────

 ※称号は今関係ないので省略



 俺の意思で表示の仕方を変更できなくなったから、おそらくこれが本来の書き方なんだろう。本来の動作ではないってのはこういうことなんだな、『鑑定』を発動する時も、脳内で「チェック」やら「ステータスオープン」やら「いでよ我が能力を示す天板よ」と言って発動できていたのが、試してみたら全滅だったしな。



 ……現実逃避はこれくらいにしておこうか。


 ステータスを見ただけで分かる悲惨さは、実は現実の半分くらいなんだよね……。まず、再鑑定して分かったのが、スキルの名前のうしろ、カッコの中にある数字とmaxという文字はスキルレベルを示していることだ。

 さて、勘のいい人はもう分かるだろう。(-)の表示だ。そうです。使えないんだよね、魔法。なんなんほんま、使えやんのやったらそもそも表示すなや!!!……おっとすまない、つい怒りで様々な県の方言が入り乱れてしまったようだ。


 『鑑定』の便利感も、大きく損なわれていた。前までは、やろうと思えば時間表示だって出来ていたが、今となっては夢のまた夢。以前は「世界」を『鑑定』して様々な情報を得ていたが、今ではそんなバカなことはできなくなっていたのだ。

 最前の動きを『鑑定』するとか、距離を『鑑定』するってのも同様にダメだった。


 問題はまだある。以前まではMPがゼロになってもなんとも無かったが、それは異常だったようだ。目眩、頭痛、酷い時は鼻血まで。どうやら、魔力欠乏という状態異常のようだ。

 今までは特に気にせずスキルをバンバン使っていたけど、これからは気をつけて行かないと。戦闘中に目眩が起きて死んでしまうとか、しょーもないのは御免だ。



 あ、そういえば、メルルがスキルを見直すって言ってたけど思ったより残ってたよな。まあ使えないものが残ってても悲しくなるだけなんだけど。


 救いといってはなんだが、アクティブ・ベーススキルのうち、『〇術』系のスキルの中で、俺が武器による強制的な扱い方の習得を行ったものだけは今まで通り使うことができた。





 ……変な感じだ。魔力は今まで通り動かせるのに、現実が今までのように動かないのだ。

 なんというか、手をいつも通りに動かせているのに、物を持っても動かない……すり抜けているようなものだ。


 以前のように、『魔力創造主(マジックメイカー)』で土や水の槍を創って飛ばすことは、辛うじてできる。でも、なんか違和感があるんだよな。言い表せない、変な感覚だ。上手く扱えない、というのが1番適切な表現だと思う。


 仕方ない。


「とりあえず図書館行って情報収集、それでダメならギルドで誰かに聞くしかないな。」


 朱羽(あげは)は、俺があーだこーだやっている間、ずっと大人しくしていた。……まさか内ポケットでずっと寝てたなんてことないよな?かなり激しく動いたんだけど……

スキル[P]はパッシブ、常に効果が出るものです。スキル[A]はアクティブ、能動的に発動しなければならないものです。



追記:齟齬が生じる表現を削りました。

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