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023 神

お久しぶりです。

000話、あんまり酷すぎたんで1から書き直しました、読んでみてください。そして、そこで使っている感じの文体で固めていこうかと思います。

また、今回の話では試しに、会話文を連続する時に行を挟まないようにしてみました。


7/26 大幅に修正しました。矛盾に気付いた方は報告頂けると嬉しいです!また、これに伴って次話も修正入れます!

「目を覚ましてくれ、黒野祐里。」


 そんな声をかけられて意識が覚醒する。


「ここは……」


 目を開くとそこは、見渡す限り一面、全て真っ白な空間だった。どこか既視感のある、遠近感のおかしくなるその部屋の中で。不審な男がひとりいた。……俺のことじゃないよ?

 パッと見二十歳くらいで、好青年という言葉が良く似合うイケメン。装飾品が少ないからか、金色のピアスが印象的だ。


 そして、その男の服装には残念なことに見覚えがある。お察しの人も多いだろう。そう、(クソジジイ)だ。あのジジイの格好とは少し違うが、同類なのは見て取れた。


「はじめまして。かなり特殊な状況だけれど、会えて嬉しいよ。ずっと話したいと思っていたんだ」


 ……ん?どういうことだ?初対面だよな?


「えー……っと?俺、なにか気に入られるようなことしましたっけ?」


「ああいや、別にそういうわけじゃないよ」


「そ、そうですか……? ……えっと、それではどういうことでしょう? 正直心当たりがないのですが」


 よく分からないのでもう一度質問を重ねる。相手が相手だからあまり踏み込みたくはなかったが、気になるんだから仕方ない。

 幸い、少し踏み込んだ質問にも嫌がるそぶりはなかったので、それをもとにこの後の会話の組み方を検討する。


「大したことじゃないんだけどね。君のスキル、『魔力創造主(マジックメイカー)』をデザインしたのは私なのさ」


「え゛」


 何気なく言われたその一言のインパクトに、一瞬頭が真っ白になる。


 言うまでもなく、『魔力創造主』がなければ俺はすぐに死んでいただろう。いや、『鑑定』もあったしウサギも群れでなければそれほど強敵では無かった。案外生き残っていたかもしれないか?……いや、生き残れても森から出られないか。


 大事なのは、目の前にいるのが誘拐犯の不審者ではなく感謝するべき神ってことだ。恩神(おんじん)とでもいうべきか?


「ふふっ、なんだい今の声は……まあいい。まずは自己紹介からしよう。僕は技巧神メルル。君のギフトスキルを例外的にデザインした神だよ」


 真実かどうか判断できないな。だが嘘だとしてもこちらにできることは無い、真実だと思って対応しよう。


「……質問はひとまず置いておいて。『魔力創造主(マジックメイカー)』には、かなり助けられました。感謝を捧げます」


「そう固くならなくていいさ。感謝を受けよう。だけど、本題に入る前に少しいいかな?」


 技巧神メルルは、先程までの微笑みを消し、真面目な顔を向けてきた。


「……なんでしょうか」


「いいかい、『魔力創造主』は、君が使っているほど、思っているほど、弱いスキルではないよ。というより、もっと他の使い方もできる、というべきか……『特殊効果が付与されているもの』を創る事で非物質を作れない制約を擬似的にスルーできることを思い付いたのは素晴らしいけれどね。

 あと、その他のスキルについてなんだけど。大半のスキルにとって【技能】は必須だ。本来は、スキルの獲得とレベルの上昇に伴って自動的に覚えられるんだけど……君はイレギュラーすぎたからね。そこは申し訳ない」


「……え、ちょっと待ってください?私は『魔力創造主』を弱いものだなんて思ってないですし……【技能】、ですか?一体何のことをおっしゃっているのか……正直、わかりません」


「そうだね……『魔力創造主(マジックメイカー)』の使い方については自分で見つけて貰いたいし、そんなに難しいことじゃないからそこは黙秘させてもらおうかな。で、【技能】についてだけど……見てもらった方が速いね。今ここで実演してあげよう」


 そういうと、メルルは横に手を伸ばした。魔力が彼の中でうごめくのが分かる。


「いくよ、よく見ていてね……『風よ、我が手に集い、増幅反芻(はんすう)し、彼の下へ飛び、()()けよ【風輪(ふうりん)】』」


 詠唱が終わり、スキルが発動されて風の魔法が顕現した。

 メルルの右手首に風がまとわりつく。その風が同心円状に三本、目に見える緑のエフェクトと共に形成され、手の向いている方へと複雑な軌道を描きながら飛んで行った。


「今のは……」


「ベーススキルのひとつ、『基本属性魔法・風』の技能【風輪(ふうりん)】。風魔法の技能では2番目に覚えられるものだけど、5節の詠唱で補強すればかなり強力なものだよ」


「技能、ですか?」


「そう、技能だ。詠唱も含めて、技巧神たる僕の担当しているモノだね」


 常識だと思っているのが、言葉の端々から伝わってくる。……だが、俺は。知らない、こんなモノ。


「うん、そうだね。君は知らない。だから知らなければならない。が、知るのは僕からではないよ。誰かから学ぶでも、本を読むでもいいから、自分で会得しなさい。

 ああ、さっきは“大半のスキル”にはある、と言ったが、主に魔法と基礎武術系のスキルだ。もちろん他にもあるけどね。……すまないね。技能についてはちょっとうるさくて。そうだ、話の流れも丁度いいし、本題の1つめに入ろうかな」


(……まだ本題じゃないのに、いろいろ衝撃が強すぎるだろ……)


「あはは、それも仕方ないさ。君にとっては全てが知らないことだろうからね。『鑑定』と『知識庫』を持っていても、あの状態じゃあ仕方ない」


 ……というか、この神もやはり心を読めるらしい。自然に会話が成立したせいで流しかけたぞ。


「いいかい、君含めた、合格者の上から3人。黒野祐里(くろのゆり)天井豪人(あまいごうと)雪屋鵠(ゆきやしろ)は、この世界と根源が近しすぎたせいで、スキルの挙動や習得率がおかしいことになっていた上に、【技能】も習得できなかった……

 称号の『拡大解釈』や、スキル『無詠唱』『効果拡張』が常時発動していたようなものだね。いや、これは君にとっては分かりづらい例えだったかな、すまない」


「名前からなんとなく分かるんで大丈夫ですけど……にしても、やっぱりそうですか。やけに簡単にスキルや称号が増えて変だなとは思っていたんです。その割に効果も大きかったですし」


「……ん?確か、称号のシステムは正常だったと思うんだが」


「……はい?」


「称号は、特定の条件を満たせば誰でも手に入れられるものだからね。この世界で持っている人が多くないのは、君も道行く人を鑑定していたから分かっているだろう。でも、それは単に力がないだけだ。冒険者なら、君以上に所持している人もいるんだよ?」


 ……と、いうことは。無慈悲だのなんだのっていう称号も正式なものってこと? え、普通に嫌なんだけど? 返却したいんだが? 鑑定されたら悪人認定されそうなんだが???


「はっは、『大量虐殺者』みたいな犯罪を表す称号じゃなければ、特に問題はないから気にしないで大丈夫さ。それと、無許可で『鑑定』するのはマナー違反だからね。君も、(とが)められる前にやめた方がいい」


 どうやら、称号の返却は受け付けてくれないらしい。そうか、俺は一生無慈悲な男であり続けるんだな……


「さて、話を戻すけど。君たちの存在は、この世界に完全に定着できた。こっちにきてからずっとあった精神のブレも収まるだろう。まあ、こんなに時間が掛かったのは君だけなんだけどね。

 また、それによって君たちの所持スキルは少し見直された。今までの行動を元に、本来取得できたもののみを残す形で、調整させてもらったよ」


「なるほど。妥当な処置だと思います」


「うん、ありがとう。ま、そんなに変わんないと思うけどね。……それで、言っておきたいことがあるんだよね」


「……?なんですか、改まって」


 さっきも思ったが、ずっとニコニコしてる人が急に真顔になるとかなり怖いわ。心臓に悪いとまでは言わないが、やめて欲しいものだ。


「いいかい、さっきも言った【技能】も影響する話だが、君の今までのスキル使用は、ほとんどが正常な動作を起こさなかった。本来の正しい手順で発動され、正常に動作したのは、ベーススキルでは『鑑定』以外にはほとんどない。

 ……何が言いたいかいうと、だ。このまま戻っても君は『魔力創造主』と『鑑定』以外のスキルはロクに使うことすらできないだろうってことさ。特に魔法系は顕著だ」


「……そこまで、ですか」


「そう。そこまで、さ。君が正当に『無詠唱』と『宣言破棄』を使えるようになったのはその2つだけだからね。

 キミは気付いていないのかな? 最初の頃は『鑑定』にもいちいちスキル名を宣言していたのに、いつの間にか省略できた、別の呼び方でも発動できて、他のスキルでも試してみたら無言で発動できた……はっきり言って、異常だよ?」


 ……ただ、コツを掴めば簡単なだけの技術じゃないってことか。今までのあの世界の常識がひっくり返ったような気分だ。

 だが、大丈夫なはずだ。ここでこの話をするってことは、正しいスキルの使い方を教えてくれたり、ここで特訓させてくれたりっていう意図があるはずだからな。


「フッ、さすがだね。地球のじいさんに気に入られただけはある……」


 そう言って、メルル(こいつ)はニヤリと笑った。

 と、いうことは……


「ま、教えないんだけどね」


「なんでやねん!!!」


「あっはっは!いやぁ、いい反応をしてくれるねぇ!」


 くそっ、殴っちゃダメだ、コイツは恩神(おんじん)、コイツは恩神(おんじん)……


「僕から君にできるのは、情報の提供だけだ。それも、重要度がとてつもなく低いか、逆にとんでもなく高いものだけだからね。いやホント、申し訳ない」


「神々の間の決まりごとって感じですか……それは、まあ、仕方ないですね……」


 そう思ってないとこの神殴っちゃいそうだからね、仕方ないね、うんうん。


「さて、そろそろ君の夢との接続も切れそうだ。君が目覚めても、ここで僕と話した記憶は残るから、その点の心配は不要だよ」


「そう、ですか。いろいろありがとうございました」


 俺の感謝に、一層笑みを深めたメルルは、少しずつ、少しずつ、薄れていく意識の中、ついでとばかりに情報を付け加えてきた。


「さて、この情報は『お詫び』だ」


 そう言って。


「時間はそう残ってないよ。君たちが送られた理由は『融和』なんていうふわっとしたものなんかじゃない。……ふふっ、これホントは言っちゃダメだったんだけどね?

 それと、だ。君は、何も言わなくても勝手に力を付けていくだろうけど……いいかい、君が、その力を振るうか、はたまた隠すか、知られた上で使わないことを選択するか……全て、君が決めるんだよ。()()()()力なんだから。……命を創ることは、ある程度控えてくれると助かるけどね……」



 その長ゼリフを言い終わると、メルルは少し笑った……気がした。


 薄れゆく意識の中で、祐里が思ったのは……


(意識朦朧(もうろう)とし過ぎて後半なんて言ったか覚えられてねぇ……)


 祐里()の性格上、ギャグテイストで終わるのは避けられないようだ。

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