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159 外。森。夜、煙。

お久しぶりです。

最終更新日10月23日から1年ちょい経過しました。更新待ってた人が居るとは考えていませんが、それでも、誠に申し訳ないです。

仕事がんばったり鬱診断されたり復帰した後もお仕事がんばったりで中々小説を書く精神になれていませんでした。


最近ちょっと楽になったのでまた書きたいんですが、自分でも設定が曖昧になってる部分があるので1話から読み直して設定とか確認してまたスキマ時間に書こうと思ってます。よろしく。


あらすじは前話をご確認ください。

「全員無事か!?」


「お~」


「私達は全員大丈夫ですね。他の方も……欠員は見当たりません!」


 最後の数分は全力疾走していたこともあって歓声を上げられるほどの余裕もなかったか、周りからは安堵のため息が零れていた。


「館が……」


 シトネの呟きに後ろを振り向けば、館が形を保てなくなったのか、端から白いモヤ……霧に変わっていく。


「結局、霧がどうやって発生してたのかは分からなかったな」


「生きてるだけで物種だろ? 少なくとも俺は満足してるぜ、Sランク様?」


「ま、それもそうか。どっちにしろ霧を漏らしてた館はこれで消えるんだから、問題は解決だろうしな」


 森の様相にも不自然なところは見つからず、異変が起こる前の状態だったのでやはりこれで解決なのだろう。


「キュイっ!」


「おー、よしよし。あんまり髪引っぱんなよ~」


「あんたそいつ……」


「ん? どうしたルチル。名前ならもう決めてるぞ。銀凪(ぎんな)だ!」


「キュイ~」


 銀凪(ぎんな)が俺の頭に丸まって寝そうな体勢になる。今こそ俺のバランス能力が大事になるな。輝け俺のスキル『天秤』!


「つーか、もう暗くなり始めてんな。どうする? 森出るまでそこそこ距離あったし、ここで一泊するか?」


「俺らはどっちでもいいぞ。シトネさん達はどうする?」


 ……どうでもいいけど冒険者のそこそこ歳のいったおっさんがシトネさん呼びしてるのちょっとキモいな。


「私達は……宿に戻りたい。森の中での野宿の経験がほとんどない」


「んなもん、俺たちがいくらでもサポートするが……」


「そーいや、アンタらも依頼を受けて森に来てたのか?同じ依頼なら同時に報告に行った方がいいかと思ったんだが……もしそうなら、最集合の日程を決めておかないか」


 冒険者リーダーのおっさんが変に日本人顔2人を引き留めようとするので少し強引に割り込むと、シトネが感謝の眼差しで一瞥(いちべつ)してきた。


「私達は、依頼を受けていたわけではありません。ただ、こちらに(えにし)があると()()()だけで……」


「なるほど。それで態々(わざわざ)出向いたってことは、困り事でもあったか?」


「その……多分、黒野君に頼み事があるんだと思う」


「……はい?」


 クロノクン。黒野君ね。久しぶりすぎて自分の名前だと気付くのが遅れてしまった。

 ……ふむ。今は()()の都合上、『鑑定』に表示されるパラメータにはユーリとだけ表示されているはずだが……どういうことだ? 俺の知らない上位のスキルか? いや、そういえばシトネは()()()()んだった。それか?


「……はぁ。なあ、黒野。本気で気付いてないみたいだから言うが、俺達は元クラスメイト。出席番号28と29、兄の幽崎(ゆうさき) 白夜(びゃくや)と妹の幽崎 褥(ゆうさき しとね)だ」


「クラス…………メイト?」


「ダメだこいつ、こっちの世界に染まりすぎて記憶が飛んでる」


「悪い、冗談だって。そんな怖い顔するなよ。名前は聞き覚えがないけど、その髪は見覚えがある。そうか、あの2人組だったか」


 対人の『鑑定』はマナー違反な上感知される可能性がある。それは俺の『天眼』と組み合わせた鑑定でも同じだ。だから、出会い頭に『鑑定』するのは避けていたが……


「すまんが、『鑑定』しても?」


「……ああ。できるならな」


「……? じゃあ、失礼して。『鑑定』」


 ────────────────────────

 〜ステータス〜


 名前:幽崎 白夜

 性別:男

 年齢:16

 種族:ヒューマン

 職業:放浪師

 レベル:36

 HP:3653/3802

 MP:103/251


 ・ベーススキル[P]

 無

 ・ベーススキル[A]

 無

 ・ギフトスキル[P]

 無

 ・ギフトスキル[A]

 無


 称号

 『理外』

 ────────────────────────


「……ん?」


 変だ。妹である褥のステータスも見たが、名前と性別以外表記は完全に同じだった。俺の鑑定はレベルmaxになって適性があったためEXにまで伸びている。上位のスキルで隠蔽されたか?


 この世界での鑑定・隠蔽系のスキルは仕組みがわかりやすい。基本、優位になるスキルが存在して、その優位スキルを使うことで下位のスキルを無効化できる。


 鑑定<隠蔽<看破<偽装……


 と、こんな感じにこの後ろにも上位のスキルがあるらしい。


 そして、このピラミッドで言うと『鑑定』は1番下位にあたるのだが、俺の鑑定はEXだから1つ上位の『隠蔽』は貫通できて、さらにコンタクトに付与してある『天眼』を組み合わせるいつもの使い方であれば、今のところ阻害されたことは無いくらいなんでも見通せる。


 だが今、俺のコンタクトはネックレスの中にある。というか、イヤリングや指輪、時計などの装飾品も纏めてネックレスにしまってある。館の中では使用ができなかった上、最初にネックレスに収納されていた。

 いちいち『魔道具使用』で確率の抽選を受けながらアイテムの出し入れなんてしたくなかったので、気分転換も兼ねてずっと外していたのだ。

 だから、『天眼』を使ってもう一度『鑑定』するにはネックレスからコンタクトを装着する必要があるのだが……


「……よく分からんが今付けちゃダメっぽいな」


 理由は不明。だが、『直感』スキルが今ネックレスを触るのは危険だと囁く。

 どうしたものか。とりあえず、会話は不自然じゃないように続けないとな。


「確かに、俺の『鑑定』じゃアンタらのスキルは見えなかったよ。でも、一応名前は確認した。偽装されてるのかもしれないが、どうやらホントに日本人みたいだな」


「……なに? 俺達のステータスが見えたのか? 本当に? 存在したのか?」


「え?」


『存在するとも。この世界に存在する(あまね)く生命にはステータスが存在するのだ。例え汝等(うぬら)のように神の力を弾く呪いを纏っていようと、世界の理からは逃れられぬ。なぜならば、その呪いすら理の一部であるからだ。自動生成も阻害される分他より質素な内容じゃろうがな』


「誰だ!」


 気配。濃密な気配だ。

 しかもこの()は、魔のものでは無い。さっきも感じたあのイタズラ好きのショタ神と同じ、神のもの。


『我を相手に臆せず誰何(すいか)とは、呆れたものだ。畏敬の念を抱かぬ(あくた)に、用は無い。散れ』


 霧だ。霧が迫る。形のない空気が、まるで壁が迫るように、避けようのない広範囲の真っ白い霧が、手を伸ばせば届く位置まで──


「だがここは我が聖域!!!!! 御旗の元に宣言する!!!!『陣地作成:聖城・祈聖血界(きせいけっかい)』!!!!!」


 夜の森に紅の世界が咲く。それは氷帝と戦った時と同じ、陣地作成の魔道具によるもの。

 魔力吸収の特性を持つこの聖域に、魔力による攻撃は通じない。では神気による攻撃は?


 結果は、俺がまだ同じ場所に立っていることで証明された。


 だが、あまり持ちそうにない。


「神気は魔力を変化させた物だって可能性もやっぱあるってことか。……現実逃避してる場合じゃないな。『四季風』・【神立風(かむたちかぜ)】」


 神立風(かむたちかぜ)。神ですら立っていられないほど強いという、冬の風だ。神気を纏った霧を散らすのに、これ程適したスキルもないだろう。


「おまえら無事か!?」


「……ああ。問題ないが……何が起こったんだ」


 霧が晴れたそこには、幽崎兄妹とそのそばに居たルチル、タガミ。そして、俺の後ろにいたラノアと冒険者達、ついでに胸元のアゲハ。全員揃っているようだ。

 ……いや、違う。もう1人……もう1柱、いる。


『愚かにも神気を弾くそこな兄妹以外にも、我に楯突く阿呆がおると? ならんなぁ、到底受け入れられるものでは無い』


「事情は知らんが神のくせに器が小さいんだよ……」


『頼みの綱である結界が今にも壊れそうなのによくほざくものだ。愚昧よ、哀切よ、薄幸(はっこう)よ!』


「うるさいヤツだな。朱羽(あげは)!!!」


「結界のお陰で力が出るよ~!……仕事、ちゃんとするからね……」


 世界における『認識』が置き換わる。立ち位置が入れ変わる。展開された魔道具が入れ替わる。俺の装備が入れ代わる。


「『不動(ふどう)近切(ほぞきり)』【零の太刀】」


 不動・近切。俺が必殺の武器として作った最高の小太刀であり、所持しているアイテムの中で1番()()攻撃に特化したもの。霧の性質が分からない以上、直接攻撃な上近接が必須な『箔刀』より適しているはず。


「命に至れ、致命たれ……ッ!」


【零の太刀】。彼我の距離をゼロにし、相手の守りを無意味にし、相手の命を消し去る致命の一撃。

 そしてその動きは最小最短。


『ぐっ!?』


「神気のおまけ付きだ。デザート付きで味わえ!!」


 いくら凄んで叫ぼうと、手に伝わる感触で理解した。今の一撃では命を狩りきれていないのだと。

 確かに命に手をかけたそれは、狙い過たずに刃を通したが、単純に相手の装甲……HPが高すぎたのだろう。


 そして、それはつまり。


 よくある対ボス(レイドバトル)の始まりを意味していた。

主人公とクライスメイトの邂逅、口数が少なく何かに焦っているルチル、出番がわざと少なくさせられているアゲハ(ピュネラ)、更に無言の冒険者ども。


もっと遡って、学校パートや氷帝による修行パートまで。


全部わざわざ登場させた意味があるんでちゃんと書くつもりです。


それでは。

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