表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
168/179

148 気分屋・森

「よいしょおおおおお!!!!!」


 そういえば……って、この話題を出すには遅すぎたな。

 もうランパード最初の街(街の名前はもう忘れた、聞いてない気もする)を出発し、次の街との間にある野良ダンジョンに潜っているところだ。


 なぜ絶賛魔物と戦闘している今思い出したかといえば、俺が魔物を殴り飛ばしたことで例のギルド職員がフラッシュバックしたからである。


 んで、そういえばなんだが……あの街のギルド、やけに人が少なかったんだよな。そして、その理由が中々興味深かった。


 なんでも、少し前までは一般人でも入れるほど危険度の少ないダンジョンがあったらしい。つまり、戦いに向いたスキルを持っていない人でもレベルを上げるチャンスのあるダンジョンだったということだ。


 それ目的でめちゃくちゃ人が集まって、冒険者ですらない人でギルドは日々盛況だったらしいのだが……ある日、とある青年が隠し通路を見つけてしまった。

 好奇心に勝てない青年が宝箱を期待しつつ細道を進むと、そこにはなんと本当のダンジョンボスが。そこそこレベルを上げていた青年は、数時間の戦闘の末にボスを討滅したという。まるで物語の主人公である。


「お、スキルレベルアップの(スクロール)ドロップしてるじゃん。今日運いいな、これラノアにあげる」


「ありがとうございます」


 そしてここからが問題だ。なんとも身に覚えのある話であるが、本当のボスを倒したことでダンジョン──いや、どこぞの論文の説を借りるなら迷宮と呼ぶのが正しいか──は機能を停止。

 街の目玉である低レベルダンジョンが無くなったことで人はどんどんと他の町へ漏出。他にもダンジョンはあるからと呼び止めても漏出は収まらず、今では老人か職の関係で離れられない人くらいしかいないということだった。


 ダンジョンによる利益に頼りきりだった街も、機能停止した迷宮という現象も、俺が体験したのと似すぎていた。似すぎて俺がやったのかと思った。


 そうして俺は街の魅力づくりは怠けちゃいけないねという教訓を得たのだった。活かす未来は来ないだろう。


「はいよいしょおおおおおおおおお!!!!!」


 あ、「そういえば」繋がりでまた思い出したが……今の俺は魔道学院を休学しているという扱いだった。ラノアの様子を見にエリフィンヘ戻った時に確認したのだ。

 休むのが許されてしまったんなら勿体ないからもうちょっと休んでおこうと考えるのが俺である。ラノアのレベルを上げる旅へ出てしまっても仕方ないだろう。そういう時もあるよね。


「お、なんかネコ耳出たわ。聴覚強化ついてるよ、はいラノアあげる」


「ありがとうございます」


 そんな考え事をしながら無心でダンジョンを進んでいると……考え事をしながら無心って矛盾してない? まあいいか。

 ……タガミが呆れたようにこう呟いた。


「主よ、おぬしそこな少女を甘やかしすぎではないか?」


「俺が? ラノアをか? うーん、ラノアはどう思う?」


「は、いえ、その……たがみさんのおっしゃる通りかと……思います……」


 心外だ。言い方は悪いがゴミを押し付けているだけなのに。

 ……いや、正直言おう。普通に地道に成長していくのを見るのは焦れったくて飽きた。そうなんだろう黒野祐里よ。言われてみればその通りだぜユーリよ。であれば必要なのは気分転換だな。うん。


「よし。決めたぞ」


「ほう。育成方針変更か?」


「いや。シューケッツの森に向かう!」


「は?」


「へ?」


 毎夜国中に蔓延する霧の原因を探るため、一行はジャングル(森)の奥地へと向かった……




 〇──〇──〇──〇──〇──〇──〇──〇




「着いた」


「着きました」


「さすがに空を飛ぶと速いな」


 着いたのである。もちろんシューケッツの森にだ。途中にある街も王都も全部無視して空を飛んできたのだ。

 今の俺には空を飛ぶ手段がいくつもあるが、今回は翼は使わず魔道具で飛んできた。某何でもできるお兄様の作品をイメージして創った、〈飛行専用デバイス〉である。「空を飛ぶ為の機械」というイメージがついてたからめちゃくちゃ創りやすかった。


 俺の『魔力創造主(マジックメイカー)』、イメージが練りやすいほど創りやすいから知ってる作品を真似すると楽になるんだよ。版権に気をつけて行こうと思う。なんつってな。


「タガミ、なんか感じるか?」


「……正直なにも。夜でなければ異変も無いのかもしれぬ。それか、単に吾輩よりも格上の何かがいるのか……」


「同感だ。俺も何も感じない。森に入らないと分からないのかもな。とりあえず、昼間のウチに1回森を見てまわろう。警戒は怠らずに」


「了解した」


「かしこまりました」


 見通しの悪い森だが、俺が迷子になる可能性は低い。なぜなら、オリジンスキル『碧翼』には太陽の位置を把握する能力がついているからだ。理由は知らん。

 使い道の限られる能力だが、こういう役に立つ場面がきてこの羽も喜んでるだろう。知らんけど。


 さてさて。『気配察知』にも、『四季風』に乗せた『気配感知』にも今のところ何も引っかからないが……無駄足にならないといいな。

少しこの作品の投稿を休んで別作を進めることになるかもしれません。もしそうなったらすみません。


先に謝っておきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ