表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
139/179

128 膠着・転

 祈聖血界の効果は3つ。


 1.アゲハの “認識” 行使を補助する。当たり前だがアゲハが血界内にいる時だけ。


 2.俺の「所有者権限」を許可した者と共有できるようになる。武器とかに付けてるやつだな。もちろん範囲内にいる者だけ。


 3.外部からの魔力攻撃を神気に変換して内部にいる者へ分配する。当然血界を通過する攻撃だけ。雪車みたいなのは全部分解されて神気になるだろうな、あれは実物の雪じゃなくて魔力で生み出された雪だから。


 この血界は、俺が持つ、唯一神気が即時回復可能な手段だ。高位階の魔法仕様には必須である『神気』だが、その量は『神眼』を使っても確認することができず、回復の方法も時間経過のみ。人によって保有量が違うとか、神官は保有量が増えるとかいう噂もあるが証拠はない。


 そんな特殊な神気を回復できるこの血界は、全ての高位魔法使い垂涎(すいぜん)の代物である。


「よ」


「……なーんでアンタも後衛に回ってくんのよ」


「いや、ちょっとバフ盛りたくて」


 バレンタインにジト目で見られながら、俺はすぐ魔法行使に入る。そんな様子を見たバレンタインも、すぐ強化を重ねてくれた。


「『天に坐す神は地を知り、地に這う人は空を見ず。されど地を踏まぬ神は人に及ばず、人は知らぬまま己が道を歩む。【神纏智(しんてんち)】』」


「……へぇ。テカールの引用、か。結構詠唱センスあるじゃない」


「そりゃな。なんたらっていう学院の生徒だし」


「そのなんたらって部分重要すぎるんだけど」


 バレンタインのツッコミは無視して、更に強化魔法をいくつか重ねる。完全に同一の魔法は重ねがけしても意味が無いが、同じ系統でも違う技能であれば重ねられるのだ。

 だから、俺が行ったのはバレンタインが既にかけてくれたものとは別種類のの強化である。


「うん、あとは持続時間を誤魔化せばいけるな。じゃ、いってくるよ」


「え……ごまかすって……あ、ちょっと!?」


 血界から飛び出した俺をバレンタインが引き留めようとしたが、直ぐにその手を引っ込めた。

 シロは終始無言だったけど、バレンタインとケンカでもしてるのだろうか……?




 ༅




 さて、強化モリモリでこっからは近接タイムだ。レベルの暴力ってやつを見せつけてやr……そういやこの亀もレベルめっちゃ高かったわ。まあいい。


「ゥラオラオラオラァ!!!!」


 右上から左下、手首を返してもう一度右上、一回まわって左から右。左手に持ち替えて右下から左上。

 連撃連撃、とにかく重さを意識して連撃を繰り出す。


 手にしているのは大斧、緑に発光するそれは軌道を描きながらインパクトの瞬間毒を撃ち込む。

 銘は〈毒斧・釘討(くぎうち)〉。柄が長いことで生まれる遠心力を、その特殊な形状をしている刃が一点に集約し、相手の防御を突き破る。そしてそこから、毒を流し込む。


 威力と搦手の混在したそれは、中距離まで寄れる相手なら脅威となる。


「また氷で防御かぁ!? さっきから同じことばっかしやがって、少しは戦闘の組み立てってもんを考えやがれ!!!」


「洗脳されて狂乱中だぞ。それは無理だろう」


「冷静なツッコミどうも! っとぉらぁぁぁっ!!!」


 俺が近距離にまで寄ったことに反応したのか、氷帝は急に氷を体に纏いだした。壊せないほど固くは無いが、力を入れないと壊せない絶妙な強度。その上、破壊されればすぐに修復をはじめやがる。


「ォラオラオラオラァ!!! 」


「『黄道十二門たる金牛宮よ、我に仇なす敵に罰を。圧倒的で残酷なまでの真の暴力を以て討ち滅ぼせ。【穀雨小満(こくうしょうまん)()】』」


 まるでガトリングのようなモアの援護射撃は、氷の壁を効率よく削ってくれる。そのおかげで、俺の攻撃を氷帝へと届かせることができる。


 ……薄々気づいていたが、この亀、手札が少ないな? 洗脳のせいでこっちが条件を踏まないとスキルもロクに使えないのかもしれないが。


「ユーリ! HPがそろそろ危ないぞ! 一旦引こう!」


「チッ! 分かった!」


 長期戦は好ましくない。寒波……というか凍土が帝国を飲み込んでしまったら、今戦ってる意味も無くなってしまう。

 とはいえ、多少の抵抗はあれどだんだんとサンドバッグの様相を呈しはじめてきた。そのせいでこっちの気性も荒立ってきたが、このままなら、何があっても負けはない──と、動きのない戦況にそんなことを考えていると。


「すげー! 5人もいるじゃん! はっは、ほら見てみろよ! やっぱボクの言ったことが合ってただろ!?」


「ほんとだぁー! すごいよ、さすがだねルルク! ……あれ、でも私たち、これからどうするの?」


「……ハァ!? 4回も説明したのにもう忘れたのか!? ……フン、別にいーよ、お前は後ろに下がってろ!」


 ……突然だった。俺の『気配察知』はレベルmax。だから、この濃度3という特殊な空間でも機能していたはずなのだが……何も、感じなかった。突然、そこに現れたのだ。子供が、2人。




 あのー、もしかして、ですけど。この世界、武器術スキル持ってる奴より転移持ってる奴の方が多かったりしない?

ユーリ組 vs ルルク&ポワ vs 氷帝 vs ダークライの始まりです。


……我ながらつまらない事を書いてしまいました。



氷帝は洗脳+狂乱で、HPが3割切るまで攻撃などに反応した対処目的のスキル使用しかしてきません。まあ、凍土が本体みたいなもんですからね。この亀。

めちゃくちゃ軽く書いてた、各濃度攻略のためのアイテム創造がチートすぎたのです。ここまでちょっと盛り上がりに欠けたのはユーリのせい。嘘です。技能神さんのせいです。ごめんなさい。


それでは。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ