124 鑑・解呪
「『神眼』起動。『鑑定』」
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〜ステータス〜
名前:ロート/氷帝/寒波
性別:雄
年齢:1587
種族:フローズン・ジュエルトータス
状態:洗脳、狂乱、盲目
レベル:459
HP:10000/10000
MP:107641/109788
・ベーススキル[P]
『水中呼吸(1)』『侵食領域〈凍土〉(-)』『凍土王進(EX)』『凍牢(max)』『乱反射(max)』『硬化(max)』『魔力攻撃耐性(7)』『物理攻撃耐性(9)』『属性魔力耐性(max)』
・ベーススキル[A]
『雪車(3)』『凍眠(max)』『凍装(5)』『叫喚(3)』『魔転体(2)』
・ギフトスキル[P]
『混沌の種(-)』
・ギフトスキル[A]
無
・オリジンスキル[P]
無
・オリジンスキル[A]
『凍柳紋(EX)』
称号
「帝級・氷帝」「変異せし者」「進化せし者」「進む者」「操られし者」
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凍土圏越しではよく見えなかった亀のステータスを、もう一度『鑑定』してみる。今いる場所も濃度3というだけあって濃密な魔力が漂っているが、今度は『鑑定』が成功した。
濃度2か1に、天岩戸のような外界を途絶する効果があったのかもしれない。じゃないと、『天眼』付きの鑑定が弾かれるのはおかしいからな。
そうして覗いた亀──氷帝のステータスは、気になる点がいくつもあった。
ただ俺はそれについての考察は一先ず置いて、仲間と情報共有することを優先した。
スキル『鑑定』の結果は、基本的には文字情報として頭の中にインストールされる。だが、使いこなした──スキルレベルを一定以上上げた者は、小説やアニメでよくあるステータスプレートとして、透明な画面で可視化することも可能だ。
俺は読み取った情報をステータスプレートにして、仲間に見せる。それを覗き込む3人は、分かりやすく顔を顰めた。
「なにコレ。洗脳で操られてるって……どー見てもギフトスキルが怪しすぎるわね」
「……確か、こいつはまっすぐ帝国へ向かってるって話だったな。今までの、フラフラした予測できない軌道じゃなく。……多分、それも操られてるせいなんだろう」
「かわいそう」
「とりあえず解呪は試してみましょうか。ダメだったら討伐プランに戻ればいいでしょ?」
「そうだな。頼む」
バレンタインとモアのやり取りで、方針が決まる。後ろから見てるだけで声も届いていない皇帝は何がなにやら分からないだろうが、とりあえずは相手を回復するところからスタートだ。
「魔法陣だと対処療法は効果が薄いわ。だから、普通に魔法として異常解除の魔法を使うわね。何かある?」
「じゃあ俺も回復魔法で合わせるよ」
「……俺にできることは無いな。今日のスキルは戦闘系だ」
「まほうの強化だけやるね……」
俺はバレンタインと顔を見合わせ、肩をすくめた。そしてすぐに、魔法行使へと移る。
「『光の神よ、聖なる神よ。我らの前に立つ哀れな狂獣をお救い下さい。目前を見失った憐れな仔羊に道をお示し下さい。望まぬ罪に身を落とす前に、慈悲をお与え下さい。【状態異常解除】』」
「『削除申請。氷帝:ロートを対象とし、ステータス洗脳及び狂乱の削除を申し奉る。【状態異常解除】』」
回復魔法は聖なるもの、神への信仰が力になる。そんな事実は実は存在しないが、ファンタジーをある程度嗜んでいるとそんな思想がこびり付いてしまう。
というか、祈り以外で回復魔法の詠唱って想像できなくないか? とはいえ、俺のこんなにめちゃくちゃな詠唱でも魔法自体は成功している。要改善だけど。
俺達の放った回復魔法は対象に正しく命中した。しかし、それによって起こるはずの結果が伴うことは無かった。やはり、いかにもな怪しさを放つギフトスキルを消さなければ意味が無いのだろうか?
だとすれば、倒すのが安全策だ。スキルを奪うスキルや相手のスキルを消し去るスキルは創造が難しい。イメージできても、必要魔力がアホだ。神が設定してるんだろうが、簡単には取らせないという確固たる意志を感じた。
「無理だな。倒そう」
「そうね。……よし、モア! 出番よ!」
「了解。突っ込んでくる」
モアが鞘に収められた片手剣をくるくると回しながら、数歩前へ出る。俺はそれを見て後ろに追随。その後ろにバレンタインとシロが立ち、援護の構えをとった。
──今度こそちゃんと開戦だ。もっかい気合い入れていこう。
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ロートの年齢は、1500歳です。後から読み直した時、おかしくね? と思うかもしれませんがミスではありません。