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011 熊

「あー、えーと、こんばんわ?」


「グルルルラァァアッ」


「ですよね〜」


 やはり、俺の運は低いようだ。10から11になってたから、やっぱり最大値100とかなんだろーなー。いや、ステータスに最大値があるかは分かんないか。旧『鑑定』で調べとけばよかったな……


 てか、転移したら即魔物って。またかよ。ネタ被ってますよ俺の(LUC)さん? いや、ここは(ジジイ)にツッコむところか。



 この熊の魔物、どうやら突然現れた俺に驚いて警戒しているようで、こちらを睨みながらも動こうとしない。こっちも不用意に動けないな。


(『鑑定(チェック)』)


 と、ようやく使えるようになっていた無詠唱の『鑑定』を熊にかける。


 ──────────────────

 〇status


 ・基本情報

 名称:打熊(うちくま)

 名前:不明

 年齢:不明

 種族:魔物ダンジョン

 性別:オス


 ・個体値

 Lv:不明

 MP:15/40

 STR:31

 VIT:30

 INT:4

 AGI:9

 DEX:0

 LUC:10


 ・スキル

 ベーススキル:不明

 ギフトスキル:不明

 オリジンスキル:不明


 ・備考


 ────────────────


 つっよ。特化しすぎじゃん。つっよ。てかやっぱりダンジョンの魔物か、天井あるし岩ばっかだからダンジョンかもとは思ったが合ってたのか。

 なら慈悲はない、動く前に殺そう。


 体内の魔力を操り、手のひらへ。体表に発現させ、世界に干渉する。


 空気中の魔力も巻き込みつつ、土を創造。先を尖らせて、貫通力を上げる。


 ついでに、魔力を乗せた言葉、言霊(ことだま)で、周囲の世界に命令する。


「『貫け』土の礫よ」


 熊さんに向かって、、目に見えないほどの速度で飛んだ土くれは、命令の通りに頭部を貫いた。


「うん、練習したことはだいたい出来てるな……あ、レベル上がった」


 倒された魔物は、死体が光になって消えていき、そこに何かを残していた。


「ふーん、これがダンジョン特有の魔物の消滅とアイテムのドロップねぇ」


 そう、これは事前に旧『鑑定』で調べたことであった。調べた通りの結果に満足しつつも、とある予感が頭をよぎる。


(やっぱ、「地球との親和性が高い」ってのは、ゲームやら小説やらの内容に似てるってのが少なからずあるんだろうな……今から気が重い……)


 祐里が何を気にしているのかというと、クラスメイト達のことだ。思春期の男子学生がゲームのような世界に来てしまったら……さすがに、知らない人の家に入り込んでツボを割ったりしないと信じたい。ツボの中に金やアイテムなんて多分ないぞ。と、そんなことを考えているのだ。


(ま、考えたところで意味無いしやめよう。せっかく来たんだしこのダンジョン進んでくか〜)


 彼の思考回路には、どうやら恐れや緊張といったものはないようだ。こうして、祐里は人知れず、二等迷宮《タウロスの楽園》を進んでゆく。




 ༅




「またくまさん……どうなってんだこの迷宮は」


 そう漏らしたのは、何体の魔物を倒した頃だろうか。いい加減他の生物を見たいもんだと、既に一角兎が恋しくなっていた。


 あの生き物が少なかった森にだって、兎やら狼やら虎やらがいたのに、ここと来たら熊・熊・熊の一辺倒。打熊に水熊に炎熊にその他もろもろ、種類はあれども熊ばかり。もし迷宮に管理者みたいなのがいたら殴り飛ばしてるところだ。


 景色がほぼ変わらないってのもマイナスポイントだ。設計者は色彩のなんたるかを知らないに違いないね。俺もそんなの知らないけど。


 わー、また熊でた。今度は爪が異様に長い。『鑑定』すると爪熊と出た。安直。いや、ここはこの世界を創ったと思しき神様の顔を立てて、分かりやすいと言い直してあげよう。うん。いい事した気分だ。


「『魔力創造主(クリエイション)』」


 爪熊の体内に直接鉄を創造する。創られた物体はそこにあったものを押しのける。というか、そういう風に創る。それによって色々悪いことができちゃうわけだ。爆弾とか創ったら血とか内臓で汚れそうだからやらないけどね。


 創造した鉄は、形状をトゲの球のような感じにしたため、内臓やら血管やらの働きを阻害して、また直接脳を殺して、結果死に至らしめる。可哀想とは思わなくもないけど、エゴを通させてもらおう。ドロップする肉は後でちゃんと美味しくいただくから。


 あ、ちなみに、魔法やスキルを発動する時の発声が毎回適当なのはそれで十分イメージを固められるからだ。本当は既に発声の必要がないものもあるけど、厨二病っぽくて面白いからつい言ってしまう。


 ……それはそれとして。また1つレベルが上がった。レベル上げは男の宿命。最低限、不意打ちで矢を射掛けられても生き残れる程度には上げておきたい。可能かは知らないが、当面の目標はそれだな。


 前に立てた目標である「街に行って魔法と魔術を使えるようになる」ってのは、後半部分は簡単に達成できたから、街に行くって部分だけが残ってる状況だ。

 しかし、これもすぐに到達できるだろう。迷宮を攻略したら、ボスの部屋から地上に出られるらしい(旧『鑑定』情報)。


 ここまで人を見かけてないからこのダンジョンが街中にあるって可能性は低そうだけど……また『放浪者(ワンダラー)』で飛ぶことになるのか……?


 いかんいかん、思考が旅立ちかけてる。とりあえず、とにもかくにもレベル上げ兼迷宮攻略だ。



 しまっていこー!

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追記:『鑑定』のグレードダウンを忘れていましたので、不明の項目を作りました。

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