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108 創造物

忙しすぎて考える時間が取れず、あんまり話が進められませんでした。明日も投稿できるよう頑張りますが、似たような進み具合になると思います。

「え、皇帝様!? なんでここに!?」


「おう、おっさん。こないだも会ったじゃねぇか、ボケたのか?」


「え、いや、だって “寒波” が来て……」


「いや、まだぶつかるか分からんって言ったろ? ……伝令段階で手違いがあったか?」


 街中に突如現れた皇帝。実は、グラン帝国帝都ではそう珍しいことではないのだが……異常な状況というだけで、人々に驚きを与えるには十分なようだった。


「……街に出たのはいいが、俺と並び立てる奴がそうそういる訳ねぇんだよな……『強者感知』の反応も悪い。無駄な時間になりそうだな」


 江閣宋(こうかくそう)では人口の4割が持っているとされる、特殊なスキル『強者感知』。『鑑定』や『基本属性魔法』と同じ、産出量の多い「普遍」のスキルオーブだ。


 スキルは、その産出量や性能を元に大まかに呼び分けがなされている。低い順に、「普遍」「希少」「固有」「特異」「説話」「幻夢」。

 多いように感じるが、「特異」より上の呼び分けは、高位の冒険者か貴族・王族くらいしか使うことがないものだ。それらの境界も曖昧(あいまい)で、よく貴族間で論争が起っている。

 せめて『鑑定』でどの分類か示されるようであれば、多少は便利だったのだが。言っても詮無きことだ。


「……少し気温が下がったか? 余り猶予(ゆうよ)は無さそうだな」


 護衛もつけずに往来を闊歩(かっぽ)する皇帝は、次第に高まる緊張感と元より備えている威圧感が相乗効果を生み、より一層人を敬遠させていた。

 その事に気付きすらしない皇帝は、終わりの見えない散策に頭を悩ませながら歩き続ける。




 ༅




「楽しくなって創りすぎたな。『神気』を扱う練習にもなるしキレイな物が創れて満足したけど……」


 俺の目の前には、休みを延長して創造したいくつものアイテムが並んでいた。最初に創った小剣以外だと、旗、直剣、コンパス、ボールペンなどなど。創っておいてなんだが、このうち半分以上は倉庫番になるんだろう。

 1度、コア・ネックレスにしまってあるアイテムを整理した方がいいかもしれないな。今使用しているコア・ネックレスが何代目か忘れたが、最新のネックレスにはアイテム検索機能と一覧表示機能がついている。

 その一覧を見てみると、身に覚えのないアイテムのなんと多いこと。もったいないからまたルチルにでもあげよう。


 ゴミ処理ではあるが高性能なゴミなのでセーフと思いたい。お下がりと呼べ。……本人が嫌がってないならそれでいいんだよ。そうだろ?


「動作確認するか。まずは……これから」


 そうしてまず手に取ったのは、純白の布に魔法陣のような模様が描かれた旗である。今いるのは宿の一室なので床に突き刺すことはできないが、コン、と軽く床をつつけば効果は発揮できる。あと必要なのは、詠唱だけだ。


 「此処(ここ)()の場は我が聖域。我が祈りは永久の加護となる。我が心血は永遠の祈りである。全ての願いは我が心血を為す。『陣地作成:聖城・祈誓血界(きせいけっかい)』」


 赤い魔法陣が足下に展開され、ベージュがかった光の壁──結界が、俺を取り囲んだ。

 その結界に触れようと手を伸ばしても、なんの感触もなく素通りする。外へ向かって氷の塊を撃ち出すと、カキン、という軽い音と共に弾かれた。


 うん、問題なく作動しているみたいだな。外側からの攻撃に対する動作も確認できたし、次に移ろう。


 次に手に取ったのは、少し大きめのコンパスである。手のひらの上を占領する程の大きさだ、普通のコンパスとしてはなかなか見ないだろう。


「では……今週の、びっくりどっきりた~いむ」


 突然の事に理解が追いつかないだろうから、優しさの塊である俺が説明してあげよう。このコンパスは、簡単に言えばポ〇モンの「ゆびをふる」である。何が起こるかわからない、そんな刺激を貴方にお届け!

 とはいえ、完全ランダムだと使いどころが無さすぎる。毎日朝昼晩に1回ずつ使うくらいしか無い。ということで、ある程度の前提条件を付けた。それは、「言葉」だ。


 どこかの誰かが発したアドバイスか、書いた伝言か、考えた内容か。とにかく、()()()()()言葉を無作為に収集する。過去と未来を入れるとややこしいし魔力も足りないので、盗聴できる言葉は現在から前後に12時間の範囲内となっている。


 では、なぜコンパスの形にしたのか。簡単である。最初は別の能力を持ったアイテムを創ろうとしたからだ。創ってる途中で思い付いたんだから変更したんだ。仕方ないだろう?

 ま、コンパス型の盗聴アイテムだって(おもむき)があるだろうよ。知らんけど。


「はい、ポチッとな」


「デーデンデーデンデーデンデーデンデーデン……パパーッ!!!」


 指を差し込んでルーレットで電撃を流すおもちゃのような音を鳴らして、少し長めの言葉が表示される。表示方法はホログラムだ、無駄に高性能である。

 そして、その肝心の言葉は。



 〈──このままいくと国ごと氷漬けになって終わり、か。確かに笑えん話だ。俺は皇帝として、真の強者として、大元をを叩かなければならない。だがそれは、この国の弱者共を守るためでなく、俺が強者でい続ける為だ。だから、仮に仲間が見つからない時は……アイツを置いて、1人で向かうとしよう〉


「見なかったことにしていいかなこれ」


 “主人公だから巻き込まれるのではない。巻き込まれるから主人公なのだ” を地で行くユーリ。そして、とりあえず一旦逃げるポーズをするのが、この男であった。

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ユーリの創作物や以前取得したアイテムのうち、7割くらいが忘却の彼方です。ダンジョンで手に入れた「タウラス・ゴージ」とか、「箔刀」以外の刀とか。

ユーリもその事実を認識してるのでコア・ネックレスにいろいろ機能を追加してますが、整理は面倒臭いのでやりたがらないです。


それでは。

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