治安崩壊
私がこの国で最初にみたものは煙と燃えゆく町であった。
後に「7月暴動」と言われたものである。
周辺国との領土戦争に負けたこの国「アドラー」は、領土を失い多額の賠償金を請求され、国内に軍を監視する為の「特務隊」が結成、そして紛争によって生まれた難民を押し付けられた。
無教養な自称難民達は、犯罪を起こし国民から仕事を奪ってゆく、条約により難民に家や仕事を与える事になっていた為であった。
当然難民と地域住民の関係性は悪化する。
しかし、文句を言えば左翼、人権団体が差別だ!と声高らかに主張する。
それをよしとしなかった極右政党が、難民キャンプを襲撃する。
そして今度は難民側が報復行動に暴動を起こした。
この事態を知った別の難民もこの騒ぎに便乗し、町は暴徒化した難民と、住民が結成した自警団、治安部隊との三つ巴となった。
右も左も上も下も、どの世界でも、やることは変わらなかった
私は上空を旋回しながら、この町の有り様に愕然としていた。
すると前方から翼竜が接近してきた。
服の上に革の防具を着込んだ男は私に向かって話かけてきた。
「おい、お前ここは危険だから今すぐ引き返せ!」
「ああ、まて落ち着け今何が起きている?この騒ぎは何だ?」
「難民が暴動を起こしているんだ!」
「怪我人が大勢いて、薬が要る!」
「薬なら持っている案内してくれ!」
すると男は、ついてこいと言う手で合図すると、物凄い速さで地上に降りて行った。
地上に降りた私は市街地戦の凄惨さを目にした。
路上には様々な死体が横たわり、さしずめ死体の博覧会と言うべきだろうか?昔行った、人の死体を展示するおかしな展示会を思い出した。
すると竜に乗ってた男が「こっちだ」と手を振っていた。
案内された場所は町の協会で、至るところに何処からか持ってきたベッドや椅子が置かれていた。
しかし、寝かせる場所も足りないらしく大勢の怪我人が放置され、呻き声を上げながら今いる世界にしがみつこうとしている。
私は医者に医薬品を渡したが、まだ足りないと言われた。
この三日間続いている暴動のせいで、物資が完全に枯渇していると伝えられた。
自警団が、物資を確保する為に街の方の病院に行くと言っている。
私もそれに協力すると申し出ると、彼らは感謝の言葉を述べ準備を始めた。
自警団は猟銃や槍等の雑多な武器で武装した集団で、お粗末そのもので、人数も5人程度しか集まっていない。
私の持っている武器も、訓練しなければ扱えないものばかりであり、状況はあまり芳しくなく、このまま戦えるのかと不安に刈られた。
しかしここでまごまごしていれば多くの生命が失われてしまう。
私はSTGを強く握り締めると、協会を出た。




