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かゆぶつ

第1中隊より


「嫌な臭いがする、獣と人間の混じった」


「隊長?」


「パンツァーファウストを持ってこい、それと機関銃に火炎放射器も」


逸見は、STGに銃剣を取り付けると、兵へ散開するよう命じた。


先程まで聞こえていた鳥の鳴き声が、聞こえて来なくなり、何か歪な物が、森へ迷い混んだかのような、そんな雰囲気だった。


やがてそれは、ゆっくりと影を落とし、着地した。


ドスンと、大きな音と共に、部隊が展開するど真ん中に、そいつが現れた。


1名がそいつの下敷きとなり、また1名を、自らの腹に生えた無数の腕で拘束した。


「なんだこの化け物は!?」


怪物目掛けて、撃ち込もうとした隊員を、キキョウが制止する。


「撃つな!同士討ちになる」


ちょうど、隊員が居るど真ん中に降り立った為、射線が被り、応戦が出来なかったのである。


モタモタしていると、逸見が怪物へ飛び掛かり、目玉へ銃剣を突き刺した。


「デレラ゛ラ゛ラ゛ラ゛ラ゛ラ゛ラ゛ラ゛ラ゛ラ゛!」


怪物は奇妙な叫び声を上げ、逸見を振り落とそうと、体に纏った黄色い油を、飛ばしながら胴を揺らす。


近くにいたリズが、油をもろに浴びる。


「死ねぇ!化け物め!ビッグドッグみたいな歩き方して、気色悪いんだよ!!!」


「機関銃!脚を狙え!」


キキョウの命令で、一斉に5丁のMG42が放たれる。


機関銃は、ノコギリの如く怪物の脚を切断し、結果四足歩行生物が、二足歩行生物に生まれ変わった。


横転した怪物へ、パンツァーファウストを撃ち込もうとするが、捕らえられた隊員が、まだ腹に拘束されたままだった。


対戦車要員が躊躇っていると、「貸せ!」とパンツァーファウストを、強引に取り上げる者がいた。


それはリズだった。


弾頭は、モンローノイマン効果によって、怪物の腹を悉く貫き、内臓をシェイクした。


「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぇ゛ぇ゛」


人の呻き声似た断末魔を叫ぶと、それっきり動かなくなった。


仲間ごと吹き飛ばしたリズは、少々落ち込んでるように見えた。


逸見はリズに「よくやってくれた」と労いの言葉を掛ける。


キキョウは、銃身で怪物をつつきながら、


「こいつが、前に言ってた怪物ですか?」


と言った。


「あぁ、そうだ」


「……………………………………」


「サンプルと写真を撮れ、終わったら軍大学に送れ」


逸見は怪物の腕を切り落とすと、布にくるみ、ある人間の元へ届けに町へ戻った。




テーブルの上に乗せた腕を見て、別の部隊の人間は、顔を歪めた。


「この肉を食え」


そう、命令されたのは、ハールマン・デンケである。


ハールマンは肉を鍋で煮込むと、ソースも塩も掛けずに、肉を食べた。


レストランで食事でもするかのように食べ進める。


「この腕の持ち主は、痩せこけていたでしょうね」


「味はどうだ?」


「普通の腕の味です」


「そうか、それは嫌な話だな」


「?」


逸見は席を立つと、キキョウと話し始める。


「あの怪物は、人間で造られている」


「あれが?まさか」


「人と同じ白黒の目に、手足まで生えてるんだぞ」


「人間じゃなかったら、何だって言うんだ?」


「……狐とか」


「狐に化かされたとでも言いたいのか、大学で調べて貰えば、否が応でも人間だと認める事になるぞ」


キキョウは、その事実に余程堪えたのか、少し休みます、と言って部屋を出た。


後で様子を見に行ってみると、精神安定剤を軍医から貰っていた。


首都までもう少しだと言うのに、思わぬ障害に当たってしまうことになった。


しかも、あの怪物の死骸を調べると、あの島で遭遇した怪物にあった、幻覚を見せる水晶玉が無かったのだ。


それはつまり、他にも種類があると言う事なのだ。


発症させるのに別の方法もある。


逸見はその瞬間、椅子を蹴り上げた。


「クソが!あの忌々しい化け物め!」


椅子を更に蹴り付け、釘が露になるまで、破壊したのであった。


その頃、体に被った油を落とすために、ホテルのシャワーを浴びていたリズは、自己の感情が死んで行くのを感じていた。


目まぐるしく季節が変わり、自分と言う季節が、死んでゆくのを感じているのだ。


「あれ?おかしいな?怖いのに涙が出ないや」


そら観てごらん、飽くまがparadeを殺っているよ

脚をソロエテ演技しろうよ躍れ驚れ

エガオヲ降りまけ机上でダンス!

た ん


誰もたすねてくれないよ


ほら蠱惑ない

1114442222299999して3333399996むり


リズ、新しい自分だよ、どっちにしてもいいけど、決めてね。

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