表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/59

世界の掟

空中艦艇は、古い時代から存在したまさに、リアル古代兵器である。


空中を鯨が泳ぐかのように浮遊し、死の限りを振り撒くのだ。


時折空から降ってくる不思議な鉱石が浮遊能力の源で、ごく稀に建物へ直撃して、死人が出ることもある。


鉱石は高値で取引され、とある装置と連結することで、浮遊能力がつく。


艦艇の運用には、直接攻撃以外にも、物資・兵員輸送、エアボーンや竜騎兵の母艦といった様々な用途がある。


かつては、一隻で大国の艦隊と渡り合い、無敵と謳われたが、最近になって航空機の脅威が深刻化して来たのだ。








空中艦艇へ向け、次々と撃ち込まれるロケットが着弾から5秒後に、次々と爆発していく。


対空機銃の曳航弾と、遅延信管のロケットの排煙が、空に無数の線を引いていた。


「ドラゴン隊各機へ、砲塔上面を狙え!」


放たれた数十発のロケットの内、一発が装甲厚の薄い部分に命中し、砲塔内を全滅させた。


この攻撃に動揺したのか、艦艇は黒煙を吐きながら、大慌てで退却して行った。


その後、高高度飛行用暖房設備の燃料が漏れだし、気化した燃料が、弾薬に引火する火災事故によって、空中艦艇は文字通り爆散、ひっそりと除籍した。


そして、後続の爆撃機によって要塞の設備は破壊され、補給線を断たれた国境の萸軍は降伏。


プルムトリア山には、アドラーの旗がはためくこととなった。







トラックと、数少ない戦車が目の前を通って行く。


自国製造の物もあるが、殆ど国外製の車両だった。


「白衛製が多いですね」


アンネがそう言うと、「そうだな」と逸見は返した。


「どうしてか知りたいだろ」


「別に……」


「知りたいだろ」


「いや」


「嘘つけ知りたい癖に」


「……はい」


アンネが観念したように頷くと、逸見は上機嫌で説明した。


「この大陸の兵器シェアは、白衛が全体の70%を占めている」


「自動車や飛行機を独自開発出来た国はあるが、量産して他国に売り出せる国力を持っているのは白衛帝国だけだ」


「そんなの知ってますよ」


「まあ聞け、本題はここからだ」


逸見は戦闘糧食のクラッカーを取り出し、(40種の味が楽しめる!一口フレーバー)の包み紙から2つの調味料を塗った。


「こっちのカカオソースが塗られているのが、ガルマニアもう1つの赤ブルーベリージャムが塗られてるのが、ブルシーロフとする」


「我々の国は、ガルマニア系と東洋系で構成された国だ」


「対する萸国は、ブルシーロフ系とブリタニカ系の人種で構成されている」


「白衛の連中、結束したは良いが、ガルマニア側とブルシーロフ側の間で方針が別れてるらしい」


「へぇ〜どうして」


アンネが、興味無さそうに質問した。


「自分達と同じ人種を擁護するのもあるが、良き隣人、同志言ってるが本当は、壮絶なるマウント合戦なんだ」


自国の人種が負けたとなれば、その民族に勝った自分達は優れていると主張するのさ」


「このクラッカーみたいに分裂してるんだ、あの国は」


ブルーベリージャムが塗られてクラッカーを、アンネへ手渡した。


「私お腹すいてないです、あとその何でも分かったような喋り方、ムカつきます」


「アンナとベッドに居る時は、あんなに色っぽい声なのに、どうしたらそんなに、冷たい声が出るんだい?」


「聴くな!!!次言ったら」


アンナとアンネは、夜の声が大きい為、他の隊員からクレームが飛んでくることは黙って置くことにした。


せめて兵舎の中で致すのは、勘弁して欲しいものである。







騒動が起きたのは(鷲兵)アドラー兵が、萸軍の捕虜に向かって唾を吐き、暴行を加えたことだった。


たまたまそれを見かけたアルノルト少将は、思わず眉をひそめた。


「全く、憲兵は何処に居るんだ?」


捕虜虐待は軍規違反であると同時に、国際条約違反である。


アルノルトが急いで、軍規違反を止めようとしたその時。


何処からともなく現れた斑模様の軍服と、重装備の部隊が介入したのだ。


「全員そこを動くな!」


男が、兵士に向かって拳銃を突きつけた。


「なんだよ、コイツはユニーだ」


「そうだ何しようが勝手だ」


ユニコッド人の辱称(じょくしょう)を口にする兵士達は、見覚えのある男に反抗していた。


「逸見萩!?何故奴がここに!?!?!?」


逸見は拳銃を突き付けながら、こう言った。


「我々は独立監査隊だ」


「あと一回、捕虜に唾を吐きかけたら貴様を、捕虜虐待の罪で射殺する」


すると逸見の階級章を見た兵士は、ふざけたように、「ハイハイ分かりましたよ中佐殿」と、返しその場を去った。


一件落着と思いきや、その去り際に、また唾を捕虜に向かって吐いたのだ。


逸見が背中へ弾丸を撃ち込むのは、そう遅くなかった。


「うそだろ」


次にアルノルト見た光景は、バカンと、頭を撃ち抜かれる軍規違反の兵士だった。


射殺した後、声高らかに言い放った。


「捕虜への虐待、殺害は、国際条約違反である!」


「もし、今後このような事が起きれば、即刻銃殺刑に処す!」


「事前に配られた兵士のススメを読むように」


兵士のススメとは、アドラー軍に配られた戦地での正しい振るまい方を記載したマニュアルである。


応急処置のやり方、衛生的な食事の取り方、捕虜、民間人への対応、煙草や薬物の摂取についてまで記載され、兵士達が進んで読むように女性のイラストと共に、解説されている。


さて話を戻そう。


その瞬間アルノルトは、本部へ抗議の手紙を書くことに決めたのであった。


そしてこの事が噂になり、彼らは後にこう呼ばれた。


独立処刑大隊と

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ