表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/59

開戦前日

「アンネ起きてよ」


愛しのアンナに、ベッドで起こされ目が覚めた。


「今日は何もないでしょ」


「違うよ、今日はニュース映画と演劇をみる日だよ」


「私は朝が弱いの」


アンネはそう言うと、シーツを顔まで被った。


「そう言っていっつも時間ギリギリで、会場に着くじゃない」


頬を膨らせ、ぶーぶーと文句を言った。


業を煮やしたアンナはシーツを無理矢理剥がし、無理にでも起こそうとしたが、今度はベッドカバーにくるまった。


「もお〜ほら起きて、起きて」


すると、アンネは突然アンナをベッドに引きずりこみ、朝から胸やけするぐらいの、濃厚な口づけをした。


「うるさいまだ1時間もある」


「昨日あんなにしたのにまだやるの!?」


アンネは魅惑の身体に舌を伸ばし、あらんかぎりの快楽をアンナの体に教えこんだ。







「では、諸君我らが英雄オイゲン・ミツマタに!」


「「「「乾杯」」」」


グラスのウォッカを飲み干した。


「なあ、ミツマタ教えてくれよ」


「どうして刑務所に入ったお前が、今度は国防軍に居るのかを」


「それは……軍規につき詳細は教えられない」


「またそのジョークか」


「まあ、お前が帰って来て良かった」


「あの強盗グループを、皆殺しにしてくれたお陰で、裁判所からは嫌われたが、お隣さんからは移民に対する考え方が変わったと言われた」


「本当に俺達の英雄だよ」


グラスを口に寄せ、もう一度酒を飲み干した。







「当たるの?」


「当てて見せるさ」


ドーンと、大きな音が響き、鳥がバタバタと飛んでゆく。


「外したわね」


「この銃バレル曲がってんじゃね」


そう、逸見は言い訳をした。


アガナでの作戦から1週間がたった。


それぞれが休息を楽しむ中、私はイザベラと狩り、ハンティングに来ていた。


「次外したら貴方の事を教えて」


「なんだ?藪から棒に」


「藪から棒にってどういう意味?」


この世界に来てから自分には、言語の壁が存在しないことに早くから気付いていた。


誰かが、言葉を勝手に翻訳してくれているのだ。


母国語で喋ると、どんな人種、国籍とでも会話が出来た。


基地の近くにある、移民が経営してたレストランに行ったことで、この特性が判明した。


試しに、ロシア語を話してみたら言葉が通じなくなった。


母国語以外なら、彼ら異世界人にとって、理解出来ない言葉になる。


しかし、たまに母国語でも翻訳してくれない言葉がある。


そういう時は、


「友人から金の頼み事って意味」


という風に、別のことわざを使って補足した。


「ペットが居るぞ、でっかい翼竜だ」


「そういう話じゃない」


少し考えていると、黄色い鳥が舞い降りてきた。


「それじゃあ、彼処にいる黄色い鳥がいるだろ」


「あれに当たったら教える。当たらなかったら教えない。どうだ?」


「私が不利な気がするんだけど」


「まあ、そう言うな」


逸見は再びライフルを構えると、一発だけ弾を装填した。


狙いを済まし、引き金を優しく引いた。


弾丸が頭部に命中し、黄色の鳥がバタリと倒れた。


「あぁ……あの鳥頭が一番美味しいのに」


イザベラが残念そうに呟いた。


「賭けは俺の勝ちだな」


イザベラへにんまり笑いかけ、獲物を回収しに行く。


草を掻き分け、黄色い鳥を探しているとガーベラが居た。


ガーベラが居た。


ガーベラが居た。


ガーベラが居た。


ガーベラが居た。


ガーベラが居た。


「馬鹿な」


拳銃を取り出し、ガーベラへ向けて撃ち込んだ。


すると、いつの間にかガーベラが黄色い鳥に変わっていた。


「こんなの映画で観たな」


鳥を回収して、イザベラの所へ戻った。








空中艦艇 リロイ級駆逐艦 ジェンキンスにて


「いいか?今回の目的はあくまでも偵察だ」


「間違ってもアドラー国国境に侵入するんじゃないぞ」


「「「了解艦長」」」


クルーが艦長からの話を聴いていると、ベンが遅れてやって来た。


「遅いぞ!何をやってたんだ?」


「ニワトリの様子を見に行ってたんだ、チキンにするのはまだかなって」


「あーもういい誰かそいつにさっき言った事を教えてやれ」


しかしこの時、誰かがやってくれるだろうと言う集団心理が働き、


「アルマがやってくれるだろな」


「フレディがやってくれるだろな」


「カビランがやってくれるだろな」


という、理由で全員がベンに任務の内容を伝える事をせず、結果として大惨事を招いた。


「よおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉしぃぃぃ!!!」


「行くぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」


1人指示を聴いて居なかった操舵手担当のベンが、攻撃の為に行くと勘違いし、アドラー国国境へ舵をきったのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ