表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/59

熱を帯びる国

基地警備大隊とは仮の姿、後に付けられた通称は、独立処刑大隊


実態は、特殊監査強襲浸透部隊という名の特殊部隊であった。


隊員の殆どが囚人あるいは、懲罰部隊所属の兵士で、隠蔽工作や最前線での危険な活動を行っていた。


しかし、装備は他の部隊よりも潤沢で、大国の空挺部隊と同等、もしくはそれ以上の装備を有している。


逸見は、墓場から持ち出したstg44を整備していた。


航空会社とカメラ会社が共同開発したダットサイトを取り付け、フォアグリップをバンドガードに装着。


更に、伏せ撃ちしやすいように、弾倉を切り詰めた物やシェアファイアマガジンに変更、マガジンの長さを短くすることに成功した。


武器の調整を行っていると、キキョウ大尉がやって来た。


「報告します、第1中隊、第2中隊、第3中隊出撃準備完了」


「いつでも行動出来ます」


逸見は武器の安全装置を掛け、弾が入って無い事を確認して、武器を置くと、「ご苦労」とだけ話した。


前回、作戦について異議を唱えた彼だが、私にとっては良い副隊長役が見つかったと思っていた。


誰でも構わず意見を唱え、常に作戦の不備や情報の共有をしてくれる人間が必要だったのだ。


殆どの人間が、私を森で熊さんに遭遇したが如く怯えるか、こちらの目を見て不敵に笑ってくるのだ。(不思議なものである)


その為大尉の存在は、とてもありがたいものとなっている。


そして、それとは別に演説を副隊長に丸投げする、という目論見もあった。








アガナ国パレティナ地方『光の間』


「指導者様S80が、お話をしたいと」


「通してくれ」


諜報員から持ち込まれた資料を置き、眼鏡を外した。


自らの目を持って、目の前に立つ白髪の男を見つめなければならない。


体重100キロを超える巨漢の男が、たった1人の老人に恐れを感じているのだ。


「また、暗殺者を1人殺ったそうじゃないか」


「あんなのは暗殺者とは呼べませんよ」


老人はそう言うと、血まみれの袋を机に置いた。


「何の真似だ?」


「袋の中を見てみろ、我々の敵がまた増えたぞ」


指導者改めて、コバシ・ラ・シャダム、が袋の中身をつまみ上げ、しげしげと眺めた。


「この指がどうかしたのかかね?」


「指の爪が、青みがかっているでしょう」


「それは、ハリタス教徒がよく使ってるハーブだ」


「ハリタス教団はラプア民族を、消し去るつもりのらしい」


「世界中が我々の敵という訳か……」


少しの沈黙の後、大きな音を立て、ゴミが床に散乱した。







骨を避けナイフで首の大部分を抉った。


「妙に念入りだね」


「この国の連中には、とても世話になったからな恩返しだよ」


「恩返しってレベルじゃないよアンネ」


若干引きぎみで、そう言うと背中に背負った無線機の受話器を取り、話し掛けた。


「こちらG3中隊見張りを排除した、送れ」


「こちらG1了解、増援をそちらに送る、送れ」


「こちらG3了解、幸運を、終わり」


目の前に広がる景色には、大小様々な家屋が健在している。


この景色の中には、大勢の男、女、子供、老人が、存在している。


「恐らく、千人はくだらないだろうな」


アンナがそう呟くと、


「あんな作戦を思い付く何て、分隊長様は頭がお凄いのではなくて?」


と、アンネが上品に罵倒した。


「でも私達には関係ない、例えどれだけの人を犠牲にしても」


「例えどれだけの、人の人生を終結させようとも」


「「二人は永遠に一緒」」


二人の少女は、真夜中の砂漠で熱いキスを交わした。


彼女らの熱愛っぷりに、第3中隊の面々は呆れ顔だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ