出会い
違和感があった。
小さな違和感だ。
その違和感は私を蝕んで行っている。
その違和感に気付かなかった。
その違和感に呑み込まれていた。
違和感が孵化し、理性という腹を食い破った時に、私は世界から追い出された。
私は森に居た、何処かも分からない森に私は状況が理解出来ずにいた。
こういう時思考が停止すると不味い、私は深呼吸すると辺りを捜索し始めた。
辺りは真っ暗で何も見えず、ただ森の鼓動と呼吸が聞こえて来るのみで、一切の雑音も無かった。
その静けさは、生命だけが活動する静けさであり、私がここに居るのが酷く違和感を覚えた。
「ここはいったい?」そう口にすると、上の方から声が聞こえてきた。
???「ここは島の北西の方だよ」
「誰だ!」
???「ちょっとぉ、そんなに怒鳴らないでいいでしょ折角教えてやってるのにぃ」
そう言うと木に登って居た人物が下に降りてきた。
その人物が持っていたランタンに火を灯すと、その人物の顔が見えた。
耳は尖って無いが、昔読んだ本のエルフ似た美しい女性だ。
エルフ似女は私をじろじろみている。
「何か変か?」と私が問いかけると、エルフ似女は
「いや〜君見掛けない顔だからつい」
「あ、そうだ君何処から来たの」
「昨日落ちて来た大きな奴と何か関係あるの?」
と質問攻めにしてきた。
「まてまてそんなに聞かれても困る」
「じゃあ、一つ目!貴方の名前は?」
「私は……逸見萩だ」
「二つ目貴方は何処から来たの?」
「日本だよ」
「日本?そんな国聞いたことないなぁ」
と話し込んでいると、後ろから声が聞こえてきた。
エルフ似女が声の方向に手を振っている、仲間が居るようだ。
5人程の男女が息を切らしながら、エルフ似女に向かって喋っている。
「駄目だ弓を引く音に気付いて逃げられた」
「あれは足もすばしっこいし耳もいい」
「わざわざこんな夜中に狩りに出掛けて、マグタニの一匹も捕まえられないとはついてない」
そう会話していると、私にようやく気付いたようで、こいつ誰?的な視線を向けてきた。
エルフ似女は、私が遭難者だと言うことを伝えると、今日はもう村に帰ろうと言った。
それに全員が賛同し、村へ足を進めて行くエルフ似女が付いてきてと私の手を引っ張る私は、エルフ似女に付いて行くしか無かった。
「そういえばあんたの名前を聞いてなかったな」
エルフ似女はこう言った「ガーベラよ」