市街地戦
「敵だ!屋根が青い家にいる!」
難民がライフル銃を、こちらに撃ってきた。
私は窓に向かって、10発ほど制圧射撃を行った。
その間に5人の自警団は、直射しやすい用に改良した八九式重擲弾筒を窓に向かって発射し、敵をズタボロにした。
すると今度は、目の前からナイフや棒を持った奴らが現れ、此方目掛けて突っ込んで来たので、私はそいつらに向かってクルツ弾を叩きこんだ。
銃弾を受けた暴徒達は、悲鳴を上げ倒れた。
2人まだ生きていたので止めをさすと、次の地点まで前進する。
市街地は騒然としていて、店のガラスを割り、商品を盗み出す者や広場のど真ん中で女を凌辱する者、切りつけられ身ぐるみを剥がれる者、様々だった。
「あれを見ろ警察署だ」
しかし我々の視線の先には、燃え広がる大きな建物しかなく、最早現在の警察力では、対処しきれないことは明白であった。
さっきのライフルは、ここから持ち出されたのだろうか?となると暴徒達がより一層力を持つ事になる。
これまでより激しい戦闘を経験する事になるだろう。
私の横で寝そべっている警官の死体を尻目に、我々は病院へと向かった。
病院にたどり着くと我々は落胆した。
病院内はすでに荒らされていて、床は血まみれだった。
しかし手ぶらで帰る訳にもいかないので手分けして、薬を探してみた。
薬棚には、風邪薬の一つさえない。
カーテンやシーツでさえも、包帯として使われたようで、使える物は何一つ無かった。
壁に「ここにあるのは死体だけ」と殴り書きがあるのを目にすると、自警団の1人が肩を落とした。
「軍は何をやってるんだ!もう3日もたってるんだぞ」
「知るわけなだろ、どうせ政府が軍を動かして、周辺国の機嫌を損ねたくないか、特務隊の連中に邪魔されてるかのどっちかだろうよ」
突然聴こえてくる銃声に、私は目を向けると、突き当たりの部屋から2名ほど人が出てきた。
私は即座に銃を向け、そいつ銃弾を浴びせた。
「1人やられた!」
自警団の1人が猟銃を撃ちながら叫ぶ。
「右の部屋から回り込め!」
そう指示すると、手榴弾のピンを抜き部屋の中に放り込む。
私が部屋の中に手榴弾を投げ込み、爆発したのを確認すると、呼吸を整えて突入し、辺りに散乱した肉片を踏み潰しながら、廊下側を確認する。
自警団の1人が射線に入って来たので注意する。
「射線に入ってくるな撃ち殺されたいのか」
「あぁ、すまん」「被害は?」
「ペルがやられた奥さんに何て説明すりゃいいんだよ」
「病院から出るぞ」
「薬はどうする?手に入らなかったじゃすまないぞ」
「俺の記憶違いじゃなければ、近くに薬局があった筈だ」
「包帯ぐらいは、まだ残ってる可能性も無くはない」
「よし、じゃあ行くぞついてこい、それと射線に入るなよ」
私は弾倉を交換すると、周囲を確認しながら病院を後にした。
その頃、ようやく出動許可の降りた国防軍が、馬やトラックに物資を載せて、暴動発生地域であるオーストに向けて進軍するのであった。
その中には、装甲車5台を保有する海軍歩兵隊の姿もあった。




