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scissor  作者: tei
第二章
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第三節

 五月十九日

 学校に行くのは少し気が重かったけれど、行ってみると全て元に戻っていました。百合子さんもクラスのみんなも、前のように明るく挨拶してくれ、お喋りにも加えてくれました。あの二人とは廊下で時折すれ違いましたが、特に何事もなく通ることが出来ました。今はただただ、安心しています。良かった。


 五月二十三日

 あれから一週間が経ちますが、本当に何事もなく、楽しい日々が戻って来たようです。心の底からホッとしています。あの二人とはもう顔を見合わせることすらありません。本当に、私のことは気にしないようになったのでしょう。明日からまた休日ですが、千代己と一緒に何処かへ出かけようと思っています。楽しみです。


 五月二十六日

 千代己にすべて聞いてもらって、今ようやく落ち着いてこれを書き始めています。千代己は本当に優しい。

 もう、何もかも、訳が分かりません。学校からの帰り道、あの二人に突然路地裏に引っ張り込まれ、もう二度と先生にチクったりするな、と凄い剣幕で怒鳴られました。そして、思い切り髪の毛を引っ張られ、のけぞったところを、殴られました。今も、殴られた胸が痛い。さっき見たら、青い痣になりかけていました。私が家で泣いているのを、千代己が気が付いて話を聞いてくれました。許せない、と言ってくれる千代己がいるだけで、私の痛みは大分引きました。でも、やっぱり痛い。悲しい。千代己はすぐに学校に報告しようと言ってくれましたが、私はそれを止めました。きっと、私さえ我慢していれば、あの人たちも飽きてやめてくれるでしょう。変に事を荒立てれば、もしかしたら次はもっとひどいことをされるかもしれません。千代己には、お母さんやお父さんにも言わないでくれと念を押しておきました。これは私の問題ですから、千代己に余計な労力を使わせたくはないのです。

 でも、千代己がいてくれて助かりました。本当に、ありがたい。


 五月三十日

 もう、どうしたら良いのか分かりません。あの二人が私に何を求めているのか。クラスメートも百合子さんも、あの二人に執拗に付きまとわれる私から離れていくのは仕方のないことです。ですが、寂しいのには変わりありません。ああ、千代己が同じ学校に通ってくれていたなら。私が下校する時だけでなく、最近では移動教室からの帰りにさえ暗がりに引き込まれて、乱暴されます。昨日は初めて傷口から血が出てきました。保健室の先生に事情を話さないようにして絆創膏をもらうのは大変でした。何かあったら言いなさい、と親切に言ってくれましたが、何と言えばいいのか……。泣き出してしまいそうになりましたが、何とかこらえました。

 今は、千代己だけが心の支えです。家に帰って来ては千代己に出来事を全て話し、慰めてもらうばかりです。感謝してもし足りないと思います。

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