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アルテイルオンライン  作者: TKCパート2
3/3

商店狩り

準説明回?


「9万8000.9万9000……10ー万!」


アルテイルオンライン正式サービス開始7日目。


俺は初級武装生産素材[砂鉄]をマーケットにぶち込み続け、所持金は10万バルドまで膨れ上がった。


ついでに言うと、途中からモンスターを[イザル湖沼]にいる、[ウミボー]というモンスターに変更したためにレベルは12、アブソリュートの熟練度はlv8まで上昇した。


つまり、現時点でこの俺はアルテイルオンライン最強クラスのプレイヤーの1人なのだ。


アルテイルオンライン正式サービス開始日に行動を開始したプレイヤーは極僅かしかいない。理由は大多数のプレイヤーが1日目を「アーリアの街」の観光につぎ込んだからだ。


集団の脅威とは恐ろしいもので、1人また1人と「今日はやめておこう」という考えに至ったらしい。


だが、それは俺にとっては好都合だ。狩場にいた4〜5人のプレイヤーと一晩中狩場を駆逐していた俺は…


「目標金額達成!そろそろ装備もアップグレードしないとなー」


期待に胸を膨らませていた。


結果として、大半のプレイヤーは2〜3日目に行動を開始。そして、両手武器を選んだプレイヤーの屍が大量に積み上がったのは売り上げを見れば一目瞭然である。


俺はアーリアの街の安い宿屋で自分の所持金を見つめつつ、朝飯を食べようと階下に降りることにした。


アーリアの街はエルミナ王国首都とあって人が集まる。中心部は中央広場とエルミナ王城があり、プレイヤーはここに転生した。東部と西部は住民の居住区および農作業区。人通りが盛んで毎日市場が開かれ、活気に満ち溢れている。


そして南部と北部は軍事拠点だ。アーリアの街を脅威から守り抜くために、騎士団や宮廷魔術師団の本部があるが、アーリアの街の北部・南部にあるのは騎士団、宮廷魔術師団の本部だけである。


つまり、簡単にいうならばここにいる兵士は全て、「中央即応集団」なのだ。有事が起こった際には各地方の支部から伝令が駆けつけ、応援部隊として出兵することになる。


何処かの国はこの事実を知らずに開始5日目で隣国に宣戦を布告したらしく、「敵も今はレベルが低く弱い筈だ!スタートダッシュを決めるぞー!」と士気高々に攻め込んだものの、国境を守護していた精鋭の騎士団および宮廷魔術師団に軽く蹴散らされ、結局街の広場は心に傷を負ったプレイヤーで大いに溢れかえったらしい。


一般的な騎士団員や宮廷魔術師団員のレベルは100。対して国境の最前線や主要都市を守る精鋭部隊はレベル120。そして王族直属の騎士団や宮廷魔術師ともなると、その実力はレベル160に登るともいわれる。


アルテイルオンラインのプレイヤーの最大レベルは150なのでこう見ると理不尽なゲームバランスだ。この事実を知らずに宣戦布告をしてしまったプレイヤーは哀れとしか言いようが無い。


とか、なんとか考えているうちに「酒場のオヤジ」的NPCが料理を運んできた。今日のメニューは白パンとコーンスープ。俺は普段洋食和食混合なのだが、ここにきてから洋食ばかりな気がする。俺は故郷の白い粒を恋しく思いながらも、白パンにかぶりつくことにした。


………………………………………………………………


青い空。


晴れ渡った空に輝く太陽。


俺は丁度天気も良かったので今日の行動を開始することにした。現在時刻は9時半。俺の今日のスケジュールは


9時30分 武器の受け取りAND防具の新調


10時〜5時 休憩挟みつつレベリング。


の2つである。一見少なくもみえるが、俺のモットーその1は面倒ごとは極力回避!なので俺的には申し分ない。


そのため、まず俺は街に12箇所ある鍛冶屋、鍛治工房の1つ、イザヤ鍛冶工房に向かう。この店の店員NPCは全員むさ苦しい筋肉のカタマリだ。どうやら朝のオヤジといい、鍛冶工房の店員といい、今日の俺はマッチョに近寄る呪いがかけられているのかもしれない。


そんなこんなで歩きつつ、すぐイザヤ鍛冶工房に付いてしまった。内部からはむさ苦しい熱気とともに高らかな金属音が聞こえてくる。熱気が強く感じるのは今日は日差しが強いからなのだろう。他に理由は…ない、ないったらないのだ。


俺は熱気の発生源を否定しつつ、カウンターへ向かう。受付にはお約束のお姉さん…ではなく、分厚いまな板をした肉の塊が居座っている。


「よく来たなボウズ!完成品はあれだ。レイシアルソード。俺らの自慢の出来だからよ!可愛がってやれよ〜。」


そういうと受け付け嬢…ジャナカッタ受け付けのお兄さんはたくましい指で壁に立てかけてある片手剣を指差した。ゴブリンがドロップする[鉄くず]にバインドスライムが落とす[ヌルヌルの液体]、そして白狼が落とす[白胃石]を素材にして作られた片刃で長めの片手剣。


「基礎攻撃力は19、属性は無属性でえーと能力は…物理攻撃力+5、攻撃速度+2%、移動速度+1.2%、無耐性-8%………確かに会心の出来だな。」


俺は人通り剣を触って感心した。現状、無属性モンスターが多い低級の狩場で無耐性-8%は少々厄介だが、移動速度アップの能力がついたのは大きなメリットだである。


「そうだろーボウズ。なんたってあのバインドスライムの[ヌルヌルの液体]だからな!こりゃーそうとう剣振りやすくなるはずだぜ!」


「そ、そこまでは言わなくてもいい…。」


ヌルヌルに耐性があるのか、俺は焼き立ての相棒の成分を自慢気に話す鍛治師に礼を言うと街を出て次なる目的地、「グラン高原」に向かう。腰に下げた相棒の斬れ味を見る為と、レベリングをする為だ。「グラン高原」に出現するモンスターは定番のゴブリン。湧きが早く、レベルの割には対して強くないモンスターなので討伐も簡単でそこそこ経験値も入る。その為か、現状最良効率の狩場はココ、済んだ空気、穏やかな音楽の「グラン高原」。







なのだが…


俺は心地良い風が吹き付ける高原で異質な1人のプレイヤーを見つける。


別に怪しくは無いのだが…無いのだが…


「お!お客さんそれ?"ドガッ"…っとお…見る目あるねぇ〜お客…"ズドンッ"…さん!じゃ1800バルドねぇー……"バゴッ!…"っと危ねえ。あ、お客さんまいどぁり!今後ともごひいきになー!」


何やら異質な音を響かせている男性。


暫く我慢していたがとうとう堪え切れなくなった俺はその男に直撃インタビューすることにし、今なお異質な音を響かせている男に話しかける。


「おい、ショウタ。お前こんなとこで何やってんだよ。」


「ん…?"ドゴンッ"お!t2じゃねぇか!昨日ぶりー!何って…"バゴンッ!キエエエエエエ!"ご覧の通り、商店狩りよ。」


商店狩り。


それは数多あるMMORPGで「商店」システムが与えられたMMOでのみ、発生するMMOあるある。


「商店」システムとは、


プレイヤーは売り出したいアイテムを選択し、OKボタンを押すとその場に品物が乗った四角形の布が出現。そしてプレイヤーの頭上には[商店開店中]のウィンドウが表示され、商売できるといういわばなんちゃってフリーマーケットであり、アルテイルオンラインにもこのシステムは存在。誰でもどこでも好きな時間に自分の店を開けるが…


「なんでフィールドででっかくOPEN!してんだよ。」


「だってー。レベリングもしたいしー!それに最良効率の狩場だからそこそこ人通るしー!湧き場他にもたくさんあるし!」


どこでも、となるとこういう輩が出て来るのだ。現に今もショウタは持ち前の拳装備でゴブリンを踏む、蹴る、投げ飛ばす。を繰り返し中。俺を見ながら話しているのを見ると、以外と器用なのかもしれない。


だがその時ショウタがニヤリと笑みをこぼし、話始める。


「ところでt2さんよ。防具が全部初期装備だけど?どうしたんよ?」


俺は一瞬、自身の防具を見る。そしてショウタの防具を見る。


…そして…


「防具新調してくんの忘れたあああああああ!!!」


ショウタが再度頬笑みを零した。

………………………………………………………………



皆さまこんにちは!TKCパート2です(^-^)

今回3話目ということで…ハイ、これも筆者のMMORPG豆知識「商店狩り」たまにいますよねー。実を言うと筆者自身も…


では皆さま!また次の更新で!

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