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アルテイルオンライン  作者: TKCパート2
2/3

エルミリア王国

転送初日。


西暦2025年4月30日


12時00分


カプセル型の機械に入り、一斉に意識を飛ばした俺たちは


新たな現実を


リスタートした



はずだった…。


「直ぐにフルダイブできると思ったらアバター作成からかよ…。俺の期待を返せ…。」


俺は溜息まじりにそう呟く。


見渡す限り何もない白い平原。目の前には1つの大きな等身大の鏡とcreate the avaterと書かれたシステムウィンドウが何も言わず静寂に表示されている。


俺は期待を裏切られたことに再度溜息をつきながら仕方なくシステムウィンドウをタップした。


…すると、突然ウィンドウが切り替わってplayer calacterと書かれた装備ユニットが表示された。まだアバターを作成して居ないせいか、灰色の身体に縦線横線が入った灰色人間であり、なんともみすぼらしい。


俺の操作の不慣れにシステムが早くしろと言っている気がするが、この際気にしない。顔や髪色、髪型など実に様々な型があり本当に多種多様。まあ…アバター性なので「そっくりさん」を防ぐという意味もあるのだろうが…


俺は時間を確認した。プレイヤーチュートリアル開始が12時45分からなので、まだ時間はありそうだ。


それから数あるパーツの中で髪色・黒、目の色・エメラルドグリーン、髪型・ヴィジュアルレフト、表情・悲を選択。


結果、出来上がったのが…


「髪は左向きのアニメの主人公みたいな髪。目はエメラルドグリーン。なーんかクールだけど遠い目をしてるというかイケ好かないつうか…。まぁいいや、完了。」


俺は鏡を見ながら新たな自分の容姿を評価しつつ、別段悪い気もしなかったので完了ボタンに手をつける。



キャラクリが終わった後は、年齢や誕生日を記入。

サーバーは日本サーバーのまま変更不可のようで、俺はまあ当然か、と思いつつ記載を続けていく。


だが、最後の2項目で指が止まった。


キャラクターネームと初期武器の選択。


「んと…キャラネームは一旦置いといて武器は…片手剣、両手剣、片手槍、両手槍、片手斧、両手斧、杖、刀、弓、鈍器、双剣、拳。片手武器の副武装として短剣、矢、魔法道具、盾。うわーまじか…全部で16種類もあんのか…。」


俺も大戦前は少しゲームをやっていたことがあるがここまで武器種が多いのは見た事がない。悩みに悩んだ末、アルテイルオンラインは完全スキル性。片手武器とそれに近い両手武器(片手剣と両手剣、片手槍と両手槍など)では使うスキルが一緒という一行を発見した俺は、無難に片手剣、副武装に魔法道具を選択。本当の選択は未来の自分に任せ、一応は魔法剣士としてスタートすることにした。


だが、お次はキャラネームである。


こっれがクセモノだ。言い名前が思いつかなかった俺はリアルネームのアダ名で行く事を決意したの


だが…


「TKCっと…これで完了、」


「ブゥン」


何か変な音がした。


音源のウィンドウを見るとそこには…


[重複したキャラネームは使えません]


どうやら、先駆者がいたらしい。俺はかれこれ30分近くキャラクタークリエイトをしているらしく、そろそろログインしなければならない。


俺は再度キーボードを打った。


だが、


「TKC2」


「ブゥン。その名前は使えません」


「冒険者・TKC」


「ブゥン。その名前は使えません」


度重なるお名前ブロック。どうやらアルテイルオンラインはTKCという名前に恨みでもあるのか、俺の攻めを否応なく跳ね返し続ける。


そして…


………………………………………………………….…


「アルテイルオンラインへようこそ。TKCパート2さん。」


俺は愕然と肩を落としながら日本サーバーの最初の街であるエルミリア王国王都「アーリア」において、目の前のウエルカムメッセージを絶望の眼差しで眺めていた。


AIの度重なるブロックにムキになった俺はTKC、TKCと打ち続け…


結果、遠い目をしたイケスカナイ冒険者、「TKCパート2」というキテレツな名前を持ってこの世界の転送魔方陣に出現。


街ではまだチュートリアルが始まっていないせいか、続々とキャラクリを終えたプレイヤー達があっちこっちで姿を現している。


周囲では冒険者アリサやリータなどみな申し分ない名前で始まる前の自己紹介をしあっているが、当の俺は…


「やっちまった………。」


絶望的、破滅的にキャラクリから盛大にやらかした。


と、その時、俺の心を絶望に染め上げていた黒い雲が一瞬で吹き飛ぶ。


「ねぇ、キミ。元気なさそうだけど大丈夫?」


見ると淡い紫の髪をポニーテールに縛り、同色の瞳を輝かせた少女がこちらを見ていた。


その姿は一言で言い現すならば…


「女神様だ…。」


「えっ?」


つい心の声が漏れてしまった。俺は何とかわからないようにその場を取り繕う。


「あ、いや、何でもない。俺はTKCパート2。君は?」


「TKCパート2君…珍しい名前だね。私はノエル。よろしくね。えっと…TKCパート2君。」


_:(´ཀ`」 ∠):


俺の今の気持ちを表すならこうである。まず第1にこの子は珍しい名前と言った。上手く遠回りしているがつまりは珍しい名前=ヘンな名前である。まず第1のグサッとくるポイントがココ。第2にこの子は最後、名前を言う前にえっと…って言った。…これが意味するのは…


「名前を覚える価値もない人間…。」


俺は開始直後のトリプルパンチで今にも倒れそうになる。だが、流石に女の子の前で倒れるわけにはいかないので、さっさとこの女の子を追い払うことにした。


「よろしくノエル。じゃ、俺はちょっとあっちいってくるから。」


「うん、また会ったらよろしくね。」


どうやらこのノエルという女の子は余程性格が良いらしい。この腐った世の中にも、まだこんな子がいたのかと思うと泣けてくる。俺は眼の端っこに光るものをうかべながら町の広場を歩きだした。


他のプレイヤーは自己紹介をしているものもいれば、システムウィンドウをいじくっているものもいる。

皆、始めてみる異世界にテンションがアップしているのかとても楽しそうだ。


だが、人と関わるのが苦手な俺は後者に回った。そう、することがなくてシステムウィンドウをいじくる組である。


俺は細々と端っこの椅子に掛けると顔の横で指を鳴らす。アルテイルオンラインでは顔の横で指を鳴らす、がシステムウィンドウを開くボディコマンドであるらしく周囲からもたびたび、指パッチンの音が聞こえてくる。


さっきの白い平原にいたときとは違い、ログインするとウィンドウがリニューアルされていた。ところどころカラフルになっている。


そして


「やっぱりないな。」


分かっていたことだが、ROGOUTのボタンはどこにも見当たらない。俺たちは所属国家に魂を捧げる兵士。来た以上後戻りは出来ないため、余生をこの世界で過ごすことになる。


俺はなおも操作し続けると、「武器」ストレージに入っている片手剣初期武装「ショートブレード」と初期魔法道具「ミラージュ」と呼ばれる小さな水晶玉を装備した。ステータスを上げていないせいか、初期武装なのに「ショートブレード」は驚くほど重く、片手では持ち上がらない。これでは両手武器を選んだ奴らは早々に武器を買い換えなければならないだろう。自分のラッキー性に今回ばかりは感謝すると、俺は続いてスキルウィンドウを確認。


「ブレイドスキルlv1…習得しているスキルは…アブソリュート…何で次のスキルは?なんだ?」


俺は一瞬躓く。アブソリュート以外のスキルが全て?だからだ。だがその答えは直ぐ見つかった。


「熟練度lv1…あ、なるほど。この熟練度をlv10にすると次の分岐スキル2つが解放されるわけか。」


どうやらそういうことらしい。アブソリュートの下に

熟練度lv1/10 0%という記述がある。こんな見辛い表示をつけた運営に怒りを覚えるが、今はおいておくことにする。


だが、その運営への怒りは届いてしまったのか、広場が一気にざわめき始める。


何事かと思い立ち上がると広場の前方にある建物に三人、人がいて、その1人が話し始めた。


「静粛に!皆の者静粛に!…ウォッホン。まずは我が国の勇敢なる勇士たちよ!良くぞ集まってくれた。礼を言おう。皆も知っている通りエルミリア王国国王、ダグラス・エルミリアの名に置いて今回、他国の侵略や度重なるモンスターの襲撃に対処する為、騎士団以外に冒険者の設立を決意した。……………………」


どうやらプレイヤーチュートリアルが開始されたようだ。時計を見るとすでに12時50分を差していて登壇したのはこの国の国王らしい。


だが、俺はそれ以外の事に興味が行った。国王をはじめとするプレイヤー以外の国民。つまりはNPCである。


「自立思考行動型プログラム。通称「IIP」システム。意思をもつ…データの塊か…。」


俺は一言呟くと脳内を駆け巡る情報をとっ捕まえる。


世界初、意思をもつプログラム群。


これも先の大戦で開発された技術であり、世界初の技術である。時代は進んだなーと思わされる技術であり、世界からもその評価は高い。余談だが、「IIP」の「II」を勘違いして殆どの人間は2Pと呼んでいるが、まあ関係ない話だ。


と考えている内に国王の熱演が終了したらしく、周りから拍手や掛け声が送られる。俺も何と無く拍手しつつ、国王の熱演を復習する。


要約すると、


・モンスターを倒し、ダンジョンを制覇しろ。


・敵国の兵士も倒せ。敵国の領土が10%又は自国の領土が10%制圧された場合は冒険者だけでなく、騎士団と宮廷魔術師団も動員され、国家と国家の戦争が開始される。


・戦争に勝てば戦果に応じて莫大な賞金。


・冒険者同士で「ギルド」と呼ばれる団体を作っても良い。


と、このようになる。


これを聞くと、冒険者が敵国に好きに喧嘩売って良いってどういう話だよ!とツッコミたくなるがまあルールはルールだから仕方ない。


最後は王国騎士団団長や、宮廷魔術師団団長などの紹介と、取り敢えず2.3日分の生活費として1人につき2000バルド配布。そんなこんなで解散となり、今まで騎士団が封鎖していた道が開かれた。


にも関わらずプレイヤーはまだお話中のようだ。さっきのノエルという女の子もまだほかの女の子と話している。


ボッチという惨めを晒すのもいやだし、それにする事がある俺は他のプレイヤーより一足先に街を出た。








アルテイルオンラインには、武器屋、防具屋、鍛冶屋、合成屋、そしてお馴染みの雑貨屋が存在する。


この内、武器屋、防具屋は良質な武器を売っているが値段がとてつもなく高い。ショートブレード1本でも事前資料によると1万バルドはする筈だ。


対して鍛冶屋は素材が必要になる反面、値段は安くなる。ショートブレード1本、質は悪いが1000バルドもあればできるであろう。


こう見ると武器屋は良いボッタクリ商売であるが、中にはドロップもしなければ、鍛冶屋にも鍛冶スキルのリストにも存在しない、つまりは武器屋でしか買えない武器もあるのだから、この世界のゲームバランスは滅茶苦茶だ。


そして話を戻すと、正式サービス初日、まだ鍛冶スキルは誰も習得して居ないし片手武器であの重量だ。どう考えても両手武器を選んだプレイヤーはステータスがある程度伸びるまで替えの片手武器が必要になる。


と、考えると…


「初期武装生産素材、[砂鉄]は破格の需要のはず。」


そこまで言ったとき、俺は心地よい風が吹きわたる平原へ出た。


「アーリアの街・東門」隣接フィールド「バラン草原」。


そして、此処に出現する初級モンスター「バラス」から砂鉄は入手可能だ。


俺は腰から光る長剣を抜き放つと、早速飛び交かってきた亀型モンスターにキツイのを1発叩きつける。

………………………………………………………………


1週間後。


バラスから取れる[砂鉄]をマーケットにぶち込み続けた俺は。


所持金約10万バルドの


小金持ちとなっていた。

どうも皆さまこんにちは、TKCパート2です^_^

今回は2話目ということで…

実を言うと最初の方のログインの仕方は作者の実体験。ハイ…ムキになった作者はこのキテレツな名前でゲームにログインした過去があります(;_;)(黒歴史)


では皆さま、また次の更新で!

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