第一話 海石 凪のログイン
今回は主にゲームの説明と主人公がログインする所、友人との会話です。
誤字、脱字がありましたら指摘して下さると幸いです。
高校生活が始まってから三ヶ月と少しが経ち、七月も半ばに差し掛かった。日差しも徐々に強くなり始め、半袖の服でも汗を容易にかいてしまう程に気温も上昇し始めた。これから八月、九月になるにつれてもっと気温も高くなるだろう。暑さのあまりバテてしまう人や倒れてしまう人が発生するかも知れない。
しかし、そんな暑さすら気にならなくなるぐらいに俺は浮かれていた。一学期の期末テストも終わり、明日には夏休みに入るからだ。高校生になってから出来た友人達とどのように過ごし、遊び、楽しむか――――と、これから訪れる長い休みの事を考えて、期待するあまりに夏の暑さなんてどうでもよくなったのだ。
特に今日は、友人の一人である〈宮本 竹蔵〉が紹介してくれた、とあるオンラインゲームがサービスを開始する日だ。β版をプレイした事がある竹蔵曰く、かなり奥深くやり込み要素があるゲームで超絶オススメなのだとか。竹蔵が薦めてくれたゲームにハズレはなかったので、このオンラインゲームにもかなり期待している。楽しみも倍増、浮かれ気分も三倍増だ。
竹蔵が薦めたゲームの名前は――――《神世界アマデウス》。《神世界》は“しんせかい”と読むらしい。
プレイヤーは神々が創り上げた世界を冒険していき、世界に潜む未知のモンスターや素材を発見していく。更にこの世界には死して神に認められた英雄、偉人が様々な場所に暮らしている。過去の英雄、偉人達と共に世界を駆け抜けよう――――というコンセプトのゲームだ。
何千何万人のプレイヤーが協力し、競い合い、冒険し、闘い、成長していく。俗に言うMMORPGというジャンルで、それだけ見れば至って普通なオンラインゲームなのだが、このゲームは他のゲームとは一線を隔す所がある。
『Receptive Virtual Reality』。仮想現実体験装置。略して『RVR』。
その名の通り、仮想現実を五感を通して体験できる夢のような装置だ。解り難いのであれば「実際にゲームの中の世界に入って疑似体験できる装置」という解釈して構わない。
《神世界アマデウス》はこの装置をハードとしてプレイできる、すなわちVRゲームなのである。
普通のオンラインゲームと違って実際にゲームの中の世界観を視て、聴いて、嗅いで、味わって、触って、本当に現実の如く楽しむ事ができるゲーム。自らの口で会話し、自らの足で冒険し、自らの力でモンスターを倒す事ができる。期待しない方がおかしいという話だ。
このゲームを手に入れる為にどれ程苦労したことか……。そもそも『RVR』自体が入手困難な人気の機体であり、半年近く予約を待って手に入れた代物なのだ。それに加えて《神世界アマデウス》も期待作として絶大な人気を誇っている。両方を首尾よく手に入れてサービス開始日に間に合わせた自分の幸運に感謝しよう。
という訳で早く《神世界アマデウス》をやりたくてしょうがないのだが、今日は終業式。午前中に終わるとはいえ、それでも数時間は我慢しなければならない。サービス開始日が休みではなかった事に絶望しつつ耐え忍ぶしかないのだ。今日ほど時間が過ぎるのを待ち遠しく思った日はないだろう。
そして終業式を終え、飛ぶように家に帰った俺は猛スピードで昼飯を食べ、『RVR』を起動させ、すぐさま《神世界アマデウス》にログインした。
楽しみに楽しみを重ねたゲームの始まりに胸を高鳴らせ、俺はVRの世界へと落ちていく――――――――。
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厳かなBGMと共に《神世界アマデウス》のタイトル画面が視界一杯に表示される。うまくVRリンクが出来たようだ。
まずは新規アカウントを作成する。アバターネームの入力は他のオンラインゲームでも使っているもの――――俺の名前である〈海石 凪〉をそのまま使った〈ナギ〉という名前にする。次いで年齢、性別、パスワードを手早く設定する。
次にアバターを作成する。《神世界アマデウス》にて実際に使用する仮想の肉体だ。念入りかつ丁寧に作成しなければならないだろう。変な肉体を作って恥をかくのだけ避けたい。
とはいえ、一から作成すると莫大な時間が必要となる。なのであらかじめ『RVR』に保存しておいた自分自身の写真を使用し、それを元にアバターを手直しして容姿を変えていく事にする。それでもかなりの時間が掛かるがゼロから作るよりはマシである。
《神世界アマデウス》では性別を偽らずにかつ不謹慎な見た目、実在の人物やキャラクターそっくりにしなければ、アバターの容姿は自由にしていい。どうせならイケメンな容姿に作って格好良くしたいものだ。仮想世界の仮の肉体なのだから、それぐらいはいいだろう。
というわけで俺は自身のアバターを”某RPGの赤色ロン毛のイケメン騎士風“の容姿に改造した。そっくりに作ると怒られてしまうので、あくまで”風“である。中々良いものが出来たと自負する。
あとは細かい設定を決めていき準備完了だ。最後に全ての設定を見直して確認し、いよいよゲームスタートのボタンを押す。これで俺はようやく《神世界アマデウス》の世界へと旅立つ事ができるのだ。
『全データ承認完了。《神世界アマデウス》の世界へ貴方をお連れします。新たなる英雄となれるよう、心よりお祈り致します』
女性型機械音声のアナウンスと共に一度視界が暗転する。そして肉体に様々なもの――――初期装備品が装着されていく感覚を感じ取る。そして一瞬だけ浮遊感を感じた後に、視界がホワイトアウトした。
「っ………………!」
少し目が眩んだが、すぐさま慣らして持ち直す。
まず最初に飛び込んで来たのは、目の前に広がる光景と周囲から聴こえて来る人々の雑踏や声。西洋風の街、青空に映える白い雲、現代社会ではお目に掛かれない鎧や武器を装備した人々。現実ではあり得ない光景を現実のように実際に視て、聴いて、体験している。
この世界こそ《神世界アマデウス》。
仮想でありながら、確かに存在する夢の世界。
「すげぇ……。噂には聞いていたけど、これが『RVR』を使ったゲームの世界なのか……。匂いとか太陽光の暑さとか、現実世界のそれじゃねぇか……」
『RVR』自体初めて体験する物であったが、その完成度の高さにただ圧倒されるだけだ。期待していたものの、所詮はVR――――仮想でしかないと高を括っていたが、良い意味で裏切られた。一概に仮想と断じてしまうのは愚の骨頂、これはもう一つの現実世界と言っていいだろう。
「…………おお! ちゃんと姿が変わってる! 鎧や剣もある!」
次に自らの姿を確認する。近くの建物の窓に映った自身のアバターの姿を見て驚きの声を上げてしまった。設定通りの赤髪の人物がそこに映っており、俺の動きに合わせて同じ動きをしていたのだ。間違いなく俺自身――――俺の今の姿そのものだ。
ただ、少しだけ問題がある。
「うん? なんか…………顔立ちがイメージしていたのと違うような…………」
アバターを作成する時はイケメン騎士風にしていた顔立ちが、いざゲーム内で実際に見てみると女顔に見えるのだ。美青年といえば聞こえはいいが、なんかオカマのようにも見える。確かにイケメン顔に作ったはずなのだが……。
「まぁいいか。多分ゲームに投影された時に何かあったんだろう。不自然じゃないだろうし、このままでいいか」
作成時のイメージと実際のイメージが違うのはよくある事だ。主観的に見るか客観的に見るかの違いだろう。作り直すのも億劫だし、気にしない方向性でいこう。
アバターを確認したので、次はいよいよ《神世界アマデウス》の世界を歩いてみることにする。まずは軽く散歩でもして動きに慣れておこうという。同時に街中を散策して建物や施設の場所を確認しておきたい所だ。さて、どこに行こうかな……。
「っと……。そういえば、竹蔵の奴と合流しないとな」
危うく浮かれ過ぎて忘れる所だったが、このゲームには俺を誘ってくれた竹蔵もログインしているのであった。竹蔵にゲームをプレイし始めたら連絡するようにと言われていたのだ。β版をプレイしたことのある竹蔵と一緒に行動した方が、色々とゲームのシステムとか施設の使い方とかも良く分かるだろう。
早速『RVR』に登録している竹蔵のアカウント宛にメッセージを送る。メッセージは脳内で「メッセージ作成」と唱えれば目の前に半透明のキーボードが出て来るので、それを操作して作成する。《神世界アマデウス》のアカウントとは別のアカウントに送るのだが、設定次第ではこのアカウントでゲームを越えてメッセージのやり取りが出来る。便利なものである。
〔竹蔵。アマデウスにログインしたぞ。合流したいんだがどこに行けばいい?〕
作成したメッセージを送ると、少しの間の後に返信メッセージが届いた。
〔めっちゃデカイ塔が街の中心に建ってるだろ? 入口付近で待ってるからそこに来い。黒髪のチョンマゲヘアーの髭面がオレのアバターだから〕
「街の中心のデカイ塔、ね」
少し周囲を見渡せば、確かに天を衝かんとする程に高くそびえ建つ塔が街の中に存在するのが見える。あれが竹蔵の言った待ち合わせ場所なのだろう。解りやすい目印なので道に迷う事なく到達できそうだ。
俺はゆっくりと深呼吸をしてから、記念すべき仮想世界における第一歩を踏み出した。ここから俺のゲームがスタートする。ここから全てが始まるのだ。
まだモンスターとも戦ってもいない。NPCと会話してすらいないが、それでも俺はとてつもない期待と希望を胸に《神世界アマデウス》を始める事ができる。高まる興奮を抑え切れないのだ。
願わくば、幸先よいゲームスタートが出来ることを。出だしから悪い出来事が起こらない事を祈って、俺は塔を目指して歩き始めたのであった。
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「お前のアバター不自然の塊だなオイ!」
「合流後即罵倒!?」
出だしから友人に貶された。悪い事が起こらないようにと願った矢先にこれである。
何の問題も無くスムーズに目的地に到着し、すぐに竹蔵と思われるプレイヤーを見つけ出し、何気なく声を掛けるところまでは良かった。しかし竹蔵は俺の姿を見て、少しだけ呆然とした後に罵倒を放ったのだ。突然の友人の暴挙に思わず面を食らってしまった。
「えっ!? お前ホントに凪か!? どうしたんだよその姿!? 完全な女顔のくせしてめちゃガタイいいじゃねぇか! アンバランス過ぎてキモいぞ!」
「そ、そんなにか!? 俺はイケメン顔にアバターを作ったつもりなんだけど……」
「どこをどう見たらイケメンなんだよ! どこからどう見ても失敗してアーメンゴメン顔じゃねぇか!」
「どんな例え方だよソレ!? そんな顔立ちの表現の仕方、聞いた事ないんだけど!?」
どうやら竹蔵は俺のアバターの姿に(悪い意味で)驚いたようだ。自分は気にしなかった女顔のアバターだが、友人から見たら違和感をありありと覚える程に不自然だったようだ。
「お前がそこまでアバターの造形がめちゃ下手だったとは思わなかったぜ……。確かに仮想空間のアバター制作は難しいけど、イケメンを女顔と間違えて作るのは、世界広しと言えどお前だけじゃねぇの?」
「いやいやいやいや! 作成した時は確かにイケメンだったんだって! いざゲームにログインしたら女顔になってたんだよ!」
「当たり前だ! おおかたアバターを作った後にテストプレイしないままログインしたんだろ。作成時の仮想空間と《神世界アマデウス》の仮想空間は違うんだから、アバターの見た目が多少変わるのは当然だろうが」
「…………えっ?」
仮想空間が違う? アバターの見た目が多少変わる? そんな情報、全く知らないのだが…………。
「VRでのアバター制作時の注意事項に記載してるぞ。アカウント作る時の利用規約や注意事項の確認・同意…………ちゃんと読まなかったのかよ?」
――――あぁ、なるほど。そうだったのか。どうも俺は早とちりをしていたらしい。勘違いとも言うが。
怪訝な表情でこちらの様子を伺う竹蔵に対して、ゆっくりとサムズアップをして笑顔で答えてやった。
「他のゲームの注意事項と同じだろうと思って読み飛ばかしちゃった☆」
「同情の余地もない自業自得の自爆だったか…………」
返す言葉もない。完全にこちらのミスだ。ちゃんと注意事項を読んでおけば良かったと激しく後悔をする。まさかアバターの姿が変わるなんて思いもしなかった。
「アバター作成自体は『RVR』の基礎プログラム内で行うんだよ。そこで作ったやつを《神世界アマデウス》にコンバートするんだ。基礎プログラムとゲーム用のプログラムは違うから、コンバートする際にアマデウス用にアバターを自動調整しちまうんだ」
「な、なんでそんな面倒な事を…………」
「オレが知るかよ! だから本来なら作成してからアマデウスの仮想空間でテストプレイ、再び戻って微調整を繰り返してアバターを仕上げるんだよ。オレはあらかじめ作成しておいたアバターを多少手直ししてからコンバートしたから、そんなに手間は掛からなかったけどよ」
「『RVR』ってあらかじめアバターを作成しておけるのか……。知らなかった……」
「うん。それも『RVR』の説明書に記載されてるけどな」
これからはどんだけ興奮し急いでいても、ちゃんと説明書や注意事項は隅々まで読んでおこう。俺は心の中で堅く誓った。
それにしても、竹蔵のアバターは多少の手直ししかしていないというのにかなり格好良く仕上がっている。鷹の如き鋭い眼光、ガッシリとした体格、見事なチョンマゲ、荒々しさを感じさせる無精髭。どれもこれも違和感無くマッチしていて、正しく“侍”と呼ぶに相応しい姿をしている。羨ましい限りだ。
俺の羨望の視線に気付いたのか、竹蔵はニヒルに笑って腕組みをした。つまり格好付けた。
「これが格の差というもんだ、凪。お前はキモいオカマ野郎、オレは伝説の剣士〈ムサシ〉! どうだ、めちゃ格好良いだろう?」
「正論だが腹立つ! 遥かなる上から目線が腹立つ!」
実際に格好良いのだから悔しさも腹立たしさも二割増しだ。アイドルグループにいそうなよくあるイケメン顔ではないものの、鍛え上げた熟練者の如き頼れる格好良さが漂っている。方向性は違えど、俺もこのような格好良いアバターを作りたかった。
「なぁ……。《神世界アマデウス》にアバターの姿を変更できるアイテムやら魔法やら無いのか?」
「無い。リネームアイテムもボディチェンジもメタモルフォーゼもトランスフォームもない。アバターを作り直したいのならアカウントを削除してから最初からやり直すしかない」
最初からやり直すしかない……。また色々と面倒な作業を繰り返さないといけないのか。しかし、元はと言えば注意事項を読んでいなかった自分のミスが原因なのだ。手間は掛かるものの、友人に馬鹿されるようなアンバランスアバターでゲームをし続けるよりはマシであろう。
そう思い、俺はすぐさまログアウトしてアカウントを作り直そうとして――――。
「ちなみに《神世界アマデウス》のアカウントは新規に作成したら一ヶ月は再作成できねぇぞ」
「この世に神はいない!?」
友人の絶望の一言でその場に崩れ落ちた。最早立っている事すらままならない精神的ダメージを受けたのだ。何故悉く自分に対して向かい風なのだろうか、このゲームの仕様は。
「もう一度言うぞ。なんでそんな面倒な事を!?」
「これは知ってる。アカウントを複数作ってイベントとかキャンペーンとかを利用してレアアイテムをゲットするだろ。それをアカウント削除と再作成を繰り返す事で無限に増やせるんだよ。正規アカウントにレアアイテムを贈与する形でな」
つまりリセットとスタートを繰り返す事で何度も同じアイテムを手に入れるわけか。一つのアカウントにアイテムを集める事で、事実上時間がある限りはレアアイテムを取得し続ける事ができる。悪賢いやり方だが、手早く楽にレアアイテムを増やせる確実なやり方だ。
だが、そういった行為は本来なら不正扱いになり、なんらかのペナルティを受けたり何重にも対策を立てられていたりするのではないのだろうか。わざわざアカウント作成に制限を付ける必要はないように思えるのだが…………。
「当然、運営による裁きが下される案件だ。複数アカウントを作ったら、それだけでもアカウント停止。アイテムを不正に増殖させたら、その『RVR』では《神世界アマデウス》のアカウントが二度と作れなくなる。かーなーり重いペナルティを受けるわけだ」
「なら、なおさらアカウント作成ひ制限付ける必要は無いだろ? 俺みたいにアカウントをただ単純に作り直したい奴だっているだろうし」
「だが、本来なら一つや二つしか手に入らないようなアイテムが何個も手に入ったら――――しかもそれが流通しちまったら? 何もレアアイテムってのは自分で使うだけじゃなくて、金稼ぎ用の商品として売っぱらう事にも使えるんだよ。希少アイテムが何個も何個も色んなプレイヤーの手に渡っちまったら、もうその時点で手遅れなんだよ」
「…………確かに」
不正したプレイヤーがレアアイテムを使うだけなら、個人の問題として済ませる事ができる。しかし、レアアイテムが流通してしまったらゲーム全体の問題となってしまう。ゲームバランスの崩壊、あるいはレアアイテムの値崩れといった事が起こり、無関係のプレイヤーまで迷惑を被ってしまうからだ。
「流通したアイテムを回収するのは運営でも不可能……。そもそも複数アカウントを持っているプレイヤーの特定は出来ても、そいつがアイテムを売ったプレイヤーの情報までは分かんないだろ? アイテムが出回っちまったら大問題になるから、最初から複数アカウントを作成できないように制限掛けた方が楽なんだよ」
「不正をあらかじめ防ぐ為の措置か…………」
問題が発生してから対応するのではなく、問題が発生する前に対策をしておく。そうしておけば確実だから。それでもチートや改造を使って複数アカウントを作ったりアイテムの不正増殖をするプレイヤーがいたのなら、重い罰を与えると。
「そして、これらの対策対応については《神世界アマデウス》の利用規約にも記載してあります」
「最終的にやっぱり俺のミスに帰結するのな」
「そもそもの話、そう何度もアカウントを作り直すプレイヤーなんていねぇんだよ。お前みたいな奴が少数なんだから、運営が多数側の意見を尊重するのは当然だろ?」
「仰る通りです」
とどのつまり、だ。
俺はどう足掻いても最低一ヶ月はアバター変更できないというわけだ。いや、やり直しの手間を考えたら一ヶ月のインターバルは相当に痛い。事実上、ほぼ永遠にこのアバターと付き合っていく事になりそうだ。
俺は天を仰ぎ見て、溢れ出しそうになる哀しみの涙を堪えながら呟いた。
「どうしてこうなった」
「お前の確認不足でそうなっただけだ」
竹蔵の容赦の無い一言で、ついに涙が溢れ出してしまった。
俺の初のVRゲームプレイは、盛大に失敗してから始まったのだった。
次回はゲームシステムの説明が主になると思います。
しかし、中々話が進まないな…………。プロローグの場面までどれぐらいの時間が掛かるのか…………。