◇ 3 ◇ 01 ごめんなさいをたまには使おう
会社に着いたのは、12時を少し回った頃だった。
オフィスに人は、疎ら。早々に、お昼休みに出たらしい。うちの課には誰もいなかった。
今日は、デスクの上にはメモが無い。穏やかな朝だったようだ。
コーヒーを紙袋から取り出すと、喫煙室に向かった。
「伊藤さんにしては、珍しいですね」
喫煙室から出てきた、同じフロアの社員にすれ違いに言われた。
「何がですか?」
「フレックス、ちゃんと使ってるじゃないですか」
「たまには使わないと」
よく見ている。
もしかすると、あたしは目立つのだろうか。さすがに、何故わかったのかとは聞けない。今日は静かで穏やかな朝だったから等と言われてしまっては、あたしは、うるさくて邪魔なヤツだと決定されてしまう。
少しの立ち話を終えて、喫煙室の指定席に座った。
タバコに火をつけ、昨日の事を思い出してると、恭平にお礼を言っておかないとという気分になって来た。
昨日帰ったのは、何時くらいなんだろう。
全く、時間を確認していなかった。お店を出たのも、恭平に何を喋ったのかも覚えている。
それに、約束通りちゃんと送ってくれた。借り一つだな。
それにしても、何故、恭平に和也の事を言ってしまったんだろう。余計なこと言った。今更後悔したところで仕方がない。
まさかとは思うけれど、和也に連絡してないだろうか。余計なことを言っていないとイイのだけれど。それを願うばかり。
何でまた、和也の恭平は仲がいいんだろう。連絡先もちゃっかり交換しているし。共通の趣味が見つかったところが、始末が悪い。そう言えば、アレは葉折さんも好きだったような気がする。
あたしには、良くわからない。プラモデルの何処が面白いのだろう。けれど、需要があるから供給がある訳で、彼等みたいなのが結構いると言うこと。
ぼーっと、喫煙室のガラス壁の向こう側、エレベーターホールを見ていると、恭平が階段の降り口から出てくるのがが見えた。
ちゃんと来てるかどうか確かめに来たんだろう。
「よ、ちゃんと起きたみたいだな」
「ありがと。なんか、変な感じ。こんな時間に出社するの」
「二日酔いは?」
「平気。あたし、アルコールの代謝いいから」
「お前強すぎ。どんだけ飲ませたら潰れるんだよ。麻美の限界、見たかったのにさ。結局、体だけ酔ってただけだったよな。面白い事になるかと期待してたのに」
「面白くなるのは、恭平じゃん」
喫煙室の中には、あたし達以外の社員だっている。そんなプライベートな情報を他の人に与えなくたっていいのに。
けれど、なんでだろう。あたしの感情とは逆にお酒は全然、顔には出てこない。顔色一つ変わらない。いくら飲んでも、酔うって気分をあまり味わえない。体はふらついたりするのに、頭は妙に冴えてしまう。それでも、酔って気分良くなっている友達と一緒にいると楽しくなる。それを酔ってるというのだろうか。
けれど、大量に飲んでしまうと、翌朝体がだるくなってしまう。その割には今日は、平気だった。
「じゃあ、今日も付き合えよ」
「またなの? あ、ご飯無いからでしょう」
「ま、そう言う事」
美貴ちゃんが実家に帰っていることで、ご飯に苦労しているようだ。自分で作れよと言いたいところだけど、昨日はちゃんと面倒見てくれた。付き合ってあげようかな。
「今日はちゃんとしたご飯食べようよ」
恭平は約束を取り付けると、さっさと帰って行った。忙しいみたいだ。
ご飯だけでは無いと思う。
美貴ちゃんがいないから寂しいんだな、たぶん。ちょっと帰って来いとか言えばいいのに。やせ我慢してるんだろうと予想はできる。
今夜も出掛ける事になった。早く仕事を片付けないと。
タバコの火を消して、喫煙室を出た。
デスクに戻ると、春香ちゃんがお昼から帰って来ていた。
「先輩、ありがとうございます。すっごく、うれしいです」
昨日置いて帰ったプレゼントを見つけてくれたようだ。
デスクの上に置いて帰ると、誰かに取られても困る。かと言って、勝手に引き出しを開ける訳にもいかない。
座る前にはイスを引く。それにわざわざ人のデスクに座る人なんていないだろうから、見つけるのは春香ちゃん一人だろうと踏んで置いて帰った。
「喜んでくれて良かった」
「でも、いいんですか? 結構値が張ってたし」
春香ちゃんは、申し訳なさそうに引き出しから、ラッピングを外されたプレゼントを取り出し、また、お礼を言った。
「そんなの、気にしない! あたし、プレゼント魔だからさ。好きなんだよね、喜んでくれるの見るの」
なんだか、孫に何でも買い与えるおばあちゃんみたいだ。あたしは、そう言うおばあちゃんになるんだろうか。その前にあたしが子供を産まないとどうにもならない。
「あさちゃん来たな。珍しいこともなるもんだ。今日辺り雹でも降ってくるんじゃないか?」
また、訳のわからない言うな、加倉さんは。
後ろから声が掛かると、確認せずとも、加倉さんだとわかる。あたしに、こんなことを言うのは、加倉さんか恭平ぐらいだ。
「加倉さん、あたしにどうして欲しいですか? 昨日の、返してもらってもいいですよ。気に入らないんだったら」
「コワぁ! 来て早々、キレんなよぉ」
「お二人共、もうそろそろ、飽きてください」
毎日のように繰り返される光景に、春香ちゃんは呆れるしか無いようだ。最初の頃は、オドオドしていた春香ちゃんたけど、慣れってコワイ。
加倉さんはどうでもいい、放っておこう。
これからの予定を本城君と打ち合わせるという大切な仕事がある。
昨日、予定を組んでいたとおり予定を動かすために、いくつかの電話と書類を提出しないといけない。
本城君を捕まえる前に、先に済ませるて置いた方がいいと思い、仕事に取りかかた。
一通り終わらせ、春香ちゃんに処理してもらう伝票を渡すために席を立つと、まだ1時にはなっていなかった。
フロアを見渡してみても本城君の気配はサッパリ無い。まだ、お昼から戻って来てないのだろうか。
「春香ちゃん、コレお願いね。ところで、本城君知らない?」
書類を手渡しながら聞いた。春香ちゃんが、知っているかどうかは、わからない。けれど、加倉さんか誰かに何かを頼まれて出掛けているのかも知れない。
「弟さんだか、お兄さんだかの様子見てくるから遅くなるって言ってましたよ」
「昨日はお菓子並べて喜んでるし、今日はブラコン発覚? 兄弟いたんだね。一人っ子ポイのに」
春香ちゃんは本城君を思い浮かべているのか、少し考え込んでから結論をだした。
「そうですね。本城さんって、一人っ子ポイ」
春香ちゃんもそう思うなら、そうであるはず。けれど、実際兄弟がいるのだろうから、ハズレている。
「邪魔してやろうかな。呼び出しちゃえ!」
「先輩も、性格わるぅ。でも、本城さんの事だから、呼び出さないと帰ってこないかもしれませんね」
「でしょ?」
早速、受話器に手をかけて本城君のプライベート携帯を呼び出した。会社携帯はデスクの上に置いて出掛けている。いったいどういう神経をしているのだろうか。仕事中だというのに。
呼び出し音は鳴り続け、なかなか出ない。無視するつもりなのだろうか。
「はい、本城です」
「遅いぃ。早く出てよ」
「あ…。伊藤…さんっスか? 今日、休みじゃなかったんでスっか?」
「誰がそんな事言ったのよ」
「笠原さんが…」
あぁ、恭平か。イタズラしてっ行ったな。
本城君は恭平のおもちゃになりつつある。本城君が恭平の下に付いていた時も遊ばれていたけれど、最近は、より酷くなっているような気がする。
それも、仕方ない。本城君の反応が面白いのだから。
「恭平の言う事なんか、真に受けないの! 用が済んだら、帰って来てね。やってもらいたい事があるから」
「はい、すぐ帰ります」
「急がなくてもいいよ。帰って来そうにないって、春香ちゃんから聞いたからさ」
「先輩! あたし、そんな事言ってませんよ!」
春香ちゃんの抗議を受けてしまった。
これくらい、昨日のあの子達に言えたらと思う。普通ならば、きっと言えるのだろう、あんな状況でさえなければ。
受話器を置くと、本城君が帰って来るまで何をしようかと考えた。
今抱えている仕事は、企画段階と打ち合わせはほとんど終わった。後は、当日までのディレクションと細かい詰めだけ。これは、全部本城君に任せるとして、本格的にウエディングプランの方をなんとかしないと。
それにしても、連絡無い。
もしかして、部長達だけで話が進んでいるだけで、本人には伝わっていないとかいう落ちでは。
イヤな予感して来た。その可能性は、十分有り得る。
昨日、都合のいい時にとあたしが戸田山さんに伝えた。もしかすると、しっかりと時間をとるために調整してるのかも知れない。
「先輩、昨日京香ちゃんと話したんですよ」
考えていた所に春香ちゃんが話を振ってくれた。でも、京香さんが知らなかったとか言われたら、どうしたらいいのだろう。解任されると言うことになるのか。
「楽しみだって、言ってましたよ。先輩の事とか、話したんです。それでですね、昨日は荒木さんといたみたいで、色々と二人で話してたようですよ」
「まだ、こっちには連絡が無いから、部長が早とちりでもしてるんじゃないかって思ってた所」
京香さんのお相手は、荒木さんっていうんだ。あたしかなり情報不足。
春香ちゃんからの情報だと、あまり話が進んでいないらしい。日取りだけは決めたということだけれど、会場も押さえていなければ中身も決まっていない。痺れを切らした戸田山さんが、部長に相談したという訳だ。
「それって、あたしにどうしろて言うの? 日取りを決めたって…。間に合う時期なのか、心配になってきた」
「けど、早めに連絡しようと思ってるって言ってましたよ。京香ちゃんって、すごくおっとりさんなんですよ」
「このまま先延ばしになっちゃうと、あたしの首が絞まってくるよ。あ〜、もう、この際、どうにでもなれだ。ヤッてやろうじゃん」
春香ちゃんには、そう言ってみたものの。困った、これは手強い。
春香ちゃんの話を聞く限りでは、この二人は結婚できるんだろうかという疑問さえ出てくる。
二人は、優柔不断この上ないようだ。
どちらかが、決定権を持っていると話は早そうなのだけれど。コレは、大仕事になりそうだ。頭が痛くなって来た。
本当に二人に式を挙げさせる事ができるんだろうか。
頭の中は焦りと言うより、あたしの腕がある意味試されるているのではと言う気がして、佐崎部長を恨めしく思う。
優柔不断な二人を結論に導く方法は無いものかと、策を練ってみても何も浮かばない。
どれくらい、そうしていたのか、頭を抱えて悩んでいると、遠くから近づいてくる音が近くなる。
「伊藤さん、帰りましたぁ」
やっぱり、本城君だ。
怯えながら、あたしを覗き込んでいる。あたしの尋常じゃない困り具合に、どうしたらいいのかわからないのだろう。あたしだって、どうしたらいいのかわからない。 ここまで、仕事でこんなに悩んだ事は無い。
「お帰り。早かったね」
仕方なく、顔を上げて本城君に引きつった笑顔を見せた。本当は、ニッコリしたかったんだけれど、自分でも引きつってたのがわかった。
「ど、どうしたんっスかぁ?」
「本城君、ホント頼むね。あたし、もうダメかも」
これは、本心。
部長が直接持って来たこの仕事、簡単には済みそうには無い。難題だらけになるはずだ。
「はぁ、マジ大丈夫っスか? 休んだ方が良かったんじゃないっスか?」
「バカぁ〜、休めるか。体は、平気なの! とりあえず、今持ってる仕事の資料全部持ってミーティングルーム行くよ」
本城君は、慌てて支度を始めた。
どうにかこの沈んだ気分を立て直して、本城君に引き継ぎをしないといけない。とりあえず、引き継ぎが全部済んでからジックリ悩む事にしよう。
たっぷり、4時間かけて本城君にすべてを引き継いだ。
本城君にとっては、初めてのディレクションになるわけだから、細かい指示も出しておいた。あとは、コレをどう進めて行くかは本城君次第。
その間、何回か春香ちゃんがコーヒーを入れて来てくれた。おかげで、休憩も挟む事ができて本城君がパンクする事は無かった。
それでも、コレだけの量を引き継いだので、やる事は沢山ある。
クリアできるだろうかと、心配も残る。今回は、手伝う事にしよう。
「伊藤さん、コレってマジでスよね」
デスクに戻って、休憩モードに入ったあたしに本城君は独り言をつぶやくように言った。
「はい、そうですよ」
そろそろ、責任ってもんを感じてもらわないと。
失敗しても大丈夫、あたしがなんとかする。とは、口が裂けても今は言えない。
実際はどんな失敗をやらかしてくれても、フォローはするつもり。
「夢じゃないっスよね」
「はい、夢でもございません」
「伊藤さ〜ん。僕…」
「はいはい。マジだし、夢でもない。という事は?」
「……」
「本城君、踏ん張ってよ。あたしは、他にやる事あるんだから。こっちはあたし一人でなんとかするからさ、本気出してよね」
「はい」
本城君は諦めたようでお仕事モードに切り替わった。大丈夫、この1年完璧にあたしのサポートをして来たんだから、絶対に大丈夫。
ココらで自信もつけて欲しい。
「わかんない事とか、あったらすぐに聞くこと。しつこくてもいいから何度でもわかるまで聞いて。それから、全部自分で抱えないこと。今回のはどれも、当日まで十分時間があるから、時間配分考えて。あたしも手伝うからね」
「はい、わかりました」
「じゃ、そう言う事で。あたしは、タバコ吸ってくる〜」
「え?」
この4時間ずっとしゃべりっ放しだったし、疲れた。
喫煙室の前まで来た所で、ラテを買いに行こうと思い立ち、エレベーターホールに向かった。
エレベータが開くと、春香ちゃんに因縁をつけてた子達が中にいた。
二人とも、固まっている。
「昨日は、ごめんね。当たっちゃってさ。いろいろムカつく事あってさぁ。八つ当たりしちゃって」
そう、言っては見たものの、特に八つ当たりした訳ではない。
「……」
もしかして、昨日ので勝ってしまったのか?
二人は顔を合わせて、無言で見つめ合っている。どういう意味があるんだろうか。
「そんな顔しないでよ」
「……」
ダメだ。完全に萎縮してる。
「ね、コレからお茶しない? 奢っちゃうし!」
「え?!」
「うそぉ!」
重い沈黙が流れる中、エレベータのが一階に到着した。
二人を強引に引っ張って、近くの喫茶店にほぼ無理矢理、連れ出した。
席に着くと、早速もう一度謝ってみる。
「ねぇ、昨日言った事気にしないでね。本気で取ったりしないから。ごめんね」
「はぁ…」
周りから見れば、あたしがイジメてるみたいに見えるのではないだろうか。
この空気なんとかしたい。
「ホント、昨日はごめん。そろそろ、許してくれない?」
「え、あっ。はい」
埒が明かない。どうしたらいいんだろう。
「もしかして、取られたくない彼氏がいるの?」
「え? いないですけど」
「あたしも」
「じゃ、狙ってる人がいるの?」
「……」
「話は全然違うんだけどさ、名前なんて言うの?」
「えっと。斉藤です」
「私は、酒井です」
やっとまともに答えてくれた。
春香ちゃんをロッカーに押しつけていた方が、斉藤と言うらしい。後ろで、見張ってたのか見ていただけの子が酒井。
この子達が昨日の子達なのかと思ってしまう。虐めて楽しんでるタイプではないのではないだろう。
「ねえ、誰が取られたくない人なの? とらないから、教えてよ。っていうか、なんか応援できるかもよ!」
とりあえず、変な空気を取り除きたかったのと、誰かとくっつけられれば、春香ちゃんに当たる事もないだろうし。
「本気で言ってますか?」
「あたしさ、いくらイラついてるからって、昨日はやり過ぎたと思ってる。これでも、反省してるんだよね」
「じゃぁ、あの」
「はい、斉藤さんどうぞ、言っちゃってください。恥ずかしい? けど、これでうまく行ったら儲けもんじゃない?」
「あたし、宮内主任が…」
「えー? 宮内なの?」
あんな奴がいいのか。あんな、最低な奴を。まぁ、人それぞれ、好みってもんがあるしね。
「本当に、宮内がいいの?」
「あの、それって、マズいですか?」
「いや、そんな事はないけど。知ってるかもしれないけど、確執があるの知ってる?」
「そうですね、確か先週かなりあったとか」
酒井さんがそう言って詳しく聞きたそうだった。けど、言う訳ない。
「まぁ、何とかなるでしょう。宮内も単純だから。あの人落とすのは簡単な部類じゃないかな。あんな子供みたいな嫌がらせしてくるんだから。それに、彼女いないって聞いてるから、くっつけても後味悪くないし」
「ホント、ですか?」
斉藤さんは、昨日とは大違いですっごく素直に喜んでる。昨日は、ひん曲がった性格の悪いヤな奴だと思ったけど…。そんなでもないかも。
けれど、今更ながら思うのは、単純な嫌がらせに腹を立てているあたしも、単純と言う事。
相手にしなければいい事ではないか。それが出来ない所が、また単純だと証明している。
「で、酒井さんは? 会社の人? それとも違うのかな?」
「あのぉですね。加倉主任なんです」
「加倉さんか。相変わらず加倉さんモテるな。ちょうどいいんじゃないかな、彼女と別れたし。けど、手強いよ。中身はとにかく、顔だけはいいからね。しかもライバル多いし、何より、付き合っても痛い目に遭うことを覚悟しておいてね。傷つことになるかも」
「やっぱり、そうですよね。彼女いるに決まってますよね」
「だから、別れたってば。加倉さん情報であたしが持ってるのは結構、レアな情報よ。本人から直聞きいてるから、噂じゃないし」
やっとのことで、二人は普通に話してくれるようになった。
「そういえば、あなた達大丈夫? どこかに行く所じゃなかったの?」
あたしが無理矢理連れて来た。
1階に降りてくるのだから、どこかにお使いにでも行くところだったのかも知れない。
「そうでした!」
「忘れてました、コレで失礼します」
「怒られそうになったら、あたしの所為にしてていいからね」
「あの…」
「ここは、奢りだよ」
「ごちそうさまです」
二人は、イソイソとお店から出て行った。
あの子達の件は何となく原因が分かり始めた。ついでに、宮内の方も何とかなるかもしれない。
あたしは噂には疎い。さっきの二人なら、情報を持って来てくれるかもしれない。 今度は、色々と、情報をいただく事にしよう。
宮内をどうにかする日が来るのかは、疑問が残る。それでも、報復とは言わないがあのウザさがいくらかでも中和されればいい。
宮内もあたしをそう思っているのかも知れない。
仲良しになることは、考えられない。
普通に会話ぐらいできるくらいにしておかないと、佐崎部長の手前都合が悪い。