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MAYBE  作者: 汐見しほ
7/29

◇ 3 ◇ 01 ごめんなさいをたまには使おう

 会社に着いたのは、12時を少し回った頃だった。

 オフィスに人は、疎ら。早々に、お昼休みに出たらしい。うちの課には誰もいなかった。

 今日は、デスクの上にはメモが無い。穏やかな朝だったようだ。

 コーヒーを紙袋から取り出すと、喫煙室に向かった。


「伊藤さんにしては、珍しいですね」


 喫煙室から出てきた、同じフロアの社員にすれ違いに言われた。


「何がですか?」


「フレックス、ちゃんと使ってるじゃないですか」


「たまには使わないと」


 よく見ている。

 もしかすると、あたしは目立つのだろうか。さすがに、何故わかったのかとは聞けない。今日は静かで穏やかな朝だったから等と言われてしまっては、あたしは、うるさくて邪魔なヤツだと決定されてしまう。

 少しの立ち話を終えて、喫煙室の指定席に座った。

 タバコに火をつけ、昨日の事を思い出してると、恭平にお礼を言っておかないとという気分になって来た。

 昨日帰ったのは、何時くらいなんだろう。

 全く、時間を確認していなかった。お店を出たのも、恭平に何を喋ったのかも覚えている。

 それに、約束通りちゃんと送ってくれた。借り一つだな。

それにしても、何故、恭平に和也の事を言ってしまったんだろう。余計なこと言った。今更後悔したところで仕方がない。

 まさかとは思うけれど、和也に連絡してないだろうか。余計なことを言っていないとイイのだけれど。それを願うばかり。

 何でまた、和也の恭平は仲がいいんだろう。連絡先もちゃっかり交換しているし。共通の趣味が見つかったところが、始末が悪い。そう言えば、アレは葉折さんも好きだったような気がする。

 あたしには、良くわからない。プラモデルの何処が面白いのだろう。けれど、需要があるから供給がある訳で、彼等みたいなのが結構いると言うこと。

 ぼーっと、喫煙室のガラス壁の向こう側、エレベーターホールを見ていると、恭平が階段の降り口から出てくるのがが見えた。

 ちゃんと来てるかどうか確かめに来たんだろう。


「よ、ちゃんと起きたみたいだな」


「ありがと。なんか、変な感じ。こんな時間に出社するの」


「二日酔いは?」


「平気。あたし、アルコールの代謝いいから」


「お前強すぎ。どんだけ飲ませたら潰れるんだよ。麻美の限界、見たかったのにさ。結局、体だけ酔ってただけだったよな。面白い事になるかと期待してたのに」


「面白くなるのは、恭平じゃん」


 喫煙室の中には、あたし達以外の社員だっている。そんなプライベートな情報を他の人に与えなくたっていいのに。

 けれど、なんでだろう。あたしの感情とは逆にお酒は全然、顔には出てこない。顔色一つ変わらない。いくら飲んでも、酔うって気分をあまり味わえない。体はふらついたりするのに、頭は妙に冴えてしまう。それでも、酔って気分良くなっている友達と一緒にいると楽しくなる。それを酔ってるというのだろうか。

 けれど、大量に飲んでしまうと、翌朝体がだるくなってしまう。その割には今日は、平気だった。


「じゃあ、今日も付き合えよ」


「またなの? あ、ご飯無いからでしょう」


「ま、そう言う事」


 美貴ちゃんが実家に帰っていることで、ご飯に苦労しているようだ。自分で作れよと言いたいところだけど、昨日はちゃんと面倒見てくれた。付き合ってあげようかな。


「今日はちゃんとしたご飯食べようよ」


 恭平は約束を取り付けると、さっさと帰って行った。忙しいみたいだ。

 ご飯だけでは無いと思う。

 美貴ちゃんがいないから寂しいんだな、たぶん。ちょっと帰って来いとか言えばいいのに。やせ我慢してるんだろうと予想はできる。

 今夜も出掛ける事になった。早く仕事を片付けないと。

 タバコの火を消して、喫煙室を出た。

 デスクに戻ると、春香ちゃんがお昼から帰って来ていた。


「先輩、ありがとうございます。すっごく、うれしいです」


 昨日置いて帰ったプレゼントを見つけてくれたようだ。

 デスクの上に置いて帰ると、誰かに取られても困る。かと言って、勝手に引き出しを開ける訳にもいかない。

 座る前にはイスを引く。それにわざわざ人のデスクに座る人なんていないだろうから、見つけるのは春香ちゃん一人だろうと踏んで置いて帰った。


「喜んでくれて良かった」


「でも、いいんですか? 結構値が張ってたし」


 春香ちゃんは、申し訳なさそうに引き出しから、ラッピングを外されたプレゼントを取り出し、また、お礼を言った。


「そんなの、気にしない! あたし、プレゼント魔だからさ。好きなんだよね、喜んでくれるの見るの」


 なんだか、孫に何でも買い与えるおばあちゃんみたいだ。あたしは、そう言うおばあちゃんになるんだろうか。その前にあたしが子供を産まないとどうにもならない。


「あさちゃん来たな。珍しいこともなるもんだ。今日辺り雹でも降ってくるんじゃないか?」


 また、訳のわからない言うな、加倉さんは。

 後ろから声が掛かると、確認せずとも、加倉さんだとわかる。あたしに、こんなことを言うのは、加倉さんか恭平ぐらいだ。


「加倉さん、あたしにどうして欲しいですか? 昨日の、返してもらってもいいですよ。気に入らないんだったら」


「コワぁ! 来て早々、キレんなよぉ」


「お二人共、もうそろそろ、飽きてください」


 毎日のように繰り返される光景に、春香ちゃんは呆れるしか無いようだ。最初の頃は、オドオドしていた春香ちゃんたけど、慣れってコワイ。

 加倉さんはどうでもいい、放っておこう。

 これからの予定を本城君と打ち合わせるという大切な仕事がある。

 昨日、予定を組んでいたとおり予定を動かすために、いくつかの電話と書類を提出しないといけない。

 本城君を捕まえる前に、先に済ませるて置いた方がいいと思い、仕事に取りかかた。






 一通り終わらせ、春香ちゃんに処理してもらう伝票を渡すために席を立つと、まだ1時にはなっていなかった。

 フロアを見渡してみても本城君の気配はサッパリ無い。まだ、お昼から戻って来てないのだろうか。


「春香ちゃん、コレお願いね。ところで、本城君知らない?」


 書類を手渡しながら聞いた。春香ちゃんが、知っているかどうかは、わからない。けれど、加倉さんか誰かに何かを頼まれて出掛けているのかも知れない。


「弟さんだか、お兄さんだかの様子見てくるから遅くなるって言ってましたよ」


「昨日はお菓子並べて喜んでるし、今日はブラコン発覚? 兄弟いたんだね。一人っ子ポイのに」


 春香ちゃんは本城君を思い浮かべているのか、少し考え込んでから結論をだした。


「そうですね。本城さんって、一人っ子ポイ」


 春香ちゃんもそう思うなら、そうであるはず。けれど、実際兄弟がいるのだろうから、ハズレている。


「邪魔してやろうかな。呼び出しちゃえ!」


「先輩も、性格わるぅ。でも、本城さんの事だから、呼び出さないと帰ってこないかもしれませんね」


「でしょ?」


 早速、受話器に手をかけて本城君のプライベート携帯を呼び出した。会社携帯はデスクの上に置いて出掛けている。いったいどういう神経をしているのだろうか。仕事中だというのに。

 呼び出し音は鳴り続け、なかなか出ない。無視するつもりなのだろうか。


「はい、本城です」


「遅いぃ。早く出てよ」


「あ…。伊藤…さんっスか? 今日、休みじゃなかったんでスっか?」


「誰がそんな事言ったのよ」


「笠原さんが…」


 あぁ、恭平か。イタズラしてっ行ったな。

 本城君は恭平のおもちゃになりつつある。本城君が恭平の下に付いていた時も遊ばれていたけれど、最近は、より酷くなっているような気がする。

 それも、仕方ない。本城君の反応が面白いのだから。


「恭平の言う事なんか、真に受けないの! 用が済んだら、帰って来てね。やってもらいたい事があるから」


「はい、すぐ帰ります」


「急がなくてもいいよ。帰って来そうにないって、春香ちゃんから聞いたからさ」


「先輩! あたし、そんな事言ってませんよ!」


 春香ちゃんの抗議を受けてしまった。

 これくらい、昨日のあの子達に言えたらと思う。普通ならば、きっと言えるのだろう、あんな状況でさえなければ。

 受話器を置くと、本城君が帰って来るまで何をしようかと考えた。

 今抱えている仕事は、企画段階と打ち合わせはほとんど終わった。後は、当日までのディレクションと細かい詰めだけ。これは、全部本城君に任せるとして、本格的にウエディングプランの方をなんとかしないと。

 それにしても、連絡無い。

 もしかして、部長達だけで話が進んでいるだけで、本人には伝わっていないとかいう落ちでは。

 イヤな予感して来た。その可能性は、十分有り得る。

 昨日、都合のいい時にとあたしが戸田山さんに伝えた。もしかすると、しっかりと時間をとるために調整してるのかも知れない。


「先輩、昨日京香ちゃんと話したんですよ」


 考えていた所に春香ちゃんが話を振ってくれた。でも、京香さんが知らなかったとか言われたら、どうしたらいいのだろう。解任されると言うことになるのか。


「楽しみだって、言ってましたよ。先輩の事とか、話したんです。それでですね、昨日は荒木さんといたみたいで、色々と二人で話してたようですよ」


「まだ、こっちには連絡が無いから、部長が早とちりでもしてるんじゃないかって思ってた所」


 京香さんのお相手は、荒木さんっていうんだ。あたしかなり情報不足。

 春香ちゃんからの情報だと、あまり話が進んでいないらしい。日取りだけは決めたということだけれど、会場も押さえていなければ中身も決まっていない。痺れを切らした戸田山さんが、部長に相談したという訳だ。


「それって、あたしにどうしろて言うの? 日取りを決めたって…。間に合う時期なのか、心配になってきた」


「けど、早めに連絡しようと思ってるって言ってましたよ。京香ちゃんって、すごくおっとりさんなんですよ」


「このまま先延ばしになっちゃうと、あたしの首が絞まってくるよ。あ〜、もう、この際、どうにでもなれだ。ヤッてやろうじゃん」


 春香ちゃんには、そう言ってみたものの。困った、これは手強い。

 春香ちゃんの話を聞く限りでは、この二人は結婚できるんだろうかという疑問さえ出てくる。

 二人は、優柔不断この上ないようだ。

 どちらかが、決定権を持っていると話は早そうなのだけれど。コレは、大仕事になりそうだ。頭が痛くなって来た。

 本当に二人に式を挙げさせる事ができるんだろうか。

 頭の中は焦りと言うより、あたしの腕がある意味試されるているのではと言う気がして、佐崎部長を恨めしく思う。

 優柔不断な二人を結論に導く方法は無いものかと、策を練ってみても何も浮かばない。

 どれくらい、そうしていたのか、頭を抱えて悩んでいると、遠くから近づいてくる音が近くなる。


「伊藤さん、帰りましたぁ」


 やっぱり、本城君だ。

 怯えながら、あたしを覗き込んでいる。あたしの尋常じゃない困り具合に、どうしたらいいのかわからないのだろう。あたしだって、どうしたらいいのかわからない。 ここまで、仕事でこんなに悩んだ事は無い。


「お帰り。早かったね」


 仕方なく、顔を上げて本城君に引きつった笑顔を見せた。本当は、ニッコリしたかったんだけれど、自分でも引きつってたのがわかった。


「ど、どうしたんっスかぁ?」


「本城君、ホント頼むね。あたし、もうダメかも」


 これは、本心。

 部長が直接持って来たこの仕事、簡単には済みそうには無い。難題だらけになるはずだ。


「はぁ、マジ大丈夫っスか? 休んだ方が良かったんじゃないっスか?」


「バカぁ〜、休めるか。体は、平気なの! とりあえず、今持ってる仕事の資料全部持ってミーティングルーム行くよ」


 本城君は、慌てて支度を始めた。

 どうにかこの沈んだ気分を立て直して、本城君に引き継ぎをしないといけない。とりあえず、引き継ぎが全部済んでからジックリ悩む事にしよう。






 たっぷり、4時間かけて本城君にすべてを引き継いだ。

 本城君にとっては、初めてのディレクションになるわけだから、細かい指示も出しておいた。あとは、コレをどう進めて行くかは本城君次第。

 その間、何回か春香ちゃんがコーヒーを入れて来てくれた。おかげで、休憩も挟む事ができて本城君がパンクする事は無かった。

 それでも、コレだけの量を引き継いだので、やる事は沢山ある。

 クリアできるだろうかと、心配も残る。今回は、手伝う事にしよう。


「伊藤さん、コレってマジでスよね」


 デスクに戻って、休憩モードに入ったあたしに本城君は独り言をつぶやくように言った。


「はい、そうですよ」


 そろそろ、責任ってもんを感じてもらわないと。

 失敗しても大丈夫、あたしがなんとかする。とは、口が裂けても今は言えない。

 実際はどんな失敗をやらかしてくれても、フォローはするつもり。


「夢じゃないっスよね」


「はい、夢でもございません」


「伊藤さ〜ん。僕…」


「はいはい。マジだし、夢でもない。という事は?」


「……」


「本城君、踏ん張ってよ。あたしは、他にやる事あるんだから。こっちはあたし一人でなんとかするからさ、本気出してよね」


「はい」


 本城君は諦めたようでお仕事モードに切り替わった。大丈夫、この1年完璧にあたしのサポートをして来たんだから、絶対に大丈夫。

 ココらで自信もつけて欲しい。


「わかんない事とか、あったらすぐに聞くこと。しつこくてもいいから何度でもわかるまで聞いて。それから、全部自分で抱えないこと。今回のはどれも、当日まで十分時間があるから、時間配分考えて。あたしも手伝うからね」


「はい、わかりました」


「じゃ、そう言う事で。あたしは、タバコ吸ってくる〜」


「え?」


 この4時間ずっとしゃべりっ放しだったし、疲れた。

 喫煙室の前まで来た所で、ラテを買いに行こうと思い立ち、エレベーターホールに向かった。

 エレベータが開くと、春香ちゃんに因縁をつけてた子達が中にいた。

 二人とも、固まっている。


「昨日は、ごめんね。当たっちゃってさ。いろいろムカつく事あってさぁ。八つ当たりしちゃって」


 そう、言っては見たものの、特に八つ当たりした訳ではない。


「……」


 もしかして、昨日ので勝ってしまったのか?

 二人は顔を合わせて、無言で見つめ合っている。どういう意味があるんだろうか。


「そんな顔しないでよ」


「……」


 ダメだ。完全に萎縮してる。


「ね、コレからお茶しない? 奢っちゃうし!」


「え?!」


「うそぉ!」


 重い沈黙が流れる中、エレベータのが一階に到着した。

 二人を強引に引っ張って、近くの喫茶店にほぼ無理矢理、連れ出した。

 席に着くと、早速もう一度謝ってみる。


「ねぇ、昨日言った事気にしないでね。本気で取ったりしないから。ごめんね」


「はぁ…」


 周りから見れば、あたしがイジメてるみたいに見えるのではないだろうか。

 この空気なんとかしたい。


「ホント、昨日はごめん。そろそろ、許してくれない?」


「え、あっ。はい」


 埒が明かない。どうしたらいいんだろう。


「もしかして、取られたくない彼氏がいるの?」


「え? いないですけど」


「あたしも」


「じゃ、狙ってる人がいるの?」


「……」


「話は全然違うんだけどさ、名前なんて言うの?」


「えっと。斉藤です」


「私は、酒井です」


 やっとまともに答えてくれた。

 春香ちゃんをロッカーに押しつけていた方が、斉藤と言うらしい。後ろで、見張ってたのか見ていただけの子が酒井。

 この子達が昨日の子達なのかと思ってしまう。虐めて楽しんでるタイプではないのではないだろう。


「ねえ、誰が取られたくない人なの? とらないから、教えてよ。っていうか、なんか応援できるかもよ!」


 とりあえず、変な空気を取り除きたかったのと、誰かとくっつけられれば、春香ちゃんに当たる事もないだろうし。


「本気で言ってますか?」


「あたしさ、いくらイラついてるからって、昨日はやり過ぎたと思ってる。これでも、反省してるんだよね」


「じゃぁ、あの」


「はい、斉藤さんどうぞ、言っちゃってください。恥ずかしい? けど、これでうまく行ったら儲けもんじゃない?」


「あたし、宮内主任が…」


「えー? 宮内なの?」


 あんな奴がいいのか。あんな、最低な奴を。まぁ、人それぞれ、好みってもんがあるしね。


「本当に、宮内がいいの?」


「あの、それって、マズいですか?」


「いや、そんな事はないけど。知ってるかもしれないけど、確執があるの知ってる?」


「そうですね、確か先週かなりあったとか」


 酒井さんがそう言って詳しく聞きたそうだった。けど、言う訳ない。


「まぁ、何とかなるでしょう。宮内も単純だから。あの人落とすのは簡単な部類じゃないかな。あんな子供みたいな嫌がらせしてくるんだから。それに、彼女いないって聞いてるから、くっつけても後味悪くないし」


「ホント、ですか?」


 斉藤さんは、昨日とは大違いですっごく素直に喜んでる。昨日は、ひん曲がった性格の悪いヤな奴だと思ったけど…。そんなでもないかも。

 けれど、今更ながら思うのは、単純な嫌がらせに腹を立てているあたしも、単純と言う事。

 相手にしなければいい事ではないか。それが出来ない所が、また単純だと証明している。


「で、酒井さんは? 会社の人? それとも違うのかな?」


「あのぉですね。加倉主任なんです」


「加倉さんか。相変わらず加倉さんモテるな。ちょうどいいんじゃないかな、彼女と別れたし。けど、手強いよ。中身はとにかく、顔だけはいいからね。しかもライバル多いし、何より、付き合っても痛い目に遭うことを覚悟しておいてね。傷つことになるかも」


「やっぱり、そうですよね。彼女いるに決まってますよね」


「だから、別れたってば。加倉さん情報であたしが持ってるのは結構、レアな情報よ。本人から直聞きいてるから、噂じゃないし」


 やっとのことで、二人は普通に話してくれるようになった。


「そういえば、あなた達大丈夫? どこかに行く所じゃなかったの?」


 あたしが無理矢理連れて来た。

 1階に降りてくるのだから、どこかにお使いにでも行くところだったのかも知れない。


「そうでした!」


「忘れてました、コレで失礼します」


「怒られそうになったら、あたしの所為にしてていいからね」


「あの…」


「ここは、奢りだよ」


「ごちそうさまです」


 二人は、イソイソとお店から出て行った。

 あの子達の件は何となく原因が分かり始めた。ついでに、宮内の方も何とかなるかもしれない。

 あたしは噂には疎い。さっきの二人なら、情報を持って来てくれるかもしれない。 今度は、色々と、情報をいただく事にしよう。

 宮内をどうにかする日が来るのかは、疑問が残る。それでも、報復とは言わないがあのウザさがいくらかでも中和されればいい。

 宮内もあたしをそう思っているのかも知れない。

 仲良しになることは、考えられない。

 普通に会話ぐらいできるくらいにしておかないと、佐崎部長の手前都合が悪い。

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