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こどもでもゆうしゃです。〜保護者は胃が痛い〜  作者: ちゃーき


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19/29

亜人の指導者登場

川辺での出来事から二日後、一行は深い森を進んでいた。

この森は、帝国と亜人連合国の境界に近い。緊張感が、空気を支配していた。

「ダリウスさん、この辺りは......」

「ああ。亜人の領域が近い。警戒を怠るな」

ダリウスは、剣の柄に手をかけていた。

その時——レイアが小さく呟いた。

「......だれか、いる」

「え?」

ティオは、周囲を見回した。

次の瞬間——森の中から、複数の人影が現れた。

獣人だ。狼の耳を持つ者、虎の尻尾を持つ者——全員が、武器を構えている。

「帝国の者か......」

先頭にいる獣人——狼の耳を持つ男が、低い声で言った。

「待ってください! 我々は——」

ティオが説明しようとした時、馬車の扉が開いた。

「わあ! けもみみだ!」

ハルトが、飛び出してきた。

「ハル!」

「ねえねえ! おみみ、ふわふわ?」

ハルトは、無邪気に近づこうとした。

だが——獣人たちは、警戒を緩めなかった。

「......下がれ、子供」

狼耳の男が、剣を構えた。

「危ないから、近づくな」

「......え? なんで?」

ハルトは、首を傾げた。




その時、森の奥から声が聞こえた。

「待て」

一人の獣人が、姿を現した。

獅子の鬣を持つ、堂々とした体格の男だ。その目には、強い意志が宿っている。

「リオネル様......!」

狼耳の男が、驚いた様子で頭を下げた。

「......リオネル?」

ダリウスが、驚愕した。

「まさか——亜人連合国の盟主、リオネル・レオンハート......!」

「ああ」

リオネルは、ティオたちを見た。

「帝国の騎士——ダリウス・グレイウルフ。久しぶりだな」

「......お久しぶりです」

ダリウスは、剣を下ろさずに答えた。

「まさか、こんなところで会うとは」

「私もだ」

リオネルは、三人の幼児を見た。

「......この子供たちが、噂の勇者か」

「はい」

「......幼いな。本当に、勇者なのか?」

「疑うなら——」

ダリウスが言いかけた時、ハルトがリオネルの前に立った。

「ねえねえ! おじさん、たてがみかっこいい!」

「......何?」

リオネルは、困惑した。

「ライオンみたい! すごいね!」

「......」

リオネルは、ハルトを見下ろした。

「......子供、怖くないのか?」

「え? なんで?」

「私は——お前たちの敵だぞ」

「てき?」

ハルトは、首を傾げた。

「てきって、なに?」

「......」

リオネルは、言葉に詰まった。




ユイとレイアも、馬車から降りてきた。

「ハル、あぶないよ」

「だいじょうぶだよ! このおじさん、やさしそうだもん」

「......やさしそう?」

リオネルは、眉をひそめた。

「私は——帝国と戦っている。お前たちの敵だ」

「でも——」

レイアが、リオネルを見上げた。

「......おじさん、かなしそう」

「......何?」

「せんそう、いやなんでしょ?」

レイアの言葉に、リオネルは動揺した。

「......なぜ、それを」

「だって、かおにかいてあるもん」

レイアは、首を傾げた。

「ほんとうは、たたかいたくないんだよね」

「......」

リオネルは、黙り込んだ。

周囲の獣人たちも、困惑している。

「リオネル様......」

「......」

リオネルは、深く息を吐いた。

「この子供たちは——本物の勇者のようだな」

「はい」

ダリウスが答えた。

「だが——私には、疑問がある」

「疑問......?」

「この子供たちは——帝国の駒なのか? それとも——」

リオネルは、三人を見た。

「自分の意思で、動いているのか?」




「駒......?」

ハルトが、首を傾げた。

「こま、って、なに?」

「......他人に操られている、ということだ」

リオネルは、ティオとダリウスを見た。

「帝国は——この子供たちを、戦争の道具として使っているのではないか?」

「それは——」

ティオが反論しようとした時、ハルトが口を開いた。

「ちがうよ」

「......何?」

「ハルたちは——だれにも、あやつられてないよ」

ハルトは、真剣な顔で言った。

「ハルたちは——じぶんで、かんがえて、うごいてる」

「......そうか」

リオネルは、ハルトを見つめた。

「では——なぜ、帝国のために戦う?」

「......?」

ハルトは、困った顔をした。

「ていこくのため......じゃないよ」

「では、何のために?」

「......みんなのため」

ハルトは、リオネルを見上げた。

「こまってるひとを、たすけたいから」

「......」

「ていこくとか、あじんとか——よくわかんないけど」

ハルトは、笑顔で続けた。

「みんなが、なかよくできたら、いいなって、おもう」

リオネルは——その言葉に、言葉を失った。




ユイが、リオネルの前に立った。

「おじさん、せんそう、やめられないの?」

「......」

リオネルは、ユイを見た。

「やめたくても——やめられない」

「なんで?」

「......複雑な事情がある」

「ふくざつ......?」

ユイは、首を傾げた。

「でも——たたかうの、いやなんでしょ?」

「......ああ」

リオネルは、正直に答えた。

「私も——戦いは、好きではない」

「じゃあ、やめよ?」

「......それができれば、とっくにやめている」

リオネルは、空を見上げた。

「だが——我々亜人は、帝国に虐げられてきた」

「しいたげ......?」

「ああ。差別され、迫害され——生きる場所を奪われてきた」

リオネルの声には、怒りと悲しみが混じっていた。

「だから——戦うしかないのだ」

「......」

ユイは、リオネルの手を握った。

「おじさん、かわいそう」

「......何?」

「だって——ほんとうは、たたかいたくないのに、たたかわなきゃいけないんでしょ?」

ユイの目から、涙が零れた。

「それって——かなしいよ」

「......」

リオネルは、ユイの涙を見て——何かを感じた。




レイアが、小さく呟いた。

「......おじさんたちを、いじめてるひとがいる」

「......何?」

リオネルは、レイアを見た。

「まぞくが、おじさんたちを、せんそうさせてる」

「......!」

リオネルの顔色が変わった。

「貴様——何を知っている?」

「......わかんない。でも、そんなかんじがする」

レイアは、首を傾げた。

「わるいひとが、おじさんたちを、りようしてる」

「......」

リオネルは、部下を見た。

「......撤退だ」

「リオネル様?」

「この子供たちは——敵ではない」

リオネルは、三人を見た。

「そして——私たちが聞くべき言葉を、言ってくれた」

リオネルは、ティオとダリウスを見た。

「ダリウス。そして——保護者の青年」

「はい」

「この子供たちを——大切にしろ」

「......もちろんです」

ティオは、頷いた。

「この子たちは——もしかしたら、本当にこの戦争を終わらせられるかもしれん」

リオネルは、森の奥へ歩き出した。

「いつか——また会おう」

「はい」

獣人たちは、リオネルの後を追って消えていった。




獣人たちが去った後、ティオは三人を見た。

「......お前たち、すごいな」

「え? なにが?」

ハルトは、きょとんとしている。

「亜人連合国の盟主を——説得したんだ」

「せっとく......?」

「ああ。リオネルは——この戦争を、考え直すかもしれない」

ダリウスも、頷いた。

「あの子たちの言葉は——リオネルの心に、届いた」

「......そうなんだ」

ハルトは、よく分かっていない様子だった。

「でも——ハル、ただおもったことを、いっただけだよ?」

「それでいいんだ」

ティオは、ハルトの頭を撫でた。

「お前たちの純粋な言葉が——大人の心を、動かすんだ」

「......ふーん」

ハルトは、まだよく分かっていないようだった。

レイアが、小さく呟いた。

「......あのおじさん、やさしいひとだった」

「ああ」

ティオは、頷いた。

「リオネルは——本当は、優しい人なんだろうな」

「......せんそうが、おわったら、またあいたいな」

「ああ。きっと、また会えるよ」

ティオは、そう答えた。




その夜、焚き火の周りで。

ティオとダリウスは、話していた。

「今日は——驚きましたね」

「ああ。まさか、リオネルに会うとは」

「それに——レイアが、魔族のことを......」

「ああ。あの子の能力は——我々が思っている以上に、鋭い」

ダリウスは、空を見上げた。

「リオネルも——気づいたはずだ。魔族の暗躍に」

「......これで、戦争は......」

「分からん。だが——少しずつ、変わっていくだろう」

ダリウスは、三人を見た。

「この子たちが——世界を、変えていく」

「......そうですね」

ティオも、三人を見た。

三人は、シロと一緒に眠っている。

その寝顔は——とても、穏やかだった。

ティオは、小さく笑った。

この子たちは——敵も味方も関係なく、純粋に接する。

それが——時に、大人が築いた壁を壊す。

そして——世界を、変えていく。

ティオは——そう信じていた。

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