プロローグ
世界は、終わりに向かっていた。
少なくとも、多くの人々はそう信じていた。
帝国と亜人連合国。二つの大国が激突し、大陸全土を巻き込んだ戦争は、半年が経過しても終わる気配がない。戦場では日々、数え切れない命が失われている。街には食料が不足し、人々の表情から希望が消えていく。
誰もが思っていた。このままでは、世界は滅びると。
だからこそ、帝国は最後の賭けに出た。勇者召喚——異世界から伝説の勇者を呼び寄せ、その力で戦争を終わらせる。それが、帝国に残された唯一の希望だった。
儀式は決行された。
だが、何者かの妨害により、召喚は失敗——いや、歪んだ形で成功した。
現れたのは、勇者ではなく——いや、勇者には違いないのだが——幼児三人だった。
ハルト、ユイ、レイア。四歳と五歳の子供たち。
オレ、ティオ・ランベールは、この三人を森で保護した。そして気がつけば、この子たちの"保護者"という、何とも微妙な立場に押し込まれていた。
この子たちは、確かに凄まじい力を持っている。魔物を一瞬で倒し、傷を完全に治し、真実を見抜く。まさに、勇者と呼ぶに相応しい。
だが——幼児だ。
「おなかすいた」と泣き、「ママに会いたい」と寂しがり、「あれなに? これなに?」と興味津々で走り回る。寝る前には「いっしょに寝て」とせがんでくる。
世界は深刻だ。戦争は激化し、人々は絶望し、国の命運がこの子たちの肩にかかっている。
でも——
ハルトは「ライダーキック!」と叫びながら魔物を蹴散らし、ユイは「いたいのいたいのとんでけー」と泣きながら傷を治し、レイアは「......このひと、わるいひと」とぼそりと敵を看破する。
この子たちは、世界を救うために召喚されたのかもしれない。
だが、この子たちが求めているのは、世界平和でも栄光でもなく——温かいご飯と、安心して眠れる場所と、そばにいてくれる誰かだ。
オレは、ただの警備兵だった。世界を救うような器じゃない。だが——この子たちは、オレを必要としてくれている。
だから、オレはこの子たちを守る。
胃は痛いし、疲れるし、不安だらけだけど——それでも。
世界は深刻だ。
でも、この子達にとっては深刻じゃない。
だから——きっと、大丈夫だ。
そう信じて、オレたちの旅は始まった。
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