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第二章


 「アンタが姉さんを殺したんだ!」


シュツィアは体制を立て直そうと、ゆっくり起き上がった。

眼前の女が酒をかけてきたせいで、酷く目が痛い。そう、思った。

潔癖なシュツィアは服を脱ぎ捨て、女を無視して風呂へ向かう。

だがそれは、当然のようにそれは女によって遮られた。

シュツィアの態度が益々気に入らなかった女は、更にシュツィアに食って掛かった。


「なんで、どうして姉さんはお前みたいな男と結婚したんだ!」

「…離せ、目が痛い」

「離すものか!お前が私達家族をめちゃめちゃにしたんだ、どうしてくれる!」

「知ったことか、とにかく、離してくれ。警察を呼ばれたいのか」


女はその言葉に泣き崩れてしまった。

シュツィアは女を一瞥し、痛む節々を引きずりながら風呂に姿を消した。

嗚咽をあげながら女はここぞと汚い言葉でシュツィアを罵ったが、

もちろん、返事はなかった。


「ああ、姉さん、姉さん…!どうして…!」


外は嵐だった。

吹き荒れる風と雨が窓を叩き付け、

静かな室内は酒の臭いで充満している。僅かに震える家の隅で

女は耐えかね嘔吐してしまう。

いつか姉が言っていた言葉を思い返しながら、尚女の頬には涙が伝った。




 帰宅したレムは、高鳴る胸を押さえきれず、大きく深呼吸した。

震える指先はダイニングのドアノブを回す。

しかし、そんなレムの期待を裏切り、シュツィアはその場にいなかった。

期待したぶん大きな落胆がレムにのしかかったが、

気を取り直し、レムは自分の席に腰掛けた。

今は誰もいない、シュツィアの席を見つめる。

もうすぐ来てくれるかもしれない。そう言い聞かせながらシュツィアを待った。


数十分。そろそろ諦めかけたそのとき、

やたらと靴音を鳴らし、シュツィアが現れた。

レムはその姿に喜んで立ち上がったが、シュツィアは様子がどこかおかしかった。


「レム…!」


数年ぶりに名前を呼ばれ、レムはこわばった。

何やら酷く焦った様子のシュツィアはレムに近寄るなり、突然彼を叱り、

頬をぶった。


「え?ど、どうかしたの?父さん?」


訳も分からず戸惑う息子に、まだ怒り冷めやまぬように、

シュツィアは荒げた声で怒鳴る。


「お前、何処に行っていたんだ…!」

「ど、何処って、アリシアとあの場所に…」

「何だと!?」


滅多に自分のことを聞かないシュツィアがどうゆう訳か、

今までの所在を尋ねてきたことに、レムは驚きを感じていた。

ここ数日、どうにもシュツィアの様子が変だ。

レムは直感的に思った。


「いいか、お前は外出禁止だ」

「そ、そんな!アリシアと約束したんだ、それに明後日は…!」

「口答えするんじゃない、いいな!」


レムは涙が溢れてくるのを止められなかった。

ようやく父とのわだかまりが解けてきたというのに、あんまりだ。

そう、叫びたくなった。

シュツィアはそれだけ告げると踵を返し、大きくため息をついた。


「この町のためになってくれ、レム」


それはあまりに残酷な言葉だった。




 「坊ちゃん…」


ルシアンはあの後、ダイニングを飛び出したレムが気がかりで、

部屋を訪れた。


「帰って」

「ですが、お体に障ります、どうか夕食を…」

「食べたくないんだ、いいから、帰って!」

「坊ちゃん…」


レムはルシアンに当たる自分がとんでもなく惨めに思えた。

目からはとめどなく悲しみが溢れ、胸が痛んだ。


「ごめん、そっと、しておいて…。」


それだけ言うのが、精一杯だった。


こ、これはR指定するべきだったでしょうか、この作品…

ガイドラインを何度も読み返しているのですが、どうも不安です。

なるべく描写を柔らかくしていきます。

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