少し不真面目がちょうどいい
ついに会った社長は癖が強く、一筋縄で通せそうにない男だった。しかし皆はそんなことは気にせず職場見学の感想を言い合っていたのだった。そんな能天気な人達のそばで、彼はやっていけるのだろうか。
俺達はまず働くにあたっての第一段階として、運送のところで働くことになった。
「やっぱり働くのってめんどくさいな」
「仕方ないだろ、衣食住もらってるんだし」
車両には二人一組で乗るため、一旦の別れの前に雑談を交わしていた。
「まだ働いてすらありませんよね?」
ルチアーバに突っ込まれるオモトを横目に、航宙機に乗る。助手席にいるのははマゼンタだ。
「カガさん、航宙機乗ったことあるの?」
「無いけど、一昔前みたいに免許とか取れるわけじゃないし、事故しない程度にゆっくり行けばいいでしょ」
ハンドルの横にあるレバーを前に倒し、自動操縦と電磁レーダー・電磁バリアをONにして、準備に憂いがないよう指をさしてチェックする。マゼンタが窓から身を乗り出して手を振っているうちにエンジンがかかり、発進して行った。
「なんでわざわざ運ぶのに従業員を割くのかな?」
「正攻法じゃ届けらんないものでもあるんだろ」
「カガさんが言ったことが本当なら、すぐ降りて出てったほうがいいんじゃない?」
「今のご時世、絶対チップとか入れられてるだろうな」
「確かに怖いね。結局何運んでんだろ我達」
「見たら怒られるんじゃない?気にはなるけど」
当たり障りのない会話で移動中の場をつなげようとしたが、そのおかげか運んでいるものにいっそう興味がわいてきた。あまつさえ提示された目的地に着いたら見ようとも思っていた。
何時間か宇宙に浮かんでいた後、ある小惑星をくり抜いた中にある街にたどり着いた。そこはスチームパンクのイメージそのままで、古臭く汚いような最新を進んでいるような光景がずっと広がっていた。
駐車場にたどり着き、一旦地面に降りる。俺達は少し考え込むように黙り、言葉を出し始めた。
「受け取り人が来るまであと10分…どうするカガさん?」
「移動中言ってたけど、開けるか?これ」
車両の後ろに積まれた荷物を見てつばを飲む。
「じゃあ行くぞ」
「ちょっと待って!」
いきなり大声を出されてビビッたので、睨んで不満の意思を見せた。
「恐いからせーので開けよう」
「「せーのっ!」」
中には、何らかの書類と1メートルぐらいの黒い棒、いくつかの細かな機器、瓶に入った液体や物体などがあった。今の自分達には到底理解できない代物だったので、そっ閉じした。
「そうだよ、アダホないから写真撮れないじゃ~ん」
マゼンタが何か言い出して、アダホという知らない単語に戸惑った。
「アダホ知らない?アダプトフォンの略称だよ……あんた絶対にアダルトホテルと思ったでしょ」
「いやいや、そんなわけないだろ!ただ俺はオムニフォンの時しか知らなかったから」
マゼンタはじっとこちらを睨んでから、納得したように違う方に目を合わせ始めた。
そんなことをしていると3人の分厚いスーツを着た男たちが近づいてきた。
「あなた達の車を見せてもらっていいですか?」
そう聞かれたので乗ってきた奴を指さすと、3人それぞれが目を合わせ「YEKK社の人ですね」と確信した表情で言ってきた。YESと答えると、3人のうちの後ろにいた男が手を前に出してよこせのポーズをしてきた。
仕方なく車に戻り、荷物を持って手に渡そうとした。
その時、3人のうち右にいた男が割って入って受け取りを静止した。その場の全員が戸惑った様子を見せる。すると彼は険しい表情でこう言い出した。
「お前ら…中…触った?」
その言葉に俺達は戦慄した。胸の鼓動が何杯も早くなるのが分かる。失言を避けるよう、彼の顔を見つめることしかできなくなっていた。
チェルツァ・ダストグレイン
プロキシマ人 身長158cm 体重56kg ツヤツヤの肌
白いヒップホップ風の服を着ていて、ファー付きのショートパンツに白ロングブーツを履いている
黄緑色の混ざった白髪のロングヘアー
新人の中では一番背が低く、プロキシマ人特有のテカテカ肌のため、マゼンタに密かに憧れている。しかし一番元気と明るさがあるギャルのため、オーディンルチアーバ中二病コンビからはウザがられたりしている。