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危険なものにはゆっくりと

個性的な面々が揃い、謎も深くなっていくばかり。主人公は全員の顔と名前を覚えて仲良く会話することができるようになるのでしょうか

 待たされた後、また違う部屋に1人1人が入れられて、1枚の契約書を渡された。そこにはこう書かれてあった


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

入社契約書


会社Yperdiástati Epikinonía / Kosmikós Kýklos Etaireía(以下「甲」という)と、甲への入社を希望するカガ・リョースケ(以下「乙」という)は、以下の通り契約を締結する。


第1条(生活環境の提供)

甲は、乙が甲に所属し続ける限り、生活に必要と認められる衣食住を十分かつ恒常的に提供する。


第2条(所属義務)

乙は、理由の如何を問わず、甲の定める期間および条件の下で、継続して甲に所属しなければならない。


第3条(離脱の禁止)

乙は、在籍期間中、いかなる事情や方法によっても甲から離脱してはならない。

離脱、またはそれに準ずる行為が発覚した場合、甲は速やかに必要な処置を講ずる。


第4条(同意の成立)

乙が署名、記名押印、または甲の指定する方法で本契約に同意を示した時点で、乙は本契約の全条項を無条件かつ不可逆的に承諾したものとみなす。


第5条(適用法規)

本契約の解釈および履行については、各国の法律その他の規制に関わらず、甲が定める規程および準拠法のみを適用するものとする。乙は、甲の規程が乙の居住国または国籍国の法令に優先して適用されることを承諾する。


第6条(取消不可)

本契約は、いかなる理由があっても乙の意思により取り消すことはできず、また甲の承諾なく変更されることはない。


宇宙進出歴1525年8月20日

甲:会社YEKK

住所:企業秘密

代表者氏名:クレセントペルラ幹部長官  印

乙:カガ・リョースケ

住所:地球(詳細の記述無し)

氏名:カガ・リョースケ         印

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

冷静に読めば、まぁ胡散臭い書類だ。だとしても閉じられた空間にいる以上、書かないわけにもいかないだろう。声に出していろいろ聞いてみたが、返答はすべて「入社後に後ほど」だった。粘ろうとしたが、足を揺らしたり眉を細めたり手に力がこもったりと雰囲気が怪しくなってきたのでハンコを押すことにした。

 部屋を出ると、前にいたのはオモト・シューゴだった。

「お疲れさん」

グーの拳を出してきたため、乗って拳を打ち付けた。

「そっちの方ははどんな感じだった?俺の方の相手は結構愛想よくてさ、サインしたあとに泊まれる寮の映像を観してもらったんだよね」

こちらが少し気になった表情を見せると、得意げに話し始めた。

「それがすごい綺麗でさ、ホテルみたいな広さだったよ!きっと飯もうまいんだろうなぁ」

「俺ら以外で先に出てったやつは居たのか?」

ずっと話し続けそうなので、話題を変えた。彼は冷静になり、ゆっくりしゃべり始める。

「いや、たぶん俺が一番最初。2番目がアンタだ。」

「そうなのか。かなり熟考したつもりだったんだが。」

「皆が俺みたいにサインした後も何かしらしてもらってるのかもな」

当たり障りもなく、他愛もない話をしていると、また別の扉が開いた。真っ先に赤い手が見えた。

「「あっ」」

マゼンタだった。彼女はまた近づいてきて、小さな声で話してきた。

「アンタの話、ちょっとは信じるよ。あの書類はさすがに怪しすぎるからね。特に離脱禁止と取消不可の部分が反社っぽい。」

意外な言葉に驚いたが、それと同時に理解ある仲間ができて安堵した。こちらをチラチラと覗いてくるオモトに怯えながら、慎重に小さく声を出す。

「まずは、良かった。ありがとう。時間があれば何か行動を起こそうと思うから協力してくれ。」

「バレないように...バレないようにね。でも、そんな早く脱出したいわけじゃないよ?()は。」

急かさないでくれと言わんばかりの顔をしていた。それは確かにそうかもしれない。オモトが今にも首を突っ込もうとしているため、話を打ち切った。彼には、すべての準備が整った後に伝えよう。

 その後、ルチアーバ、オーディン、チェルツァの順で部屋から出てきた。そしてついに施設巡りをするため、案内人に付いていくことになった。移動の最中、会話がチラホラと起こっていた。

「ねぇねぇルチアーバくんさぁ、自己紹介の時にすっごいつっけんどんだったじゃん?あれって中二病?ねぇ中二病なの?」

チェルツァがめっちゃウザめに地雷を投擲していた。ルチアーバの瞳孔が怒りと恥ずかしさで震えている。

「そ ん な わ け 無 い じ ゃ な い で す か。あれが僕ですよ」

それにオモトも加わり、2人でニヤニヤしていた。

「おい」

オーディンがマゼンタに話しかけている。2人とも他に比べて背が高いため、圧がすごい。

「その手に持ってるやつ、何だ?」

マゼンタはアッと気づいたような顔をして大福を手のひらに出した。

「気になりますか?」

彼はコクッと頷いて奪うように大福を掻っ攫い、モソモソ食い始めた。

「あ、あぁぁ!」

マゼンタはいきなり取られたショックで不機嫌になっていた。

俺は...一人だった。

何か壁を感じ、前を見上げると巨大な扉があった。口をあんぐりとしていると、音を立てながら開き始め、中の光景が広がった。そこには無数の人、無数の机椅子、何かが映っている無数のモニターがあった。

オモト・シューゴ

地球人 身長173cm 体重62kg 黄色人種

黒い下地に近未来的な電気の通った赤い線と青い線で構成されるサンバーパンクジャケットを着ている

茶色寄りの金髪のエアリーショート

基本的に優しいが、好きなものをバカにされると激昂し、最終的に殴りかかる。コンピューターにハマったのは2年前ぐらいで、天才的な成長を遂げている。

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