出会い初めの慣れ初め
主人公の周りで起きる出来事を淡々と語る内容なので、「ふ〜ん」と読み進めていただければ幸いです。
この会社はに入社しておおかた周りを分かったことがある。ここの内容が黒か白かで言えば、真っ黒だということだ。たぶんこれから洗脳させるための講義が始まるだろう。そして、なんでその事に気づいたのかと言うと、記憶を消されたのを覚えているからだ。ホントに意味のわからないことを言ってるのはわかるが、こうとしか言えない。現にさっき新人仲間と話したが、どうやらあっちは「ここへ来たのは家をなくしたからで、ここの社長が宿無しの自分に職をくれた」と思っているらしい。俺だけが何故かここの黒いところを目の前で見たため惑わされなかったが、皆は目を輝かせている。
それから小一時間椅子に待たされ、予想していた洗脳教育が始まった。
教壇のような場所に片目の開いていない老いた男が立ち、ゆっくりこうしゃべり始めた。
「僕はこの会社の人事部の者です。僕が思うに、ここにいる男女皆が過酷な道を歩んできたと見える。そして、いきなり此処に連れてこられて緊張していると思う。だからまずは一人ずつの自己紹介と行こう。まずは...一番前にいる君から」
目線を向けられたのは女の子。真っ赤の肌と筋肉質の身体から見るに火星人だ。彼女は少し動揺しながら机と椅子をガタガタさせてギクシャクと立ち上がった。しかし一言目すら思いついてないようで、30秒後ぐらいにやっと話し始めた。
「我は太陽系第四惑星火星ハルマヘール・クレーターから来た純火星人、「マゼンタ・ガルミムス」です。えっと...好きなものは柴犬と...卵と..火星大福です。あと我は結構力ある方なんで、スポーツとか得意です....よろしくお願いします」
皆が探り探りに反応して拍手をパラパラとした後、「じゃあ横から順にお願い」
と老いた男は言った。
火星人の女の子の横にいた、ジャパンから来たっぽい背の高い黒髪の青年はそれを聞いてそそくさと立ち上がった。
「太陽系第三惑星地球の日本出身、「オモト・シューゴ」です。得意なこととかはそんな無いけど、コンピューターとかいじるのが好きです。あと爬虫類系が苦手です。18歳学生です。よろしくしてください。」
またパラパラと皆が手を叩く。老いた男はニコッと笑い、目線をさらに横に向ける。
次は猫目のような縦に長い瞳孔をした少女だ。見たことない珍しい人種だとパッと見で思えた。
「太陽系から約4.2光年離れたプロキシマ・ケンタウリ系第二惑星プロキシマ・ケンタウリbから来ました、「チェルツァ・ダストグレイン」でぇす。プロキシマ人特有の光沢のある肌とどんな暗闇でも見通せる目が自慢でぇ、あと故郷でよく食べた酸化鉄味の飴が大好物っす。珍しい人種だと思うけど仲良くしてくだ
さぁい」
プロキシマ人というあまり聞かない人種で、しかもギャルとは......強いなこいつ。老いた男も何とも言えない表情をしている。
彼女を最後に1列目が終わり、2列目に入った。俺を含めて残り3人。
単純に長いと思える時間だった。