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8.4日目


街の時計塔が正午を告げる鐘を鳴らしている頃。

大きな建物の中の一室でグレイブは届いた報告書類を眺めていた。


書かれた内容は件のギルド《深淵の叡智(しんえんのえいち)》からの報告で、現在攻略中の新たなダンジョンの進行度とギルド内で起きた事件についての詳細が書かれていた。

ギルドについては何の問題もなく、けが人も死人も現在は出ていないとの報告だった。


「現在は、ってのがあいつのギルドらしい報告だな。まあ、一番の問題はあいつらが5日もしない内に帰ってくるかもしれねーってことなんだが…。」


グレイブは読んでいた報告書を机の上に放り投げながら、思考を放棄したのであった。




―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



何処を向いても光を放つ魔法水晶で作られたダンジョン内で、翼が七色に輝く水晶でできた鳥の攻撃をかわしながらその背後に回り、鳥の首めがけて刃を振り下ろしながら鼻歌を歌う男が居た。


「ジーク、そろそろ素材は集まったのではありませんか?それぐらいにしないとグレンがボスを倒し終わってしまいますよ。」



ジークと呼ばれた男は手元に持っていた短剣を器用に回しながら。

自身に話しかけたフードを被った男を見た。


「いや~、まだまだ必要だと思うんだけど~、それにさ~??俺ら居なくてもグレンなら一人で何とかなるっしょ?俺ら要らねーって!

それにさ~、俺らが素材集めて届けたらダリウスも喜ぶだろうしな!だからルーベンも早く集めようぜ~!」


そうお気楽そうに答えたジークの言葉を聞いてルーベンはやれやれと首を横に振った。


「ジーク、今回の私は何もできないことをお忘れではないですか?魔法水晶が私の魔法を反射し、まともに攻撃できないのですから。

少しは気を使ってください。」


その時、ルーベンの数メートル頭上に居る、クリスタルバードが七色に輝く翼を広げ、その羽風をルーベン目掛けて飛ばしてきた。


「やれやれ…。」


ルーベンは自身の腰にある剣を白い鞘から抜き、目前までやってきた羽風をその剣が吸収していく。

クリスタルバードがもう一度同じ攻撃を仕掛けてくるが、それよりも早くルーベンは剣を自身の頭上で軽く横に振って見せた。


すると、クリスタルバードの羽風がその剣から繰り出され、クリスタルバードは壁に激突しそのまま地面へと叩き落とされていた。

ルーベンは落下し意識を失っているクリスタルバードの首にその剣を突き刺しながら、今ドロップしたアイテムをジークへと投げた。


それを軽く受け取りながら。


「な~にが、”私は何もできないことをお忘れではないですか?”だよ、普通に戦える癖にさ~、あ~こわいこわい。」


ジークは少し揶揄いながらルーベンに言って見せた。


「煩いですよ、これはダリウス君の作ってくれた剣のおかげであって、私の実力ではありませんよ。」


そう言って握っている剣を大事そうに鞘へと納めながら


「さあ、早く行きますよ、ボスを早く倒してギルドへ帰りましょう。」


それを聞いてジークは渋々短剣を腰の鞘へと仕舞い、今渡されたドロップ品をアイテムポーチに入れた。




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