7.3日目
リブレは先ほどエリオスの言っていた言葉を思い返してふと、気になる場所が出てきた。
「そういえば、マスターの居場所はわかっているんですね、今どちらにいらっしゃるんですか?」
と横目でエリオスを見ながら目の前にいるティナに声を掛けていた。
「はい、マスターは現在【無明の深淵】にて素材採取をされていると冒険者ギルドのマスター、グレイブ様が伝えに来てくださいました。」
そう答えたティナの言葉を聞いてリブレは持っていたペンを床に落とした。
「今、マスターが素材採取をしていると聞こえたのですが、気のせいですよね?そんなはずないですよね?
あのマスターですよ??」
わなわなと体を震わせながらリブレは誰に言うでもなくそうつぶやいた。
「はい、マスターが素材採取をされています。」
ティナは特に気にすることもなく答えて見せるが。
リブレの心情は少し違った。
「(いやいやいや、あの人が素材採取って、素材ではなくレアアイテム採取って言ううんですよ!!??なんで誰も止めないんですか!?
ああ、そうでした今回は追い出さていましたね、それでも!冒険者ギルドが止めるべきですよね?
なんで止めてくれないんですか!マスターが満足する材料や素材がと取れるまでどれほど時間がかかるか…下手したら10日以上帰ってこない可能性も…)
はぁー…わかりました。取り敢えずは今ある予備のポーションの数を報告してください。」
それを聞き終わるとティナは音もなく姿を消した。
リブレは床に落としたペンを拾いながら、自身のマスターを思い、10日は軽くかかるだろう下手すると1か月…と頭を抱え。
そして5日以内に帰ってくるであろう初期メンバー達にどう報告するべきかを考え深いため息をついた。
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薄い紫の光の中ダリウスは非常に落ち込んでいた。
長い時間このダンジョンのスライムと戯れていたダリウスは手持ちのアイテムポーチの中身を思い出しながら大きく肩を落としていた。
『こんなに沢山のスライムさん達から何故か、一つもスライムジェルが出てこないのですが…こんなに大変だったんですね、皆さんにお会いしたら謝罪しましょう。』
いつも沢山スライムジェルを持ってきてくれる仲間たちを思い出しながら近づいてくるスライムたちから落ちるドロップ品を拾っていた。
そんな中床にべちゃっと水のようなものが落ちる音がした。
勢いよく音のする方向を見たダリウスの視線の先には、待ち望んでいた素材が落ちていたのだが、さらにその奥視線の先に深い紫の光がゆらゆらと揺れている、揺れている何かのさらに上の方には、血のように赤い二つの眼がこちらをじっと見つめていた。
その時、二つの赤い光の方向から形容しがたい鳴き声が聞こえ、ダリウスに向かって走ってくる。
『あっ!そうでした僕、あなたも探していたんですよ!まさかそちらから来て下さるなんてありがとうございます。』
そう言ってダリウスの目前に近づいた瞬間デスナイトメアと呼ばれるモンスターは音もなく塵となって消えて行った。
そしてダリウスの足元には一枚の古びた羊皮紙が落ちていた。
『紙…ですか?何かに使えるかもしれませんし持ち帰りましょうか、それにしても素材、なかなか手に入りませんね、困りました…。』
そしてダリウスは先ほどスライムジェムが落ちていた場所まで近づいて行った。
『ふ、踏みつぶされてます…これでは素材には使えませんね…どうしましょう。』
っと、近づいてくるスライム達から落ちるアイテムを拾いながらダリウスは苦笑していた。
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【ダリウスの拾ったアイテムの詳細】
デスナイトメアのドロップ品
(【アイテム:冥騎士の契約】×1
アイテム効果:死者の騎馬を召喚できる )






