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4 異世界へ

『其方の願いは……それだけか?』

()()ではなく、それ()十分です」

『……そうか?つまらないが………あ奴等には、何も?』


ーそれ、神様が訊いて良い事ですか?ー


『神だからとて、皆、慈悲深いと思わない方が良い。そもそも、私は元破壊神だからな?』


くくっ─と笑うオールデンさんは、やっぱり黒い笑顔だ。


「兎に角、私はそのお願いだけで十分です」

『ふむ…。それらの願い、叶えよう。それと、私とも連絡がつくようにしておこう』


パチン─と指を鳴らせば、そこに真っ黒なカラス─ではなく、鷹?が現れた。


『これは“黒羽(くう)”と言う。私の使い魔だ』


スーっと飛んだかと思えば、ちょこんと私の肩に止まった。


ーおう……お前もまさかのイケメンだね!?ー


小首を傾げて私を見上げている黒羽。目は少し怖いけど、もふもふだし、イケメンだけと可愛いから許す。ヨシヨシと頭を撫でれば、目を細めて撫でられるがままになっている。


『黒羽も、其方を気に入ったようだな。これから、何かある時は、黒羽(ソレ)を呼ぶと良い。いつでも其方の元へ飛んで行く』


「黒羽、よろしくね」

『ピッ』






『これから其方を召喚する者─大神官の事だが……あの者は、私の言葉を100%聞く事ができてはいない』

「え?」


ー何で?()神官なんだよね!?ー


『聞こえている部分と…後は雰囲気で理解している、少し面白い神官なんだ。まぁ、創世神(わたし)への信仰心は大きいから、私もそのまま何も罰したりはしていないが、其方には、少し迷惑が掛かるかもしれないから、何かあれば……黒羽を呼ぶと良い』


迷惑……が掛かるようなら、大神官を代えさせれば?と思うけど───面白いから、代えさせないんだろうなぁ……。


「分かりました……」

『それでは……本当に、今からで良いのか?』

「大丈夫です。どうせ、家に帰ったところで、何もする事はありませんし、私が居なくなって悲しむ人なんて……居ませんから」

『そうか?ふむ…まぁ、その方が良いかもしれないな……では、今から其方を我が世界に送り出そう。向こうに辿り着いた時、其方との約束のモノも一緒に辿り着くようにしてある。後は、そのモノ達から訊くと良い』

「分かりました」


返事をすると、また足元から光が溢れ出す。黒羽は、私の肩に止まったままだ。どうやら、私と一緒に行ってくれるみたいだ。


深月(みづき)千花(ちか)、我が世界を、宜しく頼む』


オールデンさんが微笑み、サッと手を降れば、更に光が溢れて眩しくて、またギュッと目を閉じた。












******



次に目を開けた時、そこには白色の聖職者の着るような服を着た人達数名と、騎士が着るような服を着た人達数名が居た。


そして、私の肩には黒羽(くう)が居て………


『いらっしゃい!』

『話は後でな!』


と、背中に青色と赤色の羽の付いた小人?が2人、黒羽とは反対側の私の肩に座っている。



「聖女様、ようこそ我が国へ」


と、聖職者の服を着た人が頭を下げると、周りの人達も一斉に頭を下げた。


「お話は後にして、今から移動しますが、大丈夫でしょうか?」

「大丈夫です。この子()も大丈夫ですか?」

「“達”?…黒羽様はオールデン神の使い魔ですので、大丈夫です」


『チカ、私たちの事は、チカ以外には見えてないの』と、赤色の小人さんがクスクスと笑っている。『後で説明するからな!』と、青色の小人さんが笑った。










「一先ず、ゆっくりして下さい」と言われ、とある部屋に案内され、そこで紅茶とお菓子が用意され、暫くの間、私は1人になった。


『チカ、ようこそこの世界へ。私は、火の妖精よ。で、こっちが水の妖精』

『よろしくな!』

「妖精??」


ー何故、妖精?ー


と思っていると、どうやら、私がオールデンさんにお願いしたモノの1つとして私の元に来てくれたそうだ。私がお願いをしたモノの1つ──


“私を裏切らない、信用信頼できる人が欲しい”


それが、この火と水の妖精のようだ。妖精は、滅多に人前に現れる事はないが、気に入った者が居れば契約を結ぶ事もあると言う。

契約を結ぶと、妖精はその相手を裏切る事は無いそうだ。その契約を結ぶ方法は簡単だった。前提として、妖精が私を気に入ってくれている事があり、それから、私が妖精に名前を付けるだけ。


『チカとなら、契約を結んでも良いわ』

『俺も良いぞ!』


と、2人の妖精は私を受け入れてくれた為、私は、火の妖精に“フラム”、水の妖精には“アイル”と言う名前を付けて、異世界転移直ぐに可愛らしい味方を得る事ができた。


『私達は水と火の魔法が使えるから、必要な時はいつでも言ってね?』

「フラム、ありがとう」



私がお願いをしたモノの1つ─


“聖女特有の癒やしと浄化の能力以外は要らない”


『え?普通は、魔力が欲しいとか、チート並みに…と言われるのだか?』と、オールデンさんも驚いていたけど、そんな余分な要素は要らない。これも、今後の自分の為だから、丁重にお断りした。



それから、フラムとアイルと話していると、コンコンと部屋の扉を叩く音が響いた。



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