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裏切られた聖女は、捨てられた悪役令嬢を拾いました。それが、何か?  作者: みん


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38/58

38 呼び出し

「毎朝外出の許可を取って訓練場に行って、ブラント様が居なければ“居る居ないの確認をしてから外出の許可を取りなさい”なんて言われても、確認できる訳ないんですよ!私はただの神殿付きの聖騎士でしかないから─と説明しているのに、ブラント様が居ないと分かると“役立たずね”と言われて八つ当たりされて……。訓練場には行くけど、聖女の訓練はしない。アレ、本当に聖女ですか?」


食事は部屋に運ばれているそうだけど「1人で食べるのは寂しいから」と、ブラント様を呼べやらルドヴィク様でも良いから呼べやらと、無茶なお願いに振り回されている毎日を過ごしているそうだ。


「滞在してまだ1週間しか経ってないのに、そこまで我儘になってるとは…流石リリだわ。それで、ブラントさんは大丈夫なんですか?」

「ブラント様は、もともと本当に忙しい方ですから、お茶に誘われても仕事を理由に断っています。訓練で見学されている時も、あまり聖女には近付かないようにしてます」


ただ、日に日にブラントさんだけではなく、城内に漂う雰囲気が悪くなっていっているようで、ルドヴィクさんの頭痛の種となりつつあると言う。


「ネッドの言う通り、ここに来てすぐ体が軽くなったのは、チカのお陰かもしれませんね」


聖女の力もあるかもだけど、風の妖精トゥールのお陰もあるだろう。トゥールがそよ風を靡かせれば、空気が一掃されて心地好くなるから。


「それで…ジェナさんとネッドさんが、態々ここに来たと言う事は………」

「はい。申し訳ありませんが、一緒に王城に来ていただいて助けてもらえませんか?」


やっぱりか。呼び出されると覚悟はしていたけど、1週間だとは思わなかった。それ程、聖女リリの扱いに苦労していると言う事なんだろう。“聖女”と言うだけで、こちら側が強く出る事ができないから。それを分かった上での行動なんだろうけど。


「それと、ジョセリンさんも一緒に来て欲しいとの事ですが…」

「分かりました。一緒に行かせていただきます」


泊まりになるかもしれないと言う事で、バタバタと着替え等の準備をして、不在になるとマッテオさんに手紙を書いて飛ばした後、私とジョセリンさんと、今回はアイルとフラムとトゥールも一緒に王城へと転移した。







******



「チカ……来てくれて本当にありがとう」


私達が転移した先は、ルドヴィクさんの執務室。そこには、疲労感満載の顔をしたルドヴィクさんが居た。



「アレは、本当にチカと同じ国の同じ聖女なのか?」

「陛下、何度も何度も何度も言いますけど、チカ様と聖女擬きは同じ国の人間であっても、同じ聖女ではありませんから。格どころか、存在そのものから違いますから。チカ様はそこに居るだけで聖女なんです。聖女擬きは所詮擬きでしかありませんから。そこに居るだけでも邪魔にしかなりませんから。えぇ、もう既に、この国にとっては害悪でしかありませんから!」


今日も、ネッドさんは安定の毒舌だ。“聖女様大好き魔道士”のネッドさんに嫌われる聖女って一体……


「えっと…一番被害を受けているだろうブラントさんは……」

「あぁ、叔父上は遂に捕まってしまってな……しかも、買い物がしたいなどと言い出して…。叔父上の護衛で街に出ている。王太子は相変わらず篭ったままで全く役に立たないし…本当に、早く帰国してくれないだろうか…」


と言うと、ルドヴィクさんはそのまま机に突っ伏した。

何かあったら大変かと思い、私はネッドさんとジェナさんとトゥールと一緒に街へ出る事にした。(ジョセリンさんとアイルとフラムはお留守番)





******


王都の街に出るのは久し振りだった。

以前来た時よりも賑わっているような感じがする。


「チカ様のお陰で、各地で作物の収穫率が上がって尚且つ安定しているので、景気も良くなって金回りも良くなって活気づいているんです」

「そうなんですね。それは…とても嬉しい事ですね」


嫌な事もあったけど、こうやって結果を目の当たりにすると報われる気持ちになる。

しみじみと人の流れを見ていると─


「何て事をしてくれたの!?」


と、怒鳴りつける声が響いた。


「「「…………」」」


「申し訳ございません!」

「謝って済む問題ではないわ!折角のデートなのに、これでは台無しじゃない!」

「本当にすみません」

「そこまで怒らなくても…大丈夫ですから」


勿論、キーキー喚いているのは聖女リリ。そのリリに必死で謝っているのは侍女で、リリを宥めているのはブラントさん。


見ただけの状況から予想すると「喉が渇いた」と言って侍女にドリンクを買いに行かせ、そのドリンクを買って来た侍女が、過ってリリにそのドリンクをぶちまけてしまい、それに対してリリがキレている─と言うところだろう。


「我儘お出掛けじゃなくて、デートだったんですね」

「擬きには、イカれた変換機能が付いているんですよ」

「イカれた変換機能……」


“聖女擬き→完璧な聖女の私”

“聖女擬き→一番偉い私”

“我儘お出掛け→デート”


「どれもイカれた変換ですよ」


遂に、ネッドさんがリリの名を出す時、“聖女”が抜けて“擬き”だけになった。





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