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18 王都の出来事と再会

パーティーの翌日、王城の会議室に集まったのは、公爵と侯爵の位を持つ者達と、大神官をはじめとした各地の神官長達と、王族と浄化の旅のメンバー6人だった。


「王都以外の土地では、全ての土地に於いて“オールデン神の祝福”が現れており、今もなお、空で七色の光に輝いているとの事です」


各地に確認をしたところ、オールデン神の祝福が現れていないのは王都だけ─と言う事が判明した。


「何故、王都にだけ…現れない?どうなっている!?」

神官(我々)が知る由もありません。理由は、王家(そちら)にあるのでは?」


と、国王と大神官イシュメルとのやり取りに、その場が凍り付いた。

そんなピリピリした空気の中、動き出したのが──


「父上──国王陛下、そろそろいい加減にしてもらえませんか?」


王太子ルドヴィクだった。


「ルドヴィク……何をだ?」

「聖女ミヅキに関して、本当の事を言っていただきたい。これら全ての原因は……国王陛下、貴方にあるのだから……」

「国王陛下!それは、どう言う事ですか!?」

「──っ!」


国王陛下はギリギリと歯ぎしりをし、王太子はそんな父親でもある国王を睨みつけている。そして、旅のメンバーでもあったミリウスとジュリアスとバーナードとフラヴィアの顔はまっ青になっている。



そして、そこで王太子から聞かされた話が、今迄の聖女に対する対応と、浄化の旅で起こった事と、聖女ミヅキがそれらの理由で元の世界へ還ったのだろうと言う事だった。


「なんて事を……愚かな………」と嘆く者も居れば、顔色を悪くする者も居た。勿論、顔色を悪くした者は、国王達と同じ様に、聖女ミヅキを無能だと見下していた者達だった。






******



「ここは王都から離れているから、情報が入って来るのも遅いけど、そのうち国中がその話で持ち切りになると思う」


と、マッテオさんが言っていた通り、その騒ぎの話をアルスティア領で耳にするようになったのは、パレードが行われた日から1週間経った頃だった。


聖女を見下し虐げていた事実は隠さず公表され、それに強く反応したのが民衆だった。そこに、王太子と王弟と、高位貴族達もが一緒になり国王に反発し、遂には、国王の王位を剥奪、そして、王太子ルドヴィクが近々即位する事になった─と耳にしたのは、それから更に3ヶ月が過ぎてからの事だった。







「もともと、国王は傲慢さで有名だったから、ルドヴィク様が国王となるのは喜ばしい事だと思う」

「そうなんですね……」


国王に会ったのは……2回か3回。王太子ルドヴィクさんとちゃんと会話を交わしたのは1度だけだから、王太子がどんな人だったかは、全く分からない。第二王子のミリウスさんは()()だったし、王弟ブラントさんは……身分のある人とは思えない感じの人だった。城に1年ぐらい住んでいたのにも関わらず、王族の事は殆ど分からない。分かったところで─だ。


「この国がより良くなるなら、誰が国王になろうとも……ですかね?」

「チカさんは、結構ハッキリ言うよね?」

「すみません………」


謝ると、マッテオさんには更に笑われた。




それから更に半年が過ぎた頃、ルドヴィクさんが即位する日が告知され、その日は近隣諸国や友好国からの王族が集まる事となり、この普段静かな辺境地も少し騒がしくなるだろうと、マッテオさんはため息を吐き、パン屋のメイジーさん達商人は喜んでいる。



ーそろそろ…イシュメルさんに会いに行こうかなー


今も忙しいかもしれないけど、即位式がある前の方が良いかも?と思い、イシュメルさん宛に手紙を書くと、トゥールが『任せて!』と、小さな手を上げて言ってくれたから、その手紙をトゥールに渡すと、一瞬のうちに……飛んで行った………手紙が………飛んで行った……。


『僕は風の妖精だから、手紙を相手に飛ばす事は簡単にできるからね!』


と、ドヤ顔するトゥールは可愛かった。可愛いしかなかった。


イシュメルさんに手紙を飛ばした翌日に、返事があった。何とも優秀な風の妖精(配達員)だ。



“3日後の夜、お待ちしています”




******


その日もまた、フラムの魔法でイシュメルさんの待つ、王都の神殿へと転移した。アイルとトゥールも一緒に。


「ミヅ──今はチカでしたね?お元気そうで良かった」

「イシュメルさん!」


転移先では、既にイシュメルさんが待っていてくれた。


「もっと早くに会いに来ようと思ってたんですけど……こんな忙しい時になって、すみません」

「それ程忙しくないので、大丈夫ですよ」


2人でほのぼのと再会を喜んでいると「ミヅキ……??」と、少し困惑した様な声で名前を呼ばれた。


「ジェナさん!」


今日は、可能であれば、ジェナさんとも会いたいと手紙に書いていた。急なお願いだったから無理かも─と思っていたけど、来てくれていたのだ。喜んでいる私とは対象的に困惑気味のジェナさん。


「??───あ!」


ーそうだ!今の私は、茶髪に浅葱色の瞳をした26歳(大人)の深月千花だった。


『ビション』と呟けば、黒色を持つ“ミヅキ”へと変化する。


「ミヅキ!?」


その様子に驚いたジェナさんだったけど、「また会えて嬉しいです!」と、抱きつかれた。そんな私達の周りを、アイルとフラムとトゥールは、やっぱり楽しそうに飛び回っていた。





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