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【コミカライズ開始!】追放されたダンジョン配信者、《マッピング》スキルで最強パーティーを目指します  作者: 瀬戸夏樹


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第96話 電話越しの交渉

「ちょっと、困るよ雪代さん。あんな投稿されたら。せっかくこっちが悪者になってあげてるのに」


 電話をかけてきた彗は開口一番そう言った。


「せっかくプロレスにして盛り上げてるんだから、水を差すようなことしないでくれよ」


「そういうことなら、事前に一報入れて欲しかったな」


 悟がそう言うと、彗は言葉を詰まらせた。


 続く言葉が見つからず、困っている様子が電話越しにも伝わってくる。


「と、とにかくこのままじゃ大会の参加者が集まらない。頼むから例の投稿取り下げてくれよ」


 隣で聞いていた榛名達四人はクスクス笑っていた。


「雪代さんだって」


「突然、呼び方丁重になったねー」


「悟さんの圧力かける作戦大成功ですね」


 悟と彗の電話は続く。


「取り下げる必要は感じないな。あれが僕らの君達に対する回答だよ」


「ぐぬぬ」


「で、どうする? 投稿の通り、僕らを大会に呼びたいならまずはこっちの要望を飲んでもらいたい。そうでないとうちからは誰も出せないよ」


「……分かった。そちらの出してくる条件を飲もう」


「よし。それじゃあ、後で打ち合わせしよう。大会の内容を送ってくれるかな?」


「悟、パス」


 悟が電話を切ろうとすると、榛名がパスを要求してきた。


 悟は榛名に携帯をパスする。


「あー、もしもし如月君? 元気?」


「お前……榛名か?」


「そう。ウチらが大会出場するってことはさぁ。美波もC・エクスプローラーの選手として出場することになるけどいいの?」


「……美波の出場は……まだちょっと控えて欲しいかな。今はバタバタしているし」


「そうはいかないな」


「……」


「美波はもう私達の仲間なんだ。美波のことを私達の一員と認めないような、そんな団体の主催する大会に私は出たくない。もし、美波が出れないなら私も出ないし、他のメンバーもみんな出ないぜ?」


「……ふー。分かった。美波の出場も認めよう」


 彗は絞り出すような声で言った。


 榛名は親指を立てて美波の方にしてやったりといった顔をする。


「ナイス榛名」


「ありがとー榛名」


 こうして悟達は大幅にデューム側を譲歩させて、電話越しの交渉を終えることができた。


「よし。とりあえずこっちの要求は通すことができた」


「流石です。悟さん」


「頼りになるー」


「これでボールは投げたし。あとは如月の方でデュームを纏められるかどうかかな」




 デュームの事務所では悟との通話を終えた彗が、スマートフォンをデスクに置いていた。


 側には幹部の草間と桐沼がいる。


「ふー」


「どうだった如月さん?」


「雪代の奴はなんて?」


「あちらの要求を飲めってよ。まあ、ある程度は仕方あるまい」


「如月さん。大会のルールまでシーエク側の要求を飲むのは不味くないっすか? 向こうは自分達に有利なルールを捩じ込んでくるかも……」


「バカヤロウ。なりふり構ってられるか」


 彗はソワソワと立ち上がり窓の外を見る。


「いいか? この大会は今、デュームに吹いている逆風と炎上ムードを払拭するための大型企画なんだ。絶対に失敗は許されんぞ。デュームの未来のためにも」


(いや、アンタの保身のためだろーが)


 草間は心の中で突っ込んだ。


「確かにあいつらは個々の能力が高い。〈スペルカード〉への適応にも1日の長がある。だが、チームワークと組織力ならこちらに分があるはずだ。この大会必ず成功させるぞ。そして優勝し、我々が〈スペルカード〉の運用に遅れているというイメージを払拭する」


「さっすが彗さん。思い付くことが豪快っす」


「ま、あんな宣言した以上、今更引っ込めるわけにはいかねーよな」


 草間はやれやれといった様子で付き合う。


 一方、桐沼はというと表向きは彗に全面的に賛同するものの、部屋から廊下に出ると不満に顔を曇らせるのであった。

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