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【コミカライズ開始!】追放されたダンジョン配信者、《マッピング》スキルで最強パーティーを目指します  作者: 瀬戸夏樹


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第90話 風を纏うガゼル

「マップ」


 悟がマップを表示すると、デュームの連中はほぼ()けたことが分かる。


 ほとんどは体力を失って瀕死状態か、離脱済みだった。


 わずかにいる残党とも5階層以上離れており、もはや遭遇することもないだろう。


 せっかく〈鬼火篝(おにびかがり)〉を授けてやった連中がカプセル入りしているのには何ともやるせない気分になるが。


(で、何やかんやしてるうちにボス部屋の前まで来ちゃったんだよなぁ)


「ボス部屋の前まで来ちゃいましたね」


 重厚な扉を前に、こよみがちょっと緊張しながら言った。


「うん。デュームを避けてダンジョン内を走り回っているうちにたどり着いちゃったね」


 デュームのメンバーはモンスターから逃げるべく、離脱のためのルートを選んでいたから、彼らを避けているうちに自然と攻略ルートに沿って進むことになってしまった。


 モンスター達も弱っているデュームを優先して追いかけていたため、悟とこよみはスイスイ進んでボス部屋の前までたどり着いてしまった。


「私、こんなに深いところまで潜れたの初めてです」


 こよみは嬉しそうに言った。


「ああ。僕もまさかここまで来ることになるとは思ってなかったよ」


 そんなことを話していると、近づいてくる影が2人。


「あれっ? 悟?」


「わ、クマPだー」


 榛名と美波が目を丸くしながら駆け寄ってくる。


「榛名! 美波! 2人ともここに来れたということは、デュームを上手く撒けたってことだね」


「おう。悟の作戦バッチリだったぜ」


「もー、クマPの作戦当たりまくりだよー。ホントありがとー」


 美波は悟の肩をバシバシ叩く。


 そのまま抱きついてきそうな勢いだった。


 2人はこよみの存在にも気づく。


「おっ、ここにいるってことは、こよみもウェアウルフとカボチャ頭のコンビを倒してきたってことだな?」


「へー。こよみやるじゃーん」


「あ、うん。悟さんの教えのおかげでなんとか」


「さて、おしゃべりはこの辺にして。いよいよボス戦だよ」


 悟は3人のおしゃべりを中断して、マップを開いた。


「この先にいるのはウィンドホーン・ガゼル。素早い動きと角にまとう風の防御が特徴のモンスターだ。それだけならともかくカボチャ頭が出てくる可能性もある」


「素早さと防御力……」


「それにカボチャ頭が来るとしたら厄介だね」


「そこでこれを使ってみようと思う。アイテム〈身代わりの護符〉」


「あっ、そのアイテム」


「私達も手に入れたよ。カボチャ頭からドロップしたやつ。使い道分からないからとりあえずボックスに放り込んでるけど」


「このアイテムはアイテム破壊・全体を身代わりになって受ける効果があるんだ。カボチャ頭のアイテムボックス破壊を受けてもすべて破壊されずにすませることができる」


「へー。そんな効果が」


「そこで〈ハガネ風車〉にこの効果をつける。そうすればアイテム破壊を何度受けても防御できるんだ」


「おおー。なるほど」


「それなら何度アイテム破壊を受けても問題無さそうですね」


「〈身代わりの護符〉と〈ハガネ風車〉のコンボはすでに実証済みだ。榛名、美波、〈身代わりの護符〉はいくつ持ってる?」


「1枚だけー」


「んじゃ僕らが集めた〈身代わりの護符〉を渡しとくよ」


 悟は〈身代わりの護符〉を美波に渡して、彼女の保有する〈ハガネ風車〉に付けさせた。


「よし。これでカボチャ頭が出てきても大丈夫」


「よっしゃ。行くぜボス討伐!」


「「おおー!」」


 4人は準備万端でボスの間へと入っていった。




 ♢




 重々しい扉を開けた瞬間、悟達の目に入ってきたのはどこまでも広がる広大な草原。


 どこからともなく吹き込んでくる強い風が髪を撫でる。


(なるほど。これだけ広大な草原ならスピードタイプはどこまでも逃げられるな。誰もボスモンスターを討伐できないわけだ)


 悟が少し進むと一本の低いアカシアが見えた。


 その木の根元に目当てのモンスターが腹ばいで寝そべっていた。


 悟達が近づくとムクリとその体を起こす。


 細身ながらも引き締まった体躯、しなやかな四肢、そり返る2本の角。


 ウィンドホーン・ガゼルだった。


 悟を見ると、ウィンドホーン・ガゼルは角に風をまとい始める。


 同時にそれまで陽の光が燦々と降り注いでいた草原に黒いカーテンがかかったかのように暗幕が垂れ込め、カボチャ頭の悪魔が2体現れる。


(やっぱり現れたか。カボチャ頭)


 2体のカボチャ頭はアイテム・装備破壊の魔法を放ってくる。


 同時にウィンドホーン・ガゼルはその角から旋風を起こして放ってくる。


 悟達は各々、モンスターの多重攻撃に対処した。


 ガゼルからの旋風はこれまで上げてきた素早さでかわす。


 アイテム破壊はかわしきれないので、堂々と受ける。


「装備〈魔装銃〉」


 悟が唱えると、キチンと〈魔装銃〉が手の平に収まる。


(よし。アイテムボックスは破壊されていない)


 悟は榛名達に後ろ手で合図を送ると、


 一斉に反撃を開始した。


 打ち合わせ通り、悟とこよみでカボチャ頭を倒す。


 榛名と美波でウィンドホーン・ガゼルの足を止める。


 悟とこよみが瞬く間にカボチャ頭を倒すと、ウィンドホーン・ガゼルは危険を感じて逃げ出そうとする。


 しかし、すでに遅かった。


 美波と榛名が回り込んでおり、初撃を加える方が速かった。


 美波と榛名は二人ともウィンドホーン・ガゼルの脚を狙って攻撃を加える。


 ウィンドホーン・ガゼルはよろめきながらも、なお失われぬ俊足で逃げ出そうとするが、足が速いのは〈風の護符〉で強化した2人も同じだった。


 榛名と美波はウィンドホーン・ガゼルと同じ速さで並走しながら銃を構える。


「ゲームオーバーだぜ。ガゼルさん」


 榛名はウィンドホーン・ガゼルの土手っ腹に連続で炎弾を撃ち込み、仕留めた。


 ダンジョンボスは討伐され、帰還の魔法陣が現れる。

ようやく涼しくなってきましたねー。

9月もだいたい週1投稿になります。

今後ともよろしくお願いいたします。

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