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【コミカライズ開始!】追放されたダンジョン配信者、《マッピング》スキルで最強パーティーを目指します  作者: 瀬戸夏樹


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第87話 デュームの壊走

 カボチャ頭によって装備を破壊されたデュームの面々は、困惑する。


「なんだぁ? 俺の装備破壊されたぞ」


「こっちもだ」


「チィ。アイテムボックスから予備の装備を……あれ?」


 予備の装備をアイテムボックスに入れていた者は、いつもの手慣れた動作で呼び出そうとするも反応が返ってこないことにまた困惑する。


 微かな動揺は集団に波紋のように広がり、徐々に大きな混乱へと波及していく。


 その時、アオーンと遠吠えが聞こえてきた。


 時を待たずして5〜6匹からなるウェアウルフの群れが吹き抜けの上階から現れる。


「ウェアウルフだ」


「はっ。ウェアウルフごとき、〈風の護符〉で強化した俺達なら……っ」


 ウェアウルフ達がしなやかな動きで上の階から壁を伝い、駆け降りてくる。


 彼らにはウェアウルフが急に速くなったように感じた。


(な、なんだ? 体が重い?)


 回避行動も反撃もできないまま懐に潜り込まれ、瞬く間に爪や牙を立てられる。


 血飛沫が辺りに立ち込め、その場にいた者は、自分の身に何が起こったのか訳も分からないまま瀕死になって生命維持カプセルに収納される。




 ♢




 先を進む如月彗率いる部隊は、後ろからついて来ていたはずのグループがいつまでも追いついてこないことに気づいた。


「おい。アイテムボックス(柴崎達)はまだ来ねーのか?」


「どうしたんすかね。強モンスターにでも遭遇したんでしょうか」


「ちっ。何やってんだ。美波のいる場所までもう少しだってのに」


 彗はスマートフォンで探索者の現階層を速報で通知するサイトを見ながら言った。


「どうします? 迎えに行きますか?」


「ほっとけ。この階層程度で手こずるならどの道、これ以上上では足手纏いだろ。それより急げ。あいつらはもうすぐそこのはず……」


 彗がそう言いながら、勢いよく次の部屋に入ると長い黒髪の少女とヘッドフォンをした青髪の少女の後ろ姿にバッタリ出くわす。


「あ」


「あっ」


「あ……」


 美波と榛名はダッシュで逃げ出す。


「あっ、待て!」


「おい、いたぞこっちだ」


「待てコラァ」


 彗達は反射的に2人を追いかける。


「誰が待つかバーカ」


「ひーん。本当に追いかけて来たよー」


 美波は泣きべそかきながらもどこか楽しそうに榛名と一緒に駆け抜ける。


「美波ぃ。テメー筋通せや。あっ」


 彗が二人を追って入り込んだのはトラップのある部屋だった。


「〈スペルカード〉耐久強化!」


 榛名と美波はさっさとトラップを飛び越えてアイテムを回収し、次の部屋へと逃げる。


「くっ。トラップか。あいつらっ」


 彗は流石に二の足を踏む。


 アイテムボックスとして活用していた連中はまだ追いついて来ない。


 アイテムの補給が乏しい状態で踏み越えるのは流石に勇気のいる行為だった。


 安置されているアイテムが再度出るか、後ろが追いついてくるまでまで待つことになる。


「ええい。仕方ない。別のルートから行くぞ」


 そうして来た道を引き返し、部屋を出ると、そこで突然ケタケタという不気味な笑い声と共にカボチャ頭がニョキっと物陰から姿を現す。


「うわっ」


「なんだこいつ!?」


 カボチャ頭は瞬く間に魔法を唱えて、彗達の装備と保有アイテムを破壊した。




 ♢




「撒いたかな?」


「うん。上手くいったんじゃない?」


 榛名と美波は背後を確認しながらダンジョンを進んでいく。


 悟からの指示は二つだった。


 一つ、デュームを意識しすぎないように。


 二つ、もし遭遇した場合はトラップを通り抜けて撒くようにとのことだった。


 デュームは大人数で攻略しているからスピードを速めればその分、脱落者が増えてカボチャ頭に遭遇する可能性も高くなる。


 カボチャ頭と遭遇してアイテムボックス要員を失った状態では、とてもじゃないがトラップを超えて追跡することはできないだろう。


「クマPの読み大当たりだね」


「ああ。このまま一気に……っと。こっちにもお出ましか」


 榛名と美波の前にランタン杖を持ったカボチャ頭の悪魔が立ち塞がる。

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