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【コミカライズ開始!】追放されたダンジョン配信者、《マッピング》スキルで最強パーティーを目指します  作者: 瀬戸夏樹


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第76話 分裂の兆し

 悟は事務所で榛名達3人の配信を見ながら、作業していた。


「ふー。炎上対策も楽じゃないな」


 NGワードの設定、酷いコメントの削除、粘着アンチのブロック、モデレーターの統括。


 熱烈なデューム信者からの執拗な攻撃の前に作業は増える一方だった。


 ただ、デュームとのプロレスが盛り上がっていることもあって、再生回数は爆増していた。


 3人のリスナーの中にも、モデレーター(不適切コメントの排除を手伝ってくれる人)に志願してくれるリスナーが多数現れて、リスナーは炎上で離れるどころかむしろ忠誠心はぐんぐん高くなっていった。


(ただ、これだとコラボ相手を見つけるのはますます困難に……。ん?)


 悟はメールボックスに見慣れぬアドレスからの着信があることに気づいた。


 開いてみると、霧崎こよみからだった。


 先日、話したC・エクスプローラーの加入について詳しく聞きたいとのことだった。


 悟はすぐにこよみに返信のメールを打った。




 如月はデュームの事務所廊下を歩きながら、部下の報告を受けていた。


「おう、シーエクはどうなってる?」


「はい。現在、SNSで攻勢かけてるとこっす」


「まだ、悟は頭を下げてこねぇのか」


「はい。シーエク側から連絡は来てません」


(ちっ。流石にディーライとの炎上騒動を乗り切っただけのことはあるな。タフな奴らだ)


 会議室に入ると、デュームの2番手、草間彰人が〈スペルカード〉を取り出しながら何やらメンバーと喋っているところに遭遇する。


「あっ、如月さんだ」


「やべっ」


「おい、彰人ぉ!」


「あ、如月さん」


「お前まで〈スペルカード〉なんておもちゃいじってんのか」


 そう言うと、彰人は渋い顔をする。


「如月さんこそいつまで〈スペルカード〉に偏見持ってるんすか。実際、使ってみるとマジで便利ですよ」


「お前、今、デュームがシーエクと争ってんの知らねーのか」


「知ってますよ。知ってますけど、如月さん、いつになったら〈スペルカード〉の大量入荷の件、考えてくれるんすか」


「大量入荷ぁ? お前、まだそんなこと言ってんのか」


「如月さんは下の奴らのアイテムボックス使えるからなんとかなってますけど、下の奴らは厳しいっすよ。そろそろ解禁してやらないと。〈スペルカード〉の相場もジワジワ上がってきてるし」


「馬鹿野郎。そんな軟弱なもんに頼ってるからいつまでも下っ端なんだよ」


「このままじゃ脱退する奴も出てきますよ」


「辞めていく根性なしなんざ放っとけ」


「まあまあ2人とも」


「ここで喧嘩はまずいっすよ」


「下の奴らも見てるんですから」


 デュームのナンバーワンとナンバーツーが一触即発の雰囲気になるのを見て、取り巻き達が割って入る。


 如月と草間は口論をやめて、2人とも引き下がった。


「ふー。まあいい。この件に関しては置いとこう。それで桐沼、美波とのコラボはどうなってる?」


「はい。現在、交渉中っす」


「美波はまだ首を縦に振らねーのか」


「はい。現在、条件をめぐって色々詰めてるとこっす」


「同じ箱内なのにリーダーの俺とコラボできないって言うのか?」


(むしろあんたの体育会系のノリが嫌で拒否してるんだよ)


 彰人は心の中でそう思った。


 美波はデュームでは珍しい女性配信者だった。


 ポップな配信で人気がある。


 なぜデュームにいるのか分からないくらいポップだった。


 最近、〈スペルカード〉を使いたがっていて、草間にグループ上層部の方で大量購入してくれないかと頼んできているところだった。


 彗の人海戦術にも苦言を呈しているらしいことは、草間の耳にも入ってきていた。


(無理矢理、コラボなんてさせたら辞めちまうぜあいつ)


 調整役の桐沼もそのことは分かっているようで、どうにか話を逸らせようとしていた。


「如月さん、なんでそんなに女性配信者とのコラボに拘ってんだ」


「今のやり方なら男でもいいっすよね」


「リーダーの俺が若い娘とコラボできないとみんなデュームに憧れて入ってこないだろーが」


 彗はデュームの加入者が減ったり、脱退したりしているのは、自分が女性配信者とコラボできていないからだと考えていた。


(なら、なおさら〈スペルカード〉使いこなさないとダメだって)


 彰人は言いたくて仕方がなかったが、先ほど揉めたばかりだったので口をつぐんだ。


「とにかく、美波にコラボするよう言ってこい。これは絶対命令だ」


「はぁ。分かりました」


(つっても美波は厳しいよなー)


 桐沼は先日、美波にコラボを打診した時のことを思い出す。


 当たり障りのない言葉で体よく断ってきたが、その一方で絶対に彗とはコラボせんぞという意思が言外に込められていた。


 桐沼としても自分より登録者数や再生数が多い相手なので、強くは言えない。


(しょうがない。まだちょっと早いけど、こっちのスカウトも進めとくか)


 桐沼はスマホを開いて、こよみとトモカのチャンネル画面を開く。


 以前から目を付けていた女性ダンジョン配信者の2人だった。


 炎上させて気が滅入っているだろうから、強引に誘えばコラボに応じるかもしれなかった。

6月は忙しくなりそうなので、少し投稿間隔、間延びしてしまうかもです。

ご了承ください。

なるべく週1回は投稿するつもりです。

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