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【コミカライズ開始!】追放されたダンジョン配信者、《マッピング》スキルで最強パーティーを目指します  作者: 瀬戸夏樹


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第63話 ティアゾーンの攻防

 渋谷ダンジョン内を30人近い人数のグループが大名行列のようにゾロゾロ並んで歩いていた。


 先頭にいるのはデュームのトップ配信者、如月彗(きさらぎけい)である。


「むっ」


 彗は次に進む部屋に魔法陣のトラップが仕掛けられているのに気付いて手を上げる。


 すると、後ろからついて来ていた一団は一斉に足を止める。


「火力部隊前へ」


「「「「「はい!」」」」」


 彗を中央にして両脇にガンナーを配置して、横一杯に広がった。


 ザッザッと足並みを揃えて進み、安置されている魔石へと向かっていく。


 魔法陣のトラップが瞬いて、各人から魔力をドレインしていく。


 彗達は怯むことなく魔石に向かって進んでいった。


 すると、ゴブリンが物陰から現れて魔石に向かって魔法を放つ。


 魔石は粉々に砕けた。


「やれ」


「押忍!」


「テメェ待てゴラァ」


「逃げんのか雑魚モンスター、コラァ」


 彗達は叫びながら、横一杯に広がって、ゴブリン1匹に対して行うには過剰な一斉射撃を行う。


 ゴブリンは逃げ出すも流石に一直線になった通路のところで背後からの火線に晒されてしまう。


 流石にこの一斉射撃の前には、すばしっこいゴブリンでも逃げ切れず魔力の弾に命中してしまう。


 ゴブリンは消滅して、魔石が転がった。


「う、うおおお」


「魔石ゲットォ」


「流石彗さんマジパネェッス」


「魔石いただきやしたー」


「イェーイ」


「彗さん最強っす」



 ・うおおお

 ・なんたる力技w

 ・これだけの配信者動員できるのはデュームだけよなw

 ・デューム最強! デューム最強!

 ・イケメン多くて眼福ですわ



「おい、テメェ。声が小せぇぞ」


 彗は一人のほっぺを平手で張る。


「すんません。ありがとございますっ」



 ・体育会系やな

 ・今どきの若い奴にはこれくらい必要だわ

 ・彗さん(おとこ)だわ



「よーし。これでしばらくはモンスター出ないだろ。進んでいくぞ」


「「「「「しゃあーっす」」」」」


 しばらくの間はモンスターが出ることなく、トラップだけ踏んで、魔石の回収に成功する。


 そうこうしているうちに魔力切れになる者が出てきた。


「彗さん、魔力切れたっす」


桐沼(きりぬま)か。よし、いいだろ。一番後ろの奴、魔石出せ」


「はい」


「あの、自分も魔力切れたんすけど」


「あん?」


 彗は名前も覚えていない隊員に対して顔を凄ませる。


「あっ、いえ、アイテム置いて帰ります」


「ん? 帰りたいのか? よし、じゃあアイテム置いて帰れ」


「はい。あざぁーっす」


 そのやり取りを見て最後尾についている下っ端配信者達は、苦々しく思うと共にヒソヒソ話す。


(くっそ。やっぱ俺らはアイテムボックス扱いか)


(問答無用で「ダンジョンに来い」からの「帰れ」だもんなぁ)


(早く俺達もあっち側に行きたいぜ)


(今は我慢だ。そのうち下に新しいのが入ってきて、俺らのクラスも上がるから。そうすりゃ上位配信者ともコラボし放題さ)


(おい、お前らあんま大きな声出すなよ。カメラ回ってんだぞ)




 ◆◇◆◇ ◆◇◆◇ ◆◇◆◇ ◆◇◆◇




 順調に新宿ダンジョンを進む悟達は、10階層まで進んでいた。


「マップスキル、ダンジョン全景と探索者表示」


 ダンジョンの全景が1つのマップとして現れると共に、探索者がどこにどのくらい居るのかが光点になってざっくりと表示される。


(ふむ。結構減ったな。ほとんどの探索者が5階層()たずにギブアップか)


「悟!」


 榛名がちょいちょいと手招きしながら、次の部屋を指し示す。


「ティアゾーンだ」


 そこにはかなり沢山の〈魔石〉と〈ポーション〉やその他レアアイテムが配置されていた。



 ・うおおティアゾーンきたー

 ・キラキラ光ってて綺麗だなー

 ・重点アイテムもいっぱいあるな



 それだけに罠くさい。


 悟がマップスキルで周囲に潜むモンスターを調べると、やはり一味違う難敵がいた。



 ――――――――――――――――――――

 〈デストラの杖〉(中・全)

 ――――――――――――――――――――

 室内のアイテム全てに〈デストラ〉の魔法をか

 けることができる。

 そのアイテムはダメージ(中)を受ける。

 ――――――――――――――――――――



(一度ですべてのアイテムを破壊できる魔法。アイテムが破壊されながら探索を続け、ようやくティアゾーンにたどり着いた冒険者を絶望に叩き落とすってわけか)


 悟は先ほど倒したゴブリンから手に入れたばかりのアイテムを取り出した。



 ――――――――――――――――――――

 〈デストラの杖〉(弱・単)

 ――――――――――――――――――――

 室内のアイテム1つに〈デストラ〉の魔法をか

 けることができる。

 そのアイテムはダメージ(弱)を受ける。

 ――――――――――――――――――――




 この〈デストラの杖〉こそがアイテム破壊の杖の正体である。


 この装備を悟がマップスキルに登録することで、新マップ上の〈デストラ〉系アイテムが、悟のマップに新たに表示されるようになった。


 こうして〈デストラの杖〉(弱・単)だけでなく、〈デストラの杖〉(中・全)も表示されるようになったというわけである。


(〈デストラの杖〉(弱・単)を発展させた装備。〈デストラの杖〉(中・全)! やはりこういうのが出てくるよな)


 だが、悟の対策は抜かりなかった。


「よし。ここが使い所だな。アイテム〈スペルカード〉耐久付与(中・全)」



 ――――――――――――――――――――

 〈スペルカード〉耐久付与(中・全)

 ――――――――――――――――――――

 このアイテムを使うと、室内のアイテム全てに

 耐久が一時的に付与される。

 ――――――――――――――――――――



「おっ、全体効果の〈スペルカード〉じゃん」


「ここが使い所ってことですか?」


「ああ。このルートだとここが1番のティアゾーンだからね」



 ・お、クマが何かするみたいだぞ

 ・何が起こるんだ?

 ・ワクワク



「〈スペルカード〉発動!」


 悟は足を踏み入れると、同時に〈スペルカード〉を発動させた。


 ゴブリン・メイジもほとんど同じタイミングで動き出し、〈デストラ〉(中・全)の魔法をかけてくる。


 室内全体のアイテムに上昇線が灯るのと、ゴブリンの杖から放たれた魔法がアイテムに命中するのはほぼ同時だった。


 双方、手元から魔法の瞬きを放ちあって、室内では魔法の光が激しく交錯した。



 ・うおお、魔法の撃ち合い

 ・これは熱いっ

 ・眩しすぎて部屋の中、見えん

 ・どうなってんだ?



 そうして激しく魔法を撃ち合った結果、室内のアイテムは無傷で残っていた。


 悟の〈スペルカード〉発動の方が一瞬、速かったのだ。


 ゴブリン・メイジは舌打ちすると再び魔法を放とうとする。


 が、榛名が射程に詰め寄る方が先だった。


「遅いっ」


 〈魔装銃〉から火花が散ったかと思うと、榛名の放った弾が一撃でゴブリン・メイジの額を撃ち抜く。


 榛名はアイテムの影に隠れていつの間にかゴブリン・メイジの(ふところ)に回り込んでいたのだ。



 ・うおお、すげぇ

 ・速っ

 ・あの魔法の光がせめぎ合う中、正確に立ち回る嗅覚よ

 ・何はともあれティアゾーンのアイテムゲットだぜ

 ・あの状況でアイテム全部守り切るとか。クマすげーな

 ・つーか、全体アイテム破壊まで持ってるモンスターいんのか

 ・思った以上に厄介だね、今期のアプデ

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