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【コミカライズ開始!】追放されたダンジョン配信者、《マッピング》スキルで最強パーティーを目指します  作者: 瀬戸夏樹


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第59話 デュームの勧誘

 如月彗が榛名を視認すると、後ろにゾロゾロ付いて来ている取り巻き達も1秒遅れて榛名がいることに気づく。


「あっ」


「おい」


「っ」


 すぐに数人がシュババババと駆け寄ってきて榛名を取り囲む。


「えっ、ちょっ、もしかして榛名さんすか?」


「榛名さんですよね」


「ん? そうだけど?」


「「「「「チューッス」」」」」


「榛名さん、マジリスペクトっす」


「いつも配信見てます」


「自分デュームの芦原っていうものなんですけど……」


 男達は怒涛のマシンガントークで榛名に話しかける。


 庁舎にもかかわらず、やたらデカい声で喋り続けてこれには職員達もタジタジであった。


「ねぇねぇねぇ。この後ヒマ?」


「お話ゆっくり聞かせてくださいませんか?」


「楽しい時間にすること約束するよーん」


(なんだこいつらホストクラブか?)


 スーツを着た複数の準イケメン勢が囃し立てる様は実際ホストクラブのような空気だった。


「とりまここじゃなんだから適当な場所で……」


 男の一人が榛名の肩に手を伸ばそうとすると、榛名はヒュッと音を立てると共に姿を消す。


 そしていつの間にか背後に回り込み、男の足を払って地面に腹這いに伏せさせると、背中に乗り、髪を掴んで銃を後頭部に突き付ける。


「ぐっ、うがっ」


「なんなのアンタら。いきなり囲んでどっかに連れていこうとするなんて。ビックリするじゃん」


「アッシー!?」


「テメ、何しやがる」


「そこまでだ」


 悟が割って入る。


「ウチのタレントと仕事の話がしたいなら僕を通してもらおうか」


「なんだテメェは」


「すっこんでろ」


 悟は胸ぐらに掴みかかろうとする男の手を払って逆に足をかけて、投げ技をかけて地面に叩きつける。


「ぐはっ」


「タクゥゥゥ」


 そうして立ち所にデュームの配信者2人を制圧すると、すぐに増援がやってくる。


「おうおう、なんだ喧嘩かコラ」


「何、こんなところで暴れてんだ。非常識かコラ」


 強面の男が複数近づいて来たのを見て、真莉と天音もハンマーと鎖を取り出す。


 男達はそのアイテムボックスから武器を取り出す速さにドキリとする。


「おい、何してんだオメーら」


 デュームのトップ配信者、如月が割り込んでくる。


「あっ、如月さん」


「こんなところで暴れてんじゃねーよ。職員の皆さん、萎縮してんじゃねーか」


「「「「「っさーせんしたぁっ」」」」」


「榛名さんですね。ウチのモンが怖がらせてしまったようですみません」


 如月彗(きさらぎけい)は打って変わって丁重な態度で接してきた。


「別に。大して怖くねーよ。こんな奴ら」


「はは。流石は登録者数100万超えのダンジョン配信者。肝が据わっている」


「こんなとこで肝の太さを発揮するつもりはなかったけどな。アンタらの事務所の奴らはいったいどんな(しつけ)してんだ? いきなり複数人で囲んできたかと思えば、掴みかかってきたぜ」


「ははは。これは失礼した。よく言っておくよ。ただ、君にはますます興味が湧いたな。榛名、デュームに来ないか?」


「あいにくそういうのは今、受け付けてなくてね。コラボならしてやってもいいよ。悟が許可すればだけど」


 悟の名前を出すと如月はピクリと眉を顰める。


 が、すぐに気を取り直して話しかける。


「君の考えはよく分かったよ。だが、君ほどの配信者ならわざわざ悟に掛け合わなくとも一言、コラボしたいと言えば話が通るんじゃないかな?」


「相手がアンタらじゃなければね。いきなり囲み込んでくるような奴とコラボするとなると、私の一存でやるわけにもいかないな」


「そういうことだよ。如月さん」


 悟が2人の間に割って入った。


「こんな強引な勧誘をしてくるなんてどういうつもりだ? ウチの大事な配信者が怪我でもしたら、どうしてくれる? そんな態度でくる人とコラボなんてとうていできないな」


「ちっ。雪代か」


 彗は悟が目に入った途端、厳しい表情を向ける。


「まだ気づいていないのか? 自分が榛名の足を引っ張っていることを」


「? どういうことだ?」


「君のマップスキルが榛名の配信の伸びを妨げているということだよ。特に来期はモンスターによるアイテム破壊が活発になる。つまりはマップスキルでアイテムを探知しても意味がなくなるということだ」


「ああ!? なんだよ。お前、偉そうに」


 たまらず榛名が前に出る。


「悟は私達のために頑張って企画考えてくれてんだよ。なのになんだよ足引っ張ってるだなんて」


「榛名、ここは黙っとけ」


 やれやれという感じで草間彰人が口論に加わる。


「お前が出てくると話がややこしくなる」


「はぁー? 今、明らかに私の話してただろ。私が話に加われないってどういうことだ?」


「榛名。ここは僕に任せてくれないかな」


 悟がそう言うと榛名は戦闘モードを解いて大人しくなる。


「うん。任せる」


 そして悟の後ろにさっと隠れてニヤニヤしながら如月と草間の方を窺う。


 如月はますます苛立ちを募らせる。


「悟、強引な勧誘に関しては悪かったよ。ただ、こう言っちゃなんだがな如月さんの言うことにも一理あるとは思うぜ。なぜなら、お前にはやっぱディーライの炎上っていうイメージが付きまとうからな」


「……」


「特に来期の探索には、どうしても単独での探索が難しくなる。つまり複数での探索が必要なんだ。お前だって気付いてんだろ。ディーライの炎上騒動で配信者達がシーエクとのコラボに二の足を踏んでいることに。みんな怖いんだよ。炎上させられた上、リスナーを取られるんじゃないかって。そこを俺達デュームとのコラボで不安を払拭しようってわけよ」


(なるほど。デュームはアイテム破壊にコラボで人手をかけて対抗するつもりか)


「コラボできなくても問題ないさ」


「何?」


「あのアイテム破壊の予兆を見つけて報告したの、実は僕なんだ」


「!?」


「どうやって攻略するのかもすでに対策を考えている。君達に心配してもらう必要はないよ。榛名の配信は引き続き僕がプロデュースする」

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