第111話 優勝、その後の不穏
「せいっ」
真莉が〈ハガネ風車〉でカボチャ頭の悪魔をキルする。
「ポケットラさん、お願いします」
天音がポケットラに手榴弾を投げさせて障害物を取り除く。
そうして着々と進んでいくうちに、一際大きな広間に辿り着いた。
中央には大きな魔法陣が輝いている。
魔法陣には0の数字が灯っていた。
「これって……」
「ゴールの魔法陣……ですかね?」
「カウントゼロになってるよ!」
「ってことは、私達が一番最初に辿り着いたのでしょうか?」
「よっし。踏んでみよう」
真莉と天音は魔法陣の上に立つ。
すると文字が浮かんできた。
《CLEAR & WINNER》
「やったー」
「優勝です!」
コメント欄
・きたあああああああああ!!!
・優勝!!!!!
・やっぱこの二人大会強すぎるwww
・ダンジョンカップに続きスペル・リンク・フェスも優勝!!!
・二冠は草
・まさか火力有利ダンジョンでこの二人が勝つとはwww
・大舞台でミスらないのが本物!!
・メンタル強すぎる
・おめでとう!!!!!
「うわ、コメントすご」
「皆様、ありがとうございます。ありがとうございます!」
・喜んでる真莉ちゃん可愛い
・天音ちゃん、こんな時でも礼儀正しくて偉い!
「よし。それじゃあ、ダンジョンから出よっか」
「そうですね」
そうして堂々とダンジョンから脱出し、拍手と歓声を受けるつもりだった真莉と天音だったが、いざ会場に戻ってみると何やら想像とは違う光景が待ち受けていた。
観客は真莉と天音の帰還にも気づかず何やら不安げに騒ついている。
運営委員会もバタバタとしていて、優勝者を迎え入れる空気ではなかった。
「どうしたんだろ」
「何やら物々しい雰囲気ですね」
会場にはダンジョンに入った時には見られなかった救急車やパトカーが停まっており、救急隊員や警察官が忙しく駆け回っている。
「何かアクシデントでも起きたのかな?」
「運営委員の人に聞いてみましょうか」
「あ、榛名だ」
「えっ?」
天音は目を疑った。
確かに榛名と美波が会場をふらついている。
「本当ですね。てっきりまだダンジョン内にいるものかと。榛名達のルートで何かあったのでしょうか」
「目立った外傷とかはないし、深刻なトラブルではなさそうだけど。ま、とりあえず聞いてみよっか。おーい。榛名ー」
「あ、真莉、天音」
「どうしたの? 何かあったの?」
「どうもデュームが不正をやってたらしいんだよ」
「えっ?」
「デュームが?」
「うん。正確には運営委員の桐沼って奴が。品川ダンジョンには出ないはずのロブ・スライムを召喚してさ」
「それで私と榛名の探索妨害されちゃってさー」
美波がほっぺを膨らませながら言った。
「もう二人してアイテム奪われて離脱するしかなかったよ」
「そんなことが……」
「それでこよみの友達、あの悟のアシスタントやってた子、灯華が不正の現場を押さえたらしくって。逆上した桐沼に襲われたんだって」
「ええっ!?」
「大丈夫なんですか? 灯華さんは?」
「病院に運ばれた。命に別状はないらしいけど。ロブ・スライムの攻撃を受けちゃって」
「それでこの救急車とパトカーですか」
「悟とこよみは病院についていった。警察の聴取も受けることになるから帰るの遅くなるって」
「ありゃりゃ」
「これじゃあ大会も表彰式どころじゃありませんね」
「せっかく優勝したのにねー」
「如月先輩の配信も荒れてるし、後味悪い大会になっちゃったね」
四人は憂鬱そうにバタバタと落ち着きのない大会運営を見守るのであった。




