第104話 逆走対策
「さぁー。榛名・美波チーム、悟・こよみチームも一つ目の魔法陣を踏みました」
「……」
「ここまでシーエクは予想に反して好調のように思えます。解説の田辺さん、どうでしょう?」
「ま、まだ脱落システムを乗り越えてねーし」
「ん? 田辺さんどうしたんですか? 若干言葉遣い荒くなってますが」
「えっ? そうですか?」
「もしかして田辺さん拗ねてるんですか?」
「なっ、べ、別に拗ねてませんよ。変な言いがかりつけるのやめてくださいよ」
「そうですか? 私には拗ねているように見えたのですが」
「そんなことより今は脱落システムですよ。一つ目の魔法陣は全チーム分あります。問題は二つ目です。二つ目の転移魔法陣からは脱落者が出始めます。ここからが本当の試練ですよ。私はここからシーエクが苦戦して、デュームチームとの差が徐々に開き始めると思っています」
「おおーっと。しかし、ここで驚きの知らせが入ってまいりました。デュームの草間チームが打撃を受けたとのことです」
「なんだと!?」
「先程までトップを走っていた草間チームにいったい何があったのでしょう」
「どういうことだ? さっきまでトップだったじゃないか」
「では、ここで草間チームのカメラを映してみましょう」
「早くしろ!」
「おっと……、これは? 草間チーム、ダンジョンを逆走している模様。これは退却……と見ていいのでしょうか?」
「何やってんだバカヤロー」
「田辺さん、ちょっと落ち着いてください」
♦︎
榛名と美波はダンジョンを進みながら、悟からの知らせについて話し合っていた。
「カボチャ頭の奴、まさかこんなところに現れるとはな」
「うん。なかなか嫌なところに出てくるね」
榛名達は改めてカボチャ頭の悪魔の出現箇所を見直す。
カボチャ頭の悪魔は、いずれも転移魔法陣の前に現れていた。
「ダンジョンを進む限り、必ず遭遇しなきゃいけない仕組みだ」
「このダンジョンは転移魔法陣を踏まないと次に進めないからね」
「〈スペルカード〉と重火力で難関を突破するだけじゃダメってことだ」
「転移魔法陣を踏む直前で現れるっていうのもなかなか小癪だよね」
「ああ。一つゴールを踏めると思って油断してる時に上からアイテム破壊でズドンだからな」
「これだと相当数のチームが転移魔法陣を踏めずに脱落しちゃうんじゃないの?」
「それだけじゃないぜ。カボチャ頭の奇襲を受けたチームは逆走してくる。このダンジョンは一つの魔法陣を複数のチームで争うサバイバルレースだから……」
「うげー。逆走してくるチームと鉢合わせになるのか」
「それも含めて早いとこ攻略を進めねーと」
♦︎
真莉と天音もダンジョンを進みながら悟からの連絡について話し合っていた。
「まさか転移魔法陣の前でカボチャ頭が待ち伏せしているなんて……」
「厄介ですね」
「でも、これってある意味私達にとって有利じゃない? 他の火力と〈スペルカード〉の対策しかしてない人達と違って私達はカボチャ頭の対策も万全だし。カボチャ頭が他のチームを転移前に追い返してくれるなら、焦って進む必要もなくなるし」
「ええ。ただ、榛名達のことが心配です。他チームの逆走を回避しないといけないのに、逆に焦って進もうとしていないか……」
「大丈夫でしょ。榛名はカッとなるかもだけど、美波ちゃんは冷静だし」
「そうですね。上手く美波が榛名を諌めていればいいのですが……。あ、悟さんからの通知だ」
悟からのメールにはカボチャ頭の出現した魔法陣と他チームの逆走ルート、そして回避ルートも掲載されていた。
「あはっ。さすが悟さん。これなら逆走事故に巻き込まれないように進むことができるよ」
「榛名達が焦って進む心配もなさそうですね」




