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ニルリティ/高木 瀾(らん) (5)

「この近くにカーブの多い道は有るか? それも国防戦機も通れる幅の」

『今から誘導する』

 龍虎興業の下部組織の拠点を壊滅させるのに一〇分程度。

 大牟田から来た国防戦機は、私に追い付きつつ有るらしい。

 私は四輪バギー(ATV)「チタニウム・タイガー」を運転しながら、後方支援要員の誘導に従い、山道の方に向う。

 チタニウム・タイガーのモニターには、私と私を追っている国防戦機の現在位置が表示されている。

「そろそろか……」

 国防戦機は、視覚センサから私を視認可能、そして、保持している銃火器の射程距離に十分入る距離まで近付いている。

「チタニウム・タイガー、対『国防戦機』用半自動操縦モード」

 チタニウム・タイガーの制御AIにそう命令した直後に、銃撃が始まる。

 しかし……。

 国防戦機は確かに侮れない戦闘力を持っている。

 使用している銃火器は、対物ライフル並の威力の弾丸を毎分数百発発射可能。

 一発でも命中すれば、私が着装している強化装甲服(パワードスーツ)「護国軍鬼」など、中の私ごと一瞬で破壊されるだろう。

 しかし、十年前の富士の噴火で旧政府が無くなってから、国防戦機の制御AIの改良は行なわれていない。

 国防戦機の射撃補正の「癖」は既に解析されている。

 チタニウム・タイガーは山道を駈け登りながら、弾丸を避け続ける。

 次から次へとアスファルトに穴が空き、山の木々も破壊されていく。

「スピードの調整が難しいな……」

 国防戦機が、ある程度近付いてくれないと使えない手なのに、その国防戦機が、わざわざ、自分の走る道を凸凹にして、障害物を撒き散らしている。

「連絡した条件に最適な地点まで、あと、どれ位だ?」

『第2候補が次のカーブ。第1候補が下りに入って最初のカーブ』

理解した(Confirm)

 理屈の上では3回まで使える手だが……現実問題として、最初の1回に失敗すれば、2回目以降は、向こうも相応の警戒をするだろう。

「チタニウム・タイガー、後方に煙幕弾射出」

 一時的に銃撃が止み……向こうも自分のミスにようやく気付いたらしい。

 やがて、道は下りに入り……煙幕の中から出て来た国防戦機の姿を目視確認。

「チタニウム・タイガー、底部ロケット燃料着火」

 その命令と共に、炎が吹き出し、チタニウム・タイガーが浮き上がる。

「背部ロケット燃料着火」

 続いて、チタニウム・タイガーの背面から、国防戦機に向けて炎が伸び……。

 国防戦機のパイロットは、思わず炎を避けようとした……らしい。

 走りながら……舗装されているとは言え、山道のカーブで……そして、通常とは機体の重量バランスが大きく異なっている状態で……。

 AI補正により「パイロットが、わざと転ぼうとしても転べない」ようになっている国防戦機だが……想定外の状態で、おそらくは慣れていないパイロット+通常ケースを想定したAI補正のせいで……。

「不自惜身命」

 私は「長巻」と呼ばれる武器を手に、火事場の馬鹿力を出す自己暗示キーワードと「護国軍鬼」のリミッター解除キーワードを兼ねた言葉を唱え、まだ、空中に有るチタニウム・タイガーから飛び降りる。

「余剰エネルギー排出口、背部全開」

 国防戦機が倒れる轟音が響く中、国防戦機の頭部に、私の蹴りが入る。

「脚部(パイル)射出」

 もちろん、人型とか言え、国防戦機の中身は、人間とは違う。

 しかし、メイン・センサや通信機器が集中しているのは頭部だ。

 両足の杭が、国防戦機の頭部装甲を貫き、中の電子機器を破壊する。

 念の為、長巻を展開。強化プラスチック製の「曲った棒」に見えるモノが、バタフライ・ナイフのように割れる。柄 兼 鞘の中から、軍刀と同じ「峰が鋸刃になった日本刀風の刀身」が現われ……槍と軍刀の中間のような武器へと変る。

 それを、両肩と股関節の4箇所に何度も何度も突き刺す。

「こっちは終った。どこで合流するのが最適だ?」

 私は後方支援要員と相棒に、そう連絡をした。

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